いのちの電話と、友情。
朝起きたら、
普段電話してこない友達から着信履歴があった。
「どしたん?」
「ちょっと相談に乗ってほしいことがあって」
「いいよー!」
その日の夜、改めて話した。
「実は最近うつ傾向があって、環境変えれば治ると思ってたんだけど、それでもだめだったんだよね」
「そうだったんだ」
「精神科も話ちゃんと聞いてくれるような先生じゃないし」
「誰にも相談できなくて、頼らせてもらったって感じ」
彼の声は終始震えていた。
そうとう勇気を出して、電話してくれたんだろう。
「それはつらいね」
「今までずっと自分の価値なんてないって思って生きてきたから、このまま働けなくなったらどうしようとか思うとよけい不安で」
わかる。僕も思ったことが何度もある。
僕は率直に思ったことを伝えた。
「話してくれてありがとう」
「〇〇は自分に価値がないっていうけど、今日こうやって俺に頼ってくれたじゃん?」
「こんな話を勇気出して話してくれるくらい、信頼されてるんだなって思って、俺すげー嬉しいんだよね。少なくとも俺は今日、幸せな気持ちで寝れるよ」
「だからさ、頼ってくれただけで価値あるよ」
友達は電話越しに泣いていた。
「そんなふうに思ってくれる友達がいるだけで、心強いし、幸せだわ」
僕は、彼が職を失おうと、どんな肩書きになろうと、今までと変わらず「ラーメン食おうぜ」と誘うだろう。
そして彼もまた、僕がどんな状態になっても、そうすると言ってくれた。
「だからさ、またつらくなったら頼ってよ」
「俺も頼るかもしれないし笑」
結局彼とは、そのあと2時間たあいもない話をして笑い合った。
もし今悩んでいる人がいれば、勇気を出して誰かに相談してみてほしい。
「相手に重いと思われないかな」
そう思ってしまうだろう。
でも、頼られた側は嬉しいんだ。
生きる勇気をもらえる。
頼る勇気と、頼られる嬉しさ。
お互いに支え合って、つらさを乗り越えていこう。