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フラッシュバックにどう対処すればいいのか? 『子ども虐待と複雑性PTSDへの簡易処理技法』を読みました
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概要
難治性複雑性PTSDが10分間の外来診療で治療可能に
【内容紹介】発達性トラウマ障害や複雑性PTSDなど、現代児童精神科医療における最大のテーマであるトラウマへの簡易処理技法テキスト。
【目次】
第1章 慢性反復性トラウマが引き起こすもの
第2章 TSプロトコールの概要
第3章 治療の実際
第4章 子どもへの対応
第5章 さまざまな事象への対応
第6章、TS自我状態療法
第7章 TSプロトコールは何をしているのか
第8章 終結に向けて
付 録 TSプロトコールのインストラクション集
付録2 セルフケアを試みる人のために
文 献
読書感想文
トラウマに関する本は以前にも紹介したが、この本には載っていない症状や対処法があり、大変勉強になった。
まず、解離性幻覚というものがある。これは上の本に載っていなかった症状だ。
私も高一の時に神様を見たり神託を聞いたりしていた。自分は統合失調症かと思った時期もあったが、主治医によれば、「複雑性PTSDの稀に見られる症状だ」との事。
また、被虐待児の脳は萎縮しているという症例は以前にも紹介したが、この本では具体的に説明される。脳梁や前頭前野の萎縮、側頭葉ひいては海馬の変形だ。
被虐待児の脳波の異常は発達障害より高いことが明らかになっている。
つまりは、トラウマは心の傷だけでは済まず、脳の変形と機能異常を引き起こす、脳の傷といえる。
そして、被虐待児の過半数が発達障害の診断になると、具体的な症例が挙げられている。これも以前、記事にした。
極端なネグレクトによって、自閉症類似の症状を子どもたちが示すようになることは以前から指摘されていた。
(中略)
一般的な被虐待児において、安心がない中で育った子どもたちにおいては、戦闘モードが持続するため、多動、注意の転導性、さらには社会性の欠落が生じるため、カテゴリー診断を用いると、ASD/ADHDの診断になる
また、被虐待児が子を産んだ場合、自分にされたように子供へ接してしまう。つまりは、虐待が虐待を生むのである。そういった例も紹介される。
これは、虐待に関するルポルタージュでも、いくつかの事件が詳細に説明されている。虐待された人が虐待する側に転じる心理については、この本よりも、虐待を追ったルポの方が詳しいので、興味・関心のある方は閲読してほしい。
暴力などの反社会的な言動は、言わばソシオパスだ。感情麻痺は共感能力が乏しいと言えるし、我々はサイコパスに近しい人格を持っていると、私は解釈した。
他にも、飲酒や過食、肩こりや慢性疼痛、ドタキャンをしてしまうなどの症例が挙げられている。
少しでも不快なことは意識から飛ばしてしまう。自分が作った昨日の夕食の献立を思い出せない。出来事を時系列で辿ることが出来ない。
(中略)
何よりも重い要因とは、他者への深い不信の存在である。
トラウマは完全には治らない。どう上手く付き合っていくかを考えなければならない。
当たり前の話になるが、フラッシュバックが起きた時に、その記憶を追わない事。昔の事を思い出さず、将来の楽しい目標に向かって突き進めるのが一番良い。
もちろん、当事者にとってそれが難しいのはわかる。私も複雑性PTSDだからだ。でも、そこを何とか、決めてみよう。
「次のクールに放送されるアニメが楽しみ」とか、そういうものでもいい。何か未来に楽しみを作って、それを生きがいに人生を楽しんでみてはいかがだろうか。
私も主治医に言われた。「無理して過去を思い出すな」と。
思い出したところで不幸でしかないし、憎悪や憤怒、不安が沸き上がるだけ。
――困難だけど、未来を明るい風に捉えられるといいな。
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