見出し画像

予想しなかった偶然を活かしたキャリアアップ~計画的偶発理論・齋藤孝先生、小林正観さん

「計画的偶発性理論」というキャリアの考え方があります。
 この考え方によると、個人のキャリアの8割は、偶然の出来事によって決定されるそうです。簡単な要約は次の通りです。
 
「計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)は、心理学者のジョン・D・クランボルツ教授によって1999年に発表されたキャリア理論です。クランボルツ教授がビジネスパーソンとして成功した人のキャリアを調査したところ、そのターニングポイントの8割が、本人の予想しない偶然の出来事によるものだったそうです。
 
 学校でも「キャリア教育」が行われ、いろいろな実践がんされています。
 
 例えば、自分の特性や強みを知って、自分に合う職種を選ぶことです。
 例えば、実際の企業や施設などに行っての職場体験実習です。
 さらに、「何か目標を決めて取り組む、達成する」ということも、キャリア教育のベースにあります。具体的には、将来の目標を決め、計画を立て、それに向かってキャリアを積み重ねていく、勉強をして資格を取得するなどの考え方です。目標をもつ(決める)、目指したい方向性を決めることで、意識を集中できますし、勉強に身が入ります。また、関連する情報も入手しやすくなります。
 脳は、意識が焦点を当てたものに関する情報を取捨選択する~特に「目に入ってくる」ようにできているからです。(歯が痛みだすと、普段の通勤時には気付かなかった、通勤経路の歯科医院の存在が意識されるという、あの現象です)

 ただ「目標に固執する」と、逆に目の前に訪れた想定外のチャンス(多くは、不幸?トラブル?の形でやってくる)を見逃しかねません。

 目標をもつということは、ある意味、別の目標をあきらめるということとイコールです。
 どんな人にも同じように1日24時間の制限があります。
 何かに力を注ぐということは、別のものには力を入れられないということでもあります。

 なので、「人生」という総合的な視点で見た場合、目標にこだわりすぎる、目標にとらわれ過ぎると、逆に無駄なことをしていたり、偶然やってくる、チャンスに気づかなかったりする弊害もあります。

 基本的に、仕事は

「自分がやりたいことをする」
「好き嫌いで行う」
「キャリアを積もう」
「ステップっプをはかろう」

ではなく、

周りの人は、自分に何を求めているのか、自分はこの社会(職場)でどんな仕事ができるのかということを考えている人に「あちらからやってくるもの」ともいえます。

 なので、逆説的ですが、目標に固執したり、目的意識を明確にしすぎたりしないで、漠然としたビジョンの下でのほうが、偶然のチャンスをつかんでいけます。

偶然、巻き起こる事象や出会いによってこそ、「キャリアアップ」が見込めるのかもしれません。

 実際、明治大学教授の齋藤孝先生も、「人のリクエストに応えることで、キャリアアップしてきた」と、ご自身のこれまでの仕事を振り返っています。
 
 齋藤先生は教育学者で、専門は教育学や身体論です。将来、学校の先生になる人の教育にあたっています。そして、初めての著書は、ご自身の専門である身体論をもとにした「宮沢賢治という身体」でした。
 
 そして、さらに身体論をもとに、2001年9月発表した「声に出して読みたい日本語」がベストセラーになりました。
 当時、「日本語」というタイトルもあってか、「日本語の専門家」と思われたようで、そこから、日本語関係の仕事が依頼されてくるようになりました。特に有名なのが。NHK「にほんごであそぼ」の総合指導を任されたことです。
 総合指導するからには、「専門外だから」というのではなく、責任をもって、調べて、アドバイスしたそうです。
 例えば、「徒然草」に出てくる「日暮らし」は、「ひぐらし」と読むのか「ひくらし」と読むのか、といったような内容を毎回の放送内容に合わせて、調べて学びました。こうして、大変な部分もありつつ、それが知識ともなっていき、楽しい事でもあったそうです。そして、日本語と深くかかわることで、コミュニケーションやお笑いなど言葉を介した分野の仕事にも幅が広がります。
 
 他にも「田中角栄で1冊本を書かないかとの依頼」が来ました。
 政治は専門外・・・ということではなく、田中角栄の話し方の魅力を言葉と身体性というご自身の専門とからめたの視点で引き出し、まとめました。
 断ることもできたのでしょうが、「断れば、新しい学びのチャンスを失う」という思いから、引き受けます。
 そういう、専門以外の学び~日本語、ビジネスのこと、政治のこと・・・~があって、今では、テレビのニュース(情報)番組のコメンテーターもしてみえます。
 
 小林正観さんもよく
「頼まれごとから、使命が見つかる」
「自分がやる羽目になり与えられたことを、ただひたすら淡々とやり続けていく」

と言っていました。
 そして、

頼まれごとを通して、「人に喜ばれる存在になる」ことで、「自分の幸せにつながっていく」と確信していたようです。

 自分が今まで経験したことがない事や専門外の仕事などは、なかなか引き受けるのにも勇気が要ります。また、引き受けたにしても、1から勉強をするのは、かなり大変なことだと思います。
 しかし、

「飛行機は逆風で浮力が大きくなる」といいます。
 ある意味、人間も時には逆風~人からの依頼を受けた新しい挑戦~が必要なのかもしれません。

 その時、自分が「得意なこと以外は無理だ」と決めつけないで、人から求められた時が学びのチャンス、キャリアアップのチャンスととらえて挑戦すると、人生が開けてきます。

たとえ、失敗したとしても経験という財産が残ります。そして、次につながります。
 挑戦した仕事や勉強が、ものにはならなくても、その仕事で知り合った人によって、別の仕事が舞い込むことだってあります。 

キャリアアップは、縁を介して、「人から運ばれてくる」要素も大きいようです。

 
 みなさんはいかがでしょうか?
 
ここまで読んでいただき、ありがとうございます
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです