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やばいよやばいよ!

 *この記事は、見えない世界の住人のトイレ事情が赤裸々に書かれています。シモ系の話題が含まれているので、苦手な方は、ここでやめておいた方がよいかもしれませんよ 笑

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ボク、、、実は、、、お腹が弱いんです。
 飲んだ次の日や辛いものを食べた次の日などは、だいたい世界の神々に祈ったり、体内の最後の砦になる

「門番」

 と語り合うことになるんです。

 「だったら、暴飲暴食をやめればいいじゃーん!」ってよく言われるんですけど、人間、そんなに簡単に変われないんですよねーー。
 あははははーー。
 昨日も、「辛ラーメン」食べちゃったし、、、。
 

 見える世界の住人だった頃は、この「お祈り」や「門番との語らい」もちょっとしたネタとして笑い飛ばせていたのですが、見えない世界の住人になったボクにとっては、世界で騒がれているいかなる社会問題や環境問題よりも切実な「お題」になっているんです。
 だって、、、
 一歩間違えると、ボク自身が「環境汚染」してしまうかもしれないので、、、。
 汗
 簡単に言えば、見える世界では、お腹が痛くなったら、近くのトイレ(もしくは、茂み?→決してお勧めはできません!)を探してじっくりと祈りを捧げルコとができますよね。
  しかーーーし。
 見えない世界の住人にとっては、見える人のように、例えば、駅や商業施設の案内を見てトイレを簡単に探すことができないんですわーー

 何か策を講じなければ、お腹が弱いボクが環境汚染してしまう絶望的な情景が頭に浮かんできませんか??

 あーーー、コワイコワイ! 汗汗

 では、見えない世界ならではのトイレ事情を、「やばいよやばいよ!お腹が痛いよ!」となってから、「あーーよかったー!すっきりしたーー!」になるまでの流れに沿ってまとめていきたいと思います。
 まぁ、「やばいよやばいよ!」になる前にトイレに辿り着いておきたいのですが、、、。

1 トイレはどこだ!?
 まずは、トイレまで行かなければ大変な惨事になってしまいます。
 ボクは、通勤路やよく行く店舗では、頭の中に「マイ トイレルートマップ」を作成して記憶するように努めています。
 例えば、家から駅までのルート上では、ローソンとファミマにトイレがあり、各店内のトイレの位置なども大まかに記憶しているので、やばいよやばいよ時には、だいたい一人でトイレまで行くことができるでしょう。(もしかしたら、店員さんにヘルプをお願いすることがあるかもしれませんが、、、その時は、よろしくお願いします。)また、電車に乗る駅のロータリーには、公衆トイレがあるのも知っています。電車を降りてから職場までの道中もいくつかトイレの場所は覚えています。

 見える世界にいた頃は、こんな「トイレマップ」をわざわざ作らなくても、その場でコンビニや公衆トイレを目で見て探せば何のトラブルにもならなかったのです。しかーーし、目で見てすぐに探せない今のボクにとっては、いつやってくるか分からない「やばいよやばいよ」に備えて、「マイ トイレマップ」の作成と拡張は、安心して外出するためにとても大切なことなのですよ。備えあれば憂いなしですね。
 ちなみに、マイトイレマップは
徐々にサービスのエリアを拡大しているんですよ。何回か行ったことのある飲み屋さんや食べ物屋さん、乗り換えでよく使うターミナル駅などのトイレの場所を少しずつ追加して、人知れず、ニヤニヤしているところです。


2 どっちだ!?
 さて、ここでみなさんに質問でーーす。

<質問>
 あなたは、全く見えません。
 マイトイレマップを駆使して、トイレ付近までやってきました。
 トイレの入り口付近に立っています。
 近くには、誰もいません。
 このトイレは、今場所だけは知っているものの、までに使ったことがありません。
 お腹が痛いです!
 やばいです!!!
 めっちゃ、、、やばいです!!!!!!


 さて、あなたは、これから重大な決断を下さなければなりません。それは何でしょうか?




ヒントは、

どっちだ!!?

です。

 では、一緒に答えを見てみましょう。

 、、、とその前に、一つ気がかりなのですが、

 読者の中に、

「もうこの場でする!」

という決断を下した方はいますか?

 その決断、ちょっと待って!も
 う少しだけ耐えれば、全てが報われる「祈りの個室」にたどり着けるので、あとちょっとだけがんばって!

あはっ
あははははー

 いらぬ妄想でしたか?
 失礼しました。


 ここで見えないボクがクリアしなければならないのは、

「どっちが男用トイレだ???」問題です。

 これに間違ってしまうと、

 警察を呼ばれる。→不審者(変態)の烙印を押される。→SNSで炎上して叩かれる。→社会的に大きなダメージを負う。

という恐ろしい結末につながってしまう可能性があるのです。

 さぁ、どーーーーしましょーーー!

地下鉄の一部の駅などでは、「こちらが男子トイレです。」などと、音声で案内してくれる場所もありますが、ほとんどの場合は音声情報はありません。また、トイレの点字案内板があるところもありますが、点字等の情報が多すぎて分かりにくいと全盲の友人が話していたのを聞いたことがあります。

 
 ボクの対処法としては、
 1 誰か通りかかるまで待って、聞く。
 2 多目的トイレがあれば、そこに入る。
 3 人生をかけた、「どちらにしいようかな」をトイレ前で執り行う。

 でも、、、。「やばいよやばいよ」状態だったら、、、

人が通りかかるのを待ったり、

多目的トイレを探したりする余裕はなく、

「人生を賭けたどちらにしようかな」

を選んでしまうかもしれませんね。

 実際に、視覚障害のあるボクの友人が、街の公衆トイレで誤って女子トイレに入ってしまい、個室で祈りを捧げていたら、「コツコツコツ」と、明らかに女性の足音が聞こえてきたことがあるそうです。

 彼曰く、「やっちまったーーっ!オレの
人生、おわったーー!」と思ったそうです。

 結局、彼は女性の足音と気配がなくなるまで個室で耐え忍び、無事トイレから出られたとのこと。
 一応記しておきますが、彼はとても真面目な視覚障害者であり、「そういう趣味」は一切持っていませんからね。

 いやいや、これは、視覚に障害があると、誰もがやらかしてしまう可能性があることなのです。

なので、ボクは、可能な限りトイレの場所と同時に「どっちが男用トイレか」
、余裕があれば、多目的トイレの場所も覚えるようにしています。
 または、人がデイリするのが分かりにくい公衆トイレではなく、できるだけ、コンビニや駅など、いざとなったら援助依頼できる人がいる場所に向かうようにしています。

 3トイレ内の大きさは!?
 特に初めて入るトイレの場合、無事にトイレの内部に足を踏み入れた後も気を抜くことも門番への防御指令を解くこともできません。
 それは、トイレ内の大きさを把握し、個室を探し出す必要があるからです。
 小規模な店などでは、トイレ=個室な場所もありますが、昭和からあるような古い飲み屋さんでは、男用トイレ=立ち便器しかない、なーんて事態もあり、個室は男女共同になっている場合もあります。 こうして無事に個室に辿り着ければ、速やかに「お祈り」を始めることができますが、駅やスーパーなどでは、何人も入れる大規模なトイレもあるんですね。このような場合は、トイレの中で、他の利用者を意識しながら小便器や個室の場所を見つけ出さなければなりません。時には、行列に並ぶことも必要になります。
 見えていれば、行列があるか、トイレ内の配置はどうなっているのか、一目瞭然ですが、見えない世界では、トイレの中でも「大冒険」が待っている可能性があるんです。まぁ、見えない世界でレベルアップを目指すなら、いろんなトイレで冒険を重ね、無事に生き残って出てくることが大切になるのですが、、、。

 まるで、ドラクエやFF
のダンジョンを攻略する感じです。なめてかかると、ヤラレちまうやつですね。

4 個室内の作りは!?

 さーてさて、よーーーーやく「祈りの儀式」が許される小部屋を発見したボク、、、。

 一刻も早く儀式に取り掛かりたいものの、
ここでいくつか個室の中を確認しておく必要があるんです。

 あーーー、もーーー!勘弁してくれーーー、な心境ですが、見えないので仕方ありません。
 ボクの門番に、は、できるだけやさしくおおらかに、」キミならもう少しだけ頑張れるもんね。あと少し、、、あと少しだけ待っててね。まだだからねーーー!」と語りかけながら、次のことを確認します。
 1 個室は、和式か洋式か?

 最低限、これだけは白杖で探って確かめないと、祈る姿勢が違いますからねー。

 さらに個室内を冒険する気力があり、門番も、「まだまだ、いけまっせーー!」と、ゆとりがある時は、
 1 トイレットペーパーの残量は?
 2 流し方は?

の2点を確認します。
 これは、うかつに祈りを始めると、後から途方に暮れたり、周囲の人に迷惑をかけたりする可能性があるからです。

 実際、ボックは、これらの事前確認を怠った結果(というよりも、確認するゆとりもなかったので)、お祈りの後に途方に暮れたことも、人に迷惑をかけたこともあるんですよね。

 途方に暮れたのは、お祈りを終えてホッと一息ついた時のこと。
 「神様、ありがとー!おかげで、間に合いましたー!」と感謝しつつ、トイレットペーパーの辺りを触ってみると、、、、、、

 ないんです!
 
 どこを触っても、その辺りには

 ないんですよ!
 トイレットペーパーが!


  これは、痛いですよー。。。

 ドラクエでスライムに勝ったと思ったら、土壇場で「痛恨の一撃」を食らって、こっちが瀕死になったような感じです。

 それでも、ライフ ゴーズ オン、です。何とかしなければトイレに住み着くしかありません。

 世の神々をなじったり、自分の確認不足に怒ったりと、一通り当たり散らしたぼくは、


 さーて、クイズの時間でーす。


 この後、ボクはどうしたでしょうか?
 次の中から、一つ選んでくださーーい・


 1 ふかずに、何食わぬ顔をしてその場を後にした。
 2 大声で助けを呼んで、周囲に爆笑されながらもトイレットペーパーをゲットした。
 3 仕方がないので、財布から千円札を出してそれで拭いた。
 4 ノーパンのまま隣の個室まで高速移動し、トイレットペーパーをゲットし、難を逃れた。


 さぁ。
 どれでしょう???

 実は、


1

は、一瞬頭をよぎりましたが、その後の1日が台無しになりそうだったので、採用しませんでした。

2
は、数十年前に海の家で実際にやったことがあり、友達に大爆笑されたことがあります。見えなくなってからは、この方法をとったことはありません。

3
については、以前に友人が飲みすぎて茂みでやらかした時に、髪がないことに気付いて絶望の雄叫びをあげた際に、あまりにも彼が不憫になって差し出したことがあります。


ということで、

正解は、

4
です。

全神経を耳に集中し、
誰もいないのを見計らって、

シーズンオフのスポーツ選手の筋トレのような姿勢をとりながら、

隣室まで移動してトイレットペーパーをゲットしたのでした。


 続いて、人に迷惑をかけた話ですね。

 これは、

 お祈り後の「流し方」

が分からず、そこら辺の突起物を押しまくった結果、

 非常呼び出しボタン

を押してしまったようで、

スーパーのおばちゃん(たぶん?)をトイレ前に3錠させてしまったことです。

 この時、ボクは、スーパーのおばちゃんを呼んだつもりはさらさらないので、突然、「ドンドンドン! だーーいじょんぶでーーすかーーん?!」と大声で呼びかけられ、出るものも出なくなるほとビビったのを今でも覚えています。結局は、自分がおばちゃんを呼んだことを理解したボクは、恥ずかしながらも「すみませーん。間違って押しちゃいましたー」と個室ないからお詫びをして、その場を乗り切りました。

 いやーーーーっ、、、。
 見える人には大した問題ではないのかも知れませんが、見えないボクにとって、「流す」ボタン」の創作は、時には、ドラクエで「はぐれメタル」を探すのと同じくらい大変なことなのですよ。

 これは、「流す」方法が実にたくさんあるカナなのです。
 例えば、
 
1 家庭のように、タンクがあり、その横にレバーがある。
 2 便座の奥にレバーがある
3  ウォシュレットの操作パネルの中に「流す」ボタンがある。
4 便器の左右に、「流す」ペダルがある。(メチャ古い特急の和式トイレなど)
5 個室内の壁面に、「流すボタン」が埋め込まれている。(昔の新幹線)
6  壁に「流す」というタッチセンサーがある。
7 そもそも、立ち上がると自動で流れる
8 頭上にタンクがあり、鎖を強く引くと水が流れる。

 他にも種類があるかも知れませんが、ボクが今までに出会ったものは、こんなところです。

 バリアフリーとか、ユニバーサルデザインとか、あちこちで耳にするようになった今日ですが、トイレの流し方は
、なーーーんでこんなにたくさんの方法があるのでしょうね?
 いっそのこと、全部、

立ったら流れる方式にしてもらえれば、間違えておばちゃんをお呼び出しすることもないし、お祈りの後にドタバタしなくていいのになぁ。

「トイレの流し方統一党」っていう団体でも作っちゃおうかなー。

 こうしてボクは、「やばいよやばいよ」モードから、「あーよかったー。スッキリしたー。」モードに移行するのでした。

5 手洗い場の様式は?

 さてさて、こうして危機は過ぎ去ったわけですが、最後に、手を清める必要がありますね?たまに、そのままの人もいるようですが、多様性を認め合う時代なので、それもよしとしましょう。

 トイレの手洗い場で困るのは、手動のものと自動のものがあることです。
 手動だと思って水を出す場所を探していると突然水が出てきて、服の袖が濡れてしまったり、蛇口を発見したので回してみるものの水は全然出ず、まさかと思って引っ張ったら水が出たケースなど、実に様々な手洗い場の様式があります。

 お腹はすでに、「よかったーぁ。スッキリしたー。」モードなので、特にトラブルになったりメチャクチャイライラしたりしたことはないですが、こうして文章にすると、さっきの、「水の流し方統一党」が世の中に発信しようとしていることと根っこは同じですねーーー。

 物を造る企業がいっぱいあるが故に、たくさんの様式のものが生まれ、世の中に出てくる。
 これら企業の工夫は、新発見につながったり、さらに便利なものを産んだりする可能性もあるので、素晴らしいことです。ただ、ボクたちのような障害のある使用者の視点を少しだけ汲み取ってもらえれば、よりユニバーサルデザインに近づくのではと個人的には考えます。
 また、国や地方行政能瀬作としても、トイレなど公共性が高い場所の構造については、せめて流し方だけでも統一するなど、ルールがあってもよいのではと思います。

 あらら?
 お腹が弱いボクとトイレのお話が、最後に、もの造りやまちづくりに関わる問題になっちゃいましたねー。まぁ、見えていても見えなくても、誰でもトイレは利用するものなので、しかたないっかな?
 この記事を読んで、よりよいトイレのあり方について考えて、これからのトイレを変えていける人が生まれたら、とぉーーーっても嬉しいです。

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