読書記録29 「希望の糸」
感想
加賀恭一郎シリーズは、どちらかとうと、トリックを見破ってとか、まさかこの人が犯人だったのかというような大どんでん返しがない作品が多いです。
むしろ、犯人が「なぜ、そんなことをしたのか?」という動機や事件の裏側で進行していたなぞ解きが魅力です。
人物の細かな行動から推理するところは、ある意味、日常生活に密着していて、思わず納得、共感してしまうものばかりです。
今作の「希望の糸」も、殺人事件としては一つだけでした。
しかも、犯人は比較的に早い段階で逮捕されます。
ここでは、どうして殺人に到ったのか、そして、その家族にまつわる謎を解くことがメインテーマでした。
たとえ記憶がなくなりつつあっても、血のつながりがなかろうと、遠く離れていようと「糸が切れていなかった」ということがこの物語を象徴していました。だから、タイトルが「希望の糸」なのかと改めて考えさせられました。
加賀恭一郎作品には「麒麟の翼」「赤い手」「悪意」など、があります。それぞれの作品はつながっていて、だんだんと加賀恭一郎自身の成長や、家族にまつわる話や謎も解き明かされていく面白さがあります。
加賀恭一郎が人間味のある優秀な刑事だなあと思わせる言葉に、次のようなものがありました。
・自分の勘が外れていることに気づかず、的外れな捜査に固執する刑事は優秀とは言えないが、少しばかり思惑通りにいかないから解いて、すぐに勘が外れたと決めつける刑事も大したことはない。
・刑事と言うのは、真相を解明すればいいというものではない。取調室で暴かれるのではなく、本人たちによって引き出されるべき真実と言うものもある。その見極めに頭を悩ませるのが、いい刑事だ。
家族や男女関係に関する言葉で印象的だったのは、次の内容でした。
原作を基にした映画もk数多くつくられているので、見てみたいです。
主演は、阿部寛さんです。
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです