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だから技能実習制度は。事例/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.12.17-23.12.23)

いまさら技能実習というシステムの制度設計上の難をあげつらっても。と思いはするものの、100字以内にかいつまんで言いますね。
受入事業社と一心同体の監理団体、それを監督するはずだが何もしない天下り処OTIT、すなわち自浄能力がシステマチックに骨抜きな点。ここがすべての元凶です。
それをあまりにも明白に伝える事例の最新報があったので、あらためてご紹介させていただきたく。

これね、6月下旬に西日本新聞がいち早く取り上げたものの、早々に会員限定エリアに収納しちゃう。というインターネットの意味を分かっていない所作によって、特ダネの意義すら怪しくなった事例でもあるのですが、だいたいすぐアーカイブを捨ててしまうNHK地方局にありながら、実は半年経過後もフラットに閲覧できるのはNHK鹿児島サイトだったりします。

7月3日

実習生の監理団体と加工会社に損害賠償を求めていることが分かりました。
これに対し監理団体側は、住環境の改善を行うとしたうえで人権侵害には当たらないとしています

太字は引用者

7月20日

監理団体はNHKの取材に対し、市外への外出やほかのフィリピン人との接触の制限については「コロナ禍で緊急事態宣言などが出されている間だけの対応で、現在は制限していない」と反論しています。また、罰として長時間立たされたほか、「フィリピンに帰れ」と言われたとする実習生の訴えについては「一切、事実無根」だと主張しています。

太字は引用者

実習生側は技能実習生の保護や支援にあたる国の認可法人「外国人技能実習機構」におととし以降、監理団体の対応について相談してきたということですが、「外国人技能実習機構」は「個別の事案の回答は差し控える」とコメントしています。

太字は引用者

12月19日

「枕崎市水産物振興協同組合」はNHKの取材に対し、技能実習生から不十分な住環境だと指摘された寮についてはすでに使用していないとした上で「行政処分を真摯に受け止め、対応していきたい」とコメントしています

太字は引用者

枕崎市水産物振興協同組合という監理団体、敷地内にあることからも枕崎水産加工業協同組合と同一とみなしていいでしょう。
今回の行政処分にあたって開示された固有名詞は監理団体代表1名のみ、しかもその人物名で検索して出てくるのは通販の商品説明だけ(とはいえ当該通販サイトで併称されているもうひとりは監理団体に加盟しているはずの商店代表者なので、貧乏籤を引いて「こういうときのために」代表にさせられたのかどうかまでは不明)

■それでね、記憶しておきたいんですがね

監理団体と受入れ企業の役職員の兼職について、制限しないよう求めている。現行監理団体のうち、92.9%は中小企業組合が占めており、兼職の全面禁止は現実的でないとした。
11月30日に小泉龍司法務大臣へ提出された技能実習と特定技能の見直しにかかる有識者会議の最終報告書では、受入れ企業と密接な関係がある監理団体の役職員について、監理業務への関与を制限すべきとしていた。

雇用主と、そこに紹介した実習生の面倒を見る立場の監理団体が同じなら、誰が人権侵害の砦になるんですか。
枕崎のニュースも本来は雇用している人間がヒドければ監理団体に訴えてしかるべき対応がとられればよかったわけです。
挙句「個別の事案の回答は差し控える」しか言わない上位の監督機関しか無いなんて、こんな致命的な制度設計がありますかね?

このたびの技能実習制度の解体において、数少ない「それは良い」「遅すぎるけどやらないよりはマシ」と誰もが思った、監理団体と受入れ企業の役職者の兼務制限を「現実的ではないから」やめさせるのをやめろ。って主張が出されている。
自浄能力はここには無い。私がそう申し上げる所以です。

■それでいうと

季節労働をさも良さそうなこととして報道しているんですけど、農業と漁業にのみ許されているこの人材派遣スキームもまた、労働者の人権無視の温床になりがちなわけです。
権力を監視する番犬、という根っこを忘れてないですか、大丈夫ですか。

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