【Vol.30】自分達は何屋なのか?
完全に個人の見解ですが、リクルート出身の人間にとって
「リクルートは何屋なのか?」という問いはついてまわると思っています。
何かのアンケートに答える時とかに、「職種」の欄とかで迷ったり、
何年前かのTOPGUNのテーマが「リクルートは何屋だ?」だったり。
(もう10年ぐらい前の話だけどもww)。
さて。今回の話は、事業ドメインの設定が大事だよって話なんですが、
結局「お前は何屋なの?」っていう話と同義。
Why are you here?とも似てるのかもしれません。
何が言いたいかというと、何屋にでもなれるのがリクルートだし、何屋にでもなって良かった(?)んだと思う。
住宅領域にいた時に、売っている商品としては情報誌やネットのコマだから、やろうと思えばいくらでも単なる広告営業になれた。でも、広告を売ることが目的じゃなくて、お客様の本当に役に立てるのか?ということを真剣に考えるからみんなそこからはみ出していく。
ベスプラもそう、TOPGUNもそう。結局アタリマエレベルを高く設定し、そこからはみ出してオモテナシの域へと入っていく。そして、それが事業にとってのアタリマエになる。この繰り返しでどんどん事業の提供価値が研磨されていく。
だから、何屋なの?お前はどうしたいの?
というのを常に問われていたんだと思う。
そこを定義することで、まずOBゾーンが明確になる。
やろうと思えばどこまででもできるから、どこまでに絞るかを定めないと散文的になったり、違うとこ突き詰めていってしまったり。掘っていくエネルギーが強いからこそ、ゾーンを決めないといけんのです。
と同時に、仕事の幅と深さは、志をどこに設定したか?
によって規定されてる。高いところに自分達の事業の意義や意味を設定するから、「え、そこまでやるの!?」という仕事のレベルにまで引き上がる。そして、個人としては、良い仕事をしたいと思うからこそ、引き上げることをしていく。
マクロミルでの経営者研修でも、経営計画策定していく時に一番最初は事業ドメインの設定から入った。結構、そこがブレイクスルーだったことを思い出した。マクロミルが調査会社と決めた時点で調査を提供する人たちになるけど、海外で言い始めた人がいる”インサイト会社”と言えば、顧客にインサイトを提供する人たちっていう括りになる。
我々(あなた達)は、どこに軸足を置いて、何を提供するんですか!?
というのが事業にとっての一番大きな問い。そしてこれはマーケティング上の、ポジショニングにも繋がる。どう思われたいの?何と比較されたいの?どんな時に想起してほしいの?っていう。CEP(カテゴリーエントリーポイント)の話だよなと。
結局、スタバが「コーヒー屋さんです!」って言わずに「サードプレイスだ!」って言っているのもそういうことだよね。ただのコーヒー屋さんだとしたら、どこでも同じになるけど、「我々はお客様にとっての第三の場所を提供する事業なのだ!」と置いた瞬間に競合が変わってくる。いわゆる、カテゴリ設定の話な訳です。
それを、「ストーリーとしての競争戦略」では、事業として何を軸に置きますか?という核心のことを、楠木さんはコンセプトと言っている。
最後に組織開発したときは、調査会社というポジショニングが明確に染み付いている中で、「調査があったら声かけます〜」とか、「いま大丈夫なんで〜。」みたいになっちゃうのって、違うよね。って思ったんです。
いやいや、マクロミルという会社が出せる価値っていうのはもっと色々ありますよ。っていう。調査やるときだけ呼ばれても?みたいな笑
そもそも、リサーチとサーベイ一緒にしないでもらって良いっすか?笑
みたいな。あなたの目指すゴールに向けたマーケティング・プロセスを一緒にデザインするんです。あなたの事業の成功に向けて一緒に伴走しますよ。っていう話を宣言しに行くと、お客さんの反応が変わる訳ですよね。
「え、ここまでできるんですか?」という反応。
いやいや、できますよ笑。って驚くぐらいww。
だから、Co-Marketing Designという概念を生み出して組織名にした。
社内外への意思表示として。
(組織作った2ヶ月後に辞める意思決定をしたのは内緒)
事業ドメインが決まると、従業員も意識が変わる。3人のレンガ職人の話と一緒で、「レンガを積む仕事」と捉えるのか、「壁を作る仕事」と捉えるのか、「歴史に残る大聖堂を作る仕事」と捉えるのか。
最初は違和感を持っていた当時のメンバーも、次第に「あ、自分達は違う括りなんだ。」という意識を持ってくれていたように感じるし、周囲からも違う形で見られていたのは大きな成果だった。
さて、事業ドメインの話から入っていろいろなことを書きましたけど、
”自分の仕事がなにか”ということをきちんと定義してそこに対して必要なアセットやスキルを身に着けていく。というこのプロセスは、組織にとっても個人にとっても、重要なこと。
あなたは何屋ですか?という問いは、
事業にも自分にも問い続けていくことが大事だと思う今日このごろであります。
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