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第8話:「学校法人・医療法人・社会福祉法人の役割」法人シリーズ全12話
教育、医療、福祉といった分野を支える非営利法人はどう運営されているの? 「私立大学って儲かってる?」とか「病院が医療法人ってどういうこと?」と気になったらこの話。ユキが普段何気なく利用している病院や保育施設の裏側に驚くこと間違いなし! 公共性とマーケティングの意外な結びつきが見えてきます。
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●法人紹介シリーズ
第1話:「法人とは何か? 基本概念と重要性」
第2話:「営利法人の基本 – 会社とは?」
第3話:「株式会社の仕組みと特徴」
第4話:「合同会社(LLC)とは? 特徴と活用法」
第5話:「合名会社・合資会社・持株会社」
第6話:「非営利法人の基本と種類」
第7話:「NPO法人の仕組みと運営」
第8話:「学校法人・医療法人・社会福祉法人の役割」
第9話:「公益法人と一般法人の違い」
第10話:「公法人(国・地方自治体・独立行政法人)」
第11話:「法人の税金と資金調達」
第12話:「法人設立の実務——会社を作る方法」
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学校・医療・福祉法人との出会い —— ユキの素朴な疑問
朝のオフィスビル。エレベーターを降りたユキは、デスクへと急ぎながら心の中で新しい学びのテーマを反すうしていた。ここ数週間取り組んできた「法人編」は、すでに営利法人のさまざまな形態、そして非営利法人の大枠とNPO法人についても学び始めたところだ。ところが上司からの次なる課題は「学校法人・医療法人・社会福祉法人を掘り下げてまとめてくれ」というもの。ユキは正直、教育や医療、福祉の現場にそこまで詳しくない。
「私立学校とか、私立大学は学校法人っていうし、病院が医療法人で運営されるって聞くけど……どうしてわざわざ法人になるんだろう? しかも非営利って、何だかピンとこないかも」
昼休み、社内のカフェスペースで同僚に尋ねると、「まあ営利じゃないってことは分かるけど、学校とか病院って普通に儲けてるんじゃないの? 授業料とか診療報酬とか……。どういう仕組みなんだろうね」と、同僚もいまいち見当がつかない様子。ユキはますます気になり、詳しいことはやはりうさぎ先生のレクチャーに頼るしかない、と決心する。
夜、アパートに帰宅すると、リビングのソファでいつものように羊羹をかじるうさぎ先生がいた。靴を脱ぎつつ「先生、ただいま。今日は学校法人・医療法人・社会福祉法人の話を教えてもらいたいんですけど、学校や病院って本当に非営利なんですか? 利益を出してるイメージありますけど……」と問いかける。
先生はテレビを消し、柔らかい口調で「おかえり、ユキくん。たしかに学費や診療費で資金を得ているけれど、利益を構成員に分配せず、事業や施設の運営に再投資するのが非営利法人のポイントさ。教育・医療・福祉は公共性が強いからこそ非営利の枠組みで安定的に提供される仕組みがある。今日はそこを詳しく解説しよう」と耳をぴんと立てて微笑む。
ユキは腰を下ろし、「お願いします! 学校とか病院って当たり前にあるけど、法人としてどう運営されているか考えたことなかったんです。マーケティングとも無縁じゃないですよね? 生徒募集や病院のブランディング、福祉施設の資金調達……いろいろありそう」とワクワクしながら準備を整える。こうして「法人編 第8話:学校法人・医療法人・社会福祉法人の役割」が始まろうとしていた。
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教育・医療・福祉の非営利法人を深掘り——仕組みとマーケティングのつながり
深夜のアパート、リビングの照明を落として、ユキは床に座りノートPCを開く。ソファにはうさぎ先生が鎮座し、静かに話し始める。今回のテーマは「学校法人・医療法人・社会福祉法人」。
前回までにNPO法人など非営利法人をざっくり学んだが、教育・医療・福祉という公共性の高い領域ではまた別の仕組みや法律が働いているようだ。
1. 学校法人とは? 教育を支える非営利法人
先生はまず、「学校法人からいこうか。私立大学や私立高校、専門学校などは学校法人として運営されることが多いよ。国立大学法人とは別物だけど、私学は法人格を取って安定的に教育を行う仕組みだね」と切り出す。
ユキは「私立の大学って、学費をたくさんもらってるイメージがあるんですけど、それでも非営利なんですか?」と疑問を口にする。先生は耳を立てながら微笑む。「うん、学費や寄付金は得ているけど、その利益を配当しないんだ。余剰金が出ても教育の質向上や施設整備に再投資する。学校法人法という法律で監督を受けながら、安定した教育サービスを提供しているんだよ」
ユキは「なるほど……じゃあ経営が苦しくても社会的役割があるから、ある程度公的支援や税制優遇があるんでしょうね。マーケティング視点では私立大学や専門学校が生徒募集のためにブランドイメージを作ったり、オープンキャンパスを大々的に宣伝したりしてるのを見るけど、それも法人としての安定感があるからできるわけですか」と納得する。
1-1. 私立学校と学校法人法
先生は「そう、私学は独自の教育方針やブランドを打ち出せる代わりに、学校法人法の制約もある。理事会や評議員会を設置し、教育目的に即した運営を義務付けられる。営利企業のように株主はいないから、学費収入などが主な資金源となるんだ。ただ資金難に陥る学校もあり、経営努力や魅力的な学科設置が不可欠だね」と話す。
ユキは「なるほど……確かに生徒募集が集まらないと経営が危なくなるけど、だからといって配当を出すわけでもなく、教育投資に回す。マーケティングで生徒を集める必要があるけど、企業の‘売り上げ追求’とは違う公共性が強い……。ここが非営利法人の面白いところですね」とメモを取る。
1-2. ブランディングと生徒募集の戦略
先生は「学校法人もブランディングを重視するよ。特に私立大学や専門学校は『うちの学校はこれが強み!』とPRして生徒を集め、就職サポートや留学プログラムで差別化を図る。マーケティング担当としては、学内イベントやSNS活用、オープンキャンパスの演出などを戦略的に設計することが重要だ。学費=売り上げとも言えるが、それを生徒に『教育価値』として納得してもらう必要があるんだね」
ユキは「確かに、オープンキャンパスに力を入れてる大学ってよく聞きます。パンフレットも作り込んでいて、広告代理店が入って本格的なCMを打つところも……。でも利益は配当せず学校運営に回すわけか。ここでしっかり生徒を集めないと運営が危ういわけですね。非営利だけど経営感覚が必要な世界だなあ」と感心する。
2. 医療法人とは? 病院運営と診療報酬
先生は「次に医療法人を見てみよう。病院や診療所を法人化した形で、医療法という法律で定義される。これも利益分配が禁止され、医療機関の安定運営が目的だよ」と話を進める。
ユキは「病院って基本的に診療報酬や窓口での支払いを受けてますよね。でもそれで得た利益は配当できない? 一方、高度な医療機器を導入したり建物を維持したり、コストも膨大かと……。どう成り立ってるんでしょう?」と首をかしげる。
先生は「医療法人は診療報酬制度に基づいて収入を得て、そこで余剰が出ても内部留保や医療施設の充実に回す。医療の公共性を守りつつ、ある程度の経営マインドが必要だね。マーケティング視点では、地域住民に‘安心安全の医療サービス’をどうPRするかが鍵だ。派手な広告こそ少ないが、病院の評判はSNSや口コミで大きく左右される面もある」と耳を立てる。
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2-1. 病院のブランディングと患者獲得
先生は「意外に思うかもしれないが、病院やクリニックもブランディングを気にする。例えば‘最新機器導入’や‘専門外来の充実’などで患者を集める。患者が増えれば安定収入となり、設備投資を増やせるから医療の質が上がる。マーケティングとしては、WEBサイトや口コミサイトでの評価を良くする戦略が多いね」と言う。
ユキは「たしかに、病院のホームページって最近すごくデザインを凝っていて、専門外来や医師の経歴を詳しく載せてますよね。待ち時間の少なさをアピールしてたり……。これが‘非営利だから広告は不要’ってことにはならないんだ。患者獲得も一種のマーケティングなんですね」と納得する。
2-2. 経営の厳しさと公的支援
先生は「医療法人でも経営難に陥る病院は多い。医療機器は高額だし、人件費(医師・看護師)も大きい。地方だと患者が少なく、赤字経営のところもある。地域医療を守るために公的補助を受けたり、大病院と提携したりするケースが増えてる。ここでも情報発信や広報が重要で、地域住民や行政の理解を得る必要があるね」と続ける。
ユキは「なるほど……だから地元の病院がイベントを開いたり、健康フェアを主催したりするんだ。マーケティングが病院経営を助けるって、考えてみれば当たり前ですが意外でした。でも非営利だから配当はないし、あくまで医療の質向上に再投資するんですね」と感心する。
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3. 社会福祉法人とは? 介護や障害者支援の現場
先生は「次に社会福祉法人を見てみよう。これは介護施設や保育園、障害者支援施設などを運営する形態で、社会福祉法が根拠だ。これまた利益配分をしない非営利の枠組みだね」と話を進める。
3-1. 介護保険や保育事業とのつながり
ユキは「社会福祉法人といえば、特別養護老人ホームとか保育園ですよね。これらは行政の補助や介護保険制度を活用して運営費を賄うイメージがあるけど……マーケティングって必要なんでしょうか?」と素朴に尋ねる。
先生は「必要だよ。たとえば介護施設なら、どんな介護サービスを提供できるのか、スタッフの質や設備をどう整えるのかをアピールしないと利用者が集まらない。保育園だって保護者に『安心して子どもを預けられる』と思ってもらうために情報を発信する。待機児童問題や地域のニーズに応じて施設を拡充するにも、行政との連携や寄付金が必要な場合もあるんだ」と耳を動かす。
3-2. 利用者獲得とCSRの連携
先生は続ける。「社会福祉法人も経営が苦しいところは多いが、企業のCSRと連携して寄付を受けたり、ボランティア協力を得たりする例が増えてる。企業が社会福祉法人とコラボし、イベントや募金活動をするのは、企業イメージ向上にもなるし、法人側も資金確保や知名度UPに繋がる。これもマーケティング視点での協力モデルだね」
ユキは「たとえば企業が社会福祉法人の施設を訪問して一緒にイベントを行い、その様子をSNSで発信……すると企業は‘社会貢献企業’として評価され、法人は寄付や人材のサポートを得やすい。共感と利害が一致してウィンウィンなんだ。こんな形があるんですね」と感心する。
3-3. 利益を出すのはOK、でも配分は不可
先生は「社会福祉法人も有料老人ホームや保育園で利用者から費用をもらって‘利益’が出る場合はある。ただし、それを出資者に分配せず、サービスの質向上やスタッフの待遇改善に回す。ここが非営利法人の本質だ。マーケティングで利用者を増やし、収益アップしても、それは活動に再投資されるわけだよ」と話す。
ユキは「なるほど……だから‘社会福祉法人が儲けている’と思っても、配当を得る人がいない。結果、施設やサービスが良くなる。利用者にも還元される……非営利法人のあり方が分かってきました」と頷く。
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4. マーケティング視点で見る三つの法人
先生は「ここまで学校法人・医療法人・社会福祉法人を見たけど、三つとも公共性が高く、営利目的で配当を出さない。ただ、資金繰りや利用者確保の点でマーケティングが重要になるんだよ。少しまとめよう」と提案する。
4-1. 学校法人:生徒募集とブランド力
私立大学や専門学校
学費や寄付で運営。ブランドを確立し、オープンキャンパスや広報で生徒を集める。
→ マーケティングとして、教育の魅力や就職率、学内イベントなどをPRし、受験生や保護者の安心を得る。
教育×企業コラボ
企業が大学と産学連携することで新技術の研究や学生インターンシップを活性化。両者のメリットをどう打ち出すかが鍵。
→ マーケティングの視点で、大学の知名度や企業のイメージ向上を狙える。
4-2. 医療法人:地域医療と病院ブランディング
診療報酬と経営
収入は診療報酬が中心。最新医療機器や人件費の負担が大きく、経営が厳しい場合も。
→ マーケティングで病院の専門性や安心感を打ち出し、地域住民からの信頼を高める。
SNSや口コミサイトの影響
病院選びで患者がネット情報を重視する傾向が強まっている。良い評判を得るためのWEBサイト整備や丁寧な接遇が大切。
→ 広告よりも口コミや体験談が重要となる“医療ブランディング”を構築する。
4-3. 社会福祉法人:介護・保育・障害者支援
介護保険や保育制度との連携
公的制度に依存する部分が大きく、行政との連携や補助金獲得が不可欠。
→ マーケティングとしては地域コミュニティへの訴求や信頼醸成が鍵。
企業のCSRと協力
社会福祉法人が企業と共同でイベントや寄付キャンペーンを展開し、双方にメリットが生まれる。
→ マーケター視点で企業とのコラボ企画を設計し、施設の知名度と支援を拡大できる。
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日常へ戻るユキの成長、次のステップへ
数日後、ユキは自社の企画会議で「地域の老人ホームにイベントを提案する」プランをプレゼンした。そこは社会福祉法人が運営しており、地域密着だが入居者募集に苦慮しているという。ユキは「社会福祉法人である施設の安心感や公共性をアピールするSNSやチラシを作り、地域住民と触れ合うイベントを開催すれば、入居希望者も増えるんじゃないか」とアイデアを披露。上司は「なるほど。公的補助があるとはいえ、利用者が減ると厳しいからな。うまく支援して広報を手伝おう」と賛成した。
夜、アパートで先生に「今日、社会福祉法人とのコラボ案が通りました! やっぱり非営利法人だからこそ、利益じゃなく安心や地域貢献を訴求したほうが良さそうって話でまとまって……。先生に学んだことが活きてます!」と報告。
先生は穏やかに笑い、「そうか、それは良かったね。教育・医療・福祉はいずれも公共性が高く、社会が求めるニーズをどう満たすかが鍵。そのためにマーケティングが必要とされる場面は多いんだ。これでまたひとつ法人の世界を広く見渡せたね」と耳をぴんと立てる。
ユキは大きく頷き、「はい、なんだか今まで‘会社以外の法人’は遠い存在かと思ってたけど、学校や病院、福祉施設って私たちの日常を支える大事なインフラなんですよね。非営利だけど経営があって、マーケティングがある。これまでの学びで‘法人=営利企業’だけじゃないって実感しました」と笑う。
こうして「法人編 第8話:学校法人・医療法人・社会福祉法人の役割」は終わりを迎える。ユキは教育・医療・福祉という重要な領域を担う非営利法人について、運営の仕組みや資金調達方法、そしてマーケティングの必要性をしっかり理解した。次回はいよいよ公益法人など、さらに公共性の強い法人へと進むかもしれない。ユキの視野は着実に広がっていく。
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用語解説
学校法人
私立大学や専門学校、高校などを運営する非営利法人。学費や寄付で運営し、利益は再投資に回す。学校法人法の制約下にあり、理事会などを通じて安定した教育を行う。
医療法人
病院や診療所を運営する非営利法人。診療報酬制度や人件費に左右されながら、利益を配分せず医療サービスの向上に再投資する。地域医療や病院のブランディングが重要。
社会福祉法人
介護施設、保育園、障害者支援施設などを運営。収入があっても配当はせず、福祉サービスの改善に使う。公的補助や地域との連携が欠かせない。
非営利法人の公共性
教育・医療・福祉は公共性が高く、法人化することで安定的なサービス提供と税制優遇を受けながら運営。利益を分配せず、利用者や社会のために活用する。
マーケティング視点
学校法人:生徒募集やブランドイメージ構築(オープンキャンパス、就職実績PRなど)。
医療法人:病院の専門性や安心感を打ち出す(WEB・口コミで患者獲得)。
社会福祉法人:地域住民や企業の協力を得るイベントやCSRコラボを企画。
税制や監督
学校法人法、医療法、社会福祉法などに基づき運営。公共性を維持するため、行政による監督や定期報告の義務がある。
企業×非営利法人の連携
CSRやCSVの文脈で、企業が教育・医療・福祉法人とコラボする例が増加。企業イメージ向上と法人の資金・技術確保が両立する。
次回予告
次回は「法人編 第9話:公益法人と一般法人の違い」。非営利法人の中でも“公益性が高い”とされる公益社団法人・公益財団法人と、一般社団法人・一般財団法人はどこが異なるのか? 公益認定を受けるメリットや行政の監督はどのように行われ、税制上どんな違いが生まれるのか。寄付者の信頼を獲得する“公益性”という要素がマーケティングにもどう響くか——ユキがさらに掘り下げていきます。どうぞお楽しみに!
次話はこちらから👇
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