北江 諳

ずーっと昔に小説商業誌の新人賞受賞などしましたが、鳴かず飛ばずどころか、どうしてたんで…

北江 諳

ずーっと昔に小説商業誌の新人賞受賞などしましたが、鳴かず飛ばずどころか、どうしてたんでしょう? ……。でも、電子書籍(Amazon)で色々出しています。小説のような論文のようなエッセイのような、紙の本になりにくい物を書いていきたい。と、思うのです。(Anne KITAE)

最近の記事

人工衛星でも発見できない地上の森。 そこは不可侵の聖域。

       『Aノ森』スピンオフ、『森の東』刊行。  昨年10月にKindle Storeで販売開始した『Aノ森』の作中に、「“アセクシャル”を扱ったものを読みたい」というような登場人物の発言があり、それに応じた形で別の登場人物がものしたという形態のマジック・リアリズム的掌編をアップしました。  『Aノ森』自体まったく読まれている形跡がないので(悲しい……)、スピンオフも何もあったもんじゃないだろう、というところですが、できれば両作品併せてお読みいただければ幸いです!  

    • 「それ」がない世界の生き方               ーーAのサバイバル

       「それ」とは、性愛・恋愛。Aはアセクシャル・アロマンス。  このところLGBTQ+の文字も比較的目にするようになり、その性の在り方の多様性に、世界が慣れてきたようにも思う。理解深度はまちまちだろうが、「+」の部分については、なかなか見聞きする機会も少ない。  『Aノ森』(あのもり)は、その「+」に入れられたり、独立してLGBTQAとされたりするアセクシャル・アロマンスについて描いた。登場人物全員A。殆どが会話で成り立っているので、小説と言うより会話劇の体裁に使い。原稿用紙に

      • 「頭が良い」幻想

          みんなが疑問に思っていたりしても、常識に圧されて、そんなものなのだろう、と無理に納得していることは世の中に多い。  今は、「学校の勉強が出来る=頭が良い」のか? を少し考えようかと思う。成人前の層にとって、とても思い比重を持つ命題だろう。これにはもう一本の背骨があって、運動(スポーツ)も人の判断基準になる。両方平均以上だと文武両道と言われる。  大部分のティーンが学校生活を送るこの現代では、文武両道が最高の出来栄えで、指標の中心を陣取っている。その他、社会活動などもプラス

        • 一般の人向けに分かりやすく?

           最近の学者の「物の言い方」「言葉遣い」のことで。但し、論文ではないところの。やけに砕け始めているみたい。一般の人向けに分かりやすく、と本の執筆などでは依頼されているのだろうが、小難しく、お高く止まるのはやめよう、ということか? 若手研究者(と言っても研究の世界では、40代なんてはな垂れだろうが)に多いようだが。親しみやすさを醸しているが、何だかちょっと痛々しい気もする。ネットスラングなんかも使っちゃって。こういうことだって知ってるさ! 象牙の塔だけじゃないのさ! かなぁ。

        人工衛星でも発見できない地上の森。 そこは不可侵の聖域。

          敬語・新聞の表記・読めない名前のこと

          「忘れ物はございませんか?」。ねーよ!  この質問がおかしいことに気付かない日本人のなんと多いことか。(森田美由紀風)  「ございます」は本来謙譲語だったはず。相手の行為について使うのは誤用である。けれどももう「ございます」は単に丁寧語として認知されつつある。  私だって妙ちきりんな言葉を発することもあるし、別に敬語警察ではない。けれども、イラつくのは私だけ? 既にして日本語における丁寧語・尊敬語・謙譲語の区別など無くなっている。ら抜きなんて、皆さん、もうどうでもよくて。とい

          敬語・新聞の表記・読めない名前のこと

          自作小説をバイリンガル化した件、 そして物質から離れていく創作

           自分で多言語表現できればいいのだが、残念ながらその語学力はない。せいぜい日本語で書いたものを英語にしてもらったら、それが自分の文章とどんなふうに対応しているか、表現が適切かくらいは分かるくらい。(他の言語になったら嬉しいが、一切分からない。)  私は自作を自腹で英訳してもらったことがある。別に出版のあてもないが、英語でのコンテンツを持っておきたいと思ったからだ。まあ、Kindleストアに上げっぱなしだが、何も起こらない(笑)。無論、日本語版も。まあ、大した作品じゃないという

          自作小説をバイリンガル化した件、 そして物質から離れていく創作

          質問する力の劣化問題――訊きたいことと答えることについて

           「あなたにとって××とは何ですか」。何かを成し遂げた人に対してよく発せられる紋切り型質問だ。まあ大体「人生のすべてです」「生きがいです」とか言われて、終わり。または気の利いた答えをしたくて、却って的を射ないことを口走っていたり。第三者はそんな答えを聞きたいだろうか。  子供に対して発せられる「大きくなったら、何になりたい?」。近くにいる大人が親か教師か医者くらいしかいない紛争地などの子供に対して、こんなことを訊いても詮無いことではないのか。  これって、質問力の問題では? 

          質問する力の劣化問題――訊きたいことと答えることについて

          日本語の奇っ怪――横書き縦書き、  右から左へ左から右へ、ついでに鏡文字

           今、全世界的に縦書きの言語は絶滅危惧種らしい。日本語における縦書きだって、風前の灯火かも。過去に書かれた物は別として。  テレビを見ていて、時代小説を書く作家が、パソコンで原稿を横書きしているのを見て、びっくりした。そうなのか――そういうものなのか、今や。でも、書物は時代物に限らずまだ縦組みの世界だ。(私はこういう記事の時は横書きだが、創作の原稿は、ワープロソフトでも縦書きで書く。)  日本語に横書きが登場したのは、幕末だそうだ。当時は右から左に読んだ。純然たる横書きの話で

          日本語の奇っ怪――横書き縦書き、  右から左へ左から右へ、ついでに鏡文字

          日本企業の英語キャッチフレーズ vs  ヘンな日本語

          For beautiful human life Celebration of Individuality Make it possible with Cannon Be a driver imagine. change. Smile for all The Power of Dreams Light you up Drive your Ambition Beauty Innovations for a Better World  これらは日本の大企業が掲げ

          日本企業の英語キャッチフレーズ vs  ヘンな日本語

          手書きメモ推し 映像喚起と文字のタダならぬ関係

           日常的に、創作に使えるかもとか、思いつきや気になる外国語などを貯めてメモしたりしている。テレビで流れているものも、間に合えばメモる。  ある時、「ビーボルニェー!」とテレビから聞こえてきた。海外の動物園を紹介するある番組でアシカの芸に「よくできたー」という意味で使っていたチェコ語だった(と説明された)。片仮名で字幕が出たのだが、本当はどんな単語なのか知りたくて仕方なくなった。動物相手に言っているせいもあってか、とても優しく可愛らしい響きだったからだ。片仮名でメモした。  別

          手書きメモ推し 映像喚起と文字のタダならぬ関係

          原作本と映像の有り難い関係と困る関係

           昔、「読んでから見るか、見てから読むか」とかいうキャッチコピーがあったと思う。私には、絶対にこうする、という法則めいたものはないが、本を読んでいて、えーっっっ! 本当?! と内容に驚いて、絶対これは映画になったら見なきゃ、と思ったものもあった。『ハンニバル』(トマス・ハリス著、2000年、新潮文庫)を元本の英語で読んだ時が、それだった。映画になるだろう根拠は、前作『羊たちの沈黙』が映画化で大ヒットしていたから。そんなバカな、と個人的にはびっくりの結末だったため、自分が思って

          原作本と映像の有り難い関係と困る関係

          日本語を使うノンネイティブの人々

            私の旅は国内も海外も、多くの場合が完全フリーの単独行動だが、1人で行きにくい場所やら、移動が面倒な時などは、適宜ツアー(日本からの団体型も、現地集合型もある)も使う。大体の場合、英語で何とかするが、旅先で出会う現地の日本語通訳(特にツアーについてる人。現地に住む日本人ではない)は、語学力ピンキリである。私は旅の全てを「取材」と位置づけているので、現地人から確認する内容はとても重要なのだが、込み入ったことを日本語で訊ねられる相手と、そうでない場合もある。   すごーい、ど

          日本語を使うノンネイティブの人々

          旧中・東欧の特殊施設遺構

            旧共産圏から抜け出した国々は、負の遺跡として諜報活動や、それに関わる反対思想の人間を裁き、転向させるために拷問という手口を使っていたことを博物館の形で保存している。ナチスの残虐行為の極みとして、アウシュビッツ(オシフィエンチム)やビルケナウが遺構として存在する(言わずと知れてるが、ポーランド国内)。同様に、ソ連KGBや各国の秘密警察の機関が置かれた施設などの開示されている場に、いくつか赴いた経験がある。       リトアニアのジェノサイド博物館。ラトビアの占領博物館とコ

          旧中・東欧の特殊施設遺構

          北欧、そして北方諸国模様

             氷河が溶けてきている。アイスランドで氷河トレッキングをして実感した(2018)。夏だからはげちょろけになっているだけではないそうだ。気候変動に関する運動の盛り上がりの中心に北欧出身の少女がいることは象徴的かも知れない。   ところで、彼(か)の国は、酒がやたらに高い。それは北欧全般に言えること。北欧は社会福祉が整っていて税金がバカ高いのは周知の事実。たがら、物価は総じてメチャ高なのだが、アルコールは傑出して高いと思う。そして決まった場所でしか買えないし、時間も決まって

          北欧、そして北方諸国模様

          吹き替えと字幕は日本の誇れる文化だ

            日本の海外物吹き替えって、ほんっとに神業! 何であんなに口まで合うの? そもそも違う言語を喋っているんだよ? 声優もすごいけど、台詞作る翻訳も職人だ。  海外で日本のアニメやる時なんて、地の声に上からかぶせたりしていたんだから! うっすら日本語が聞こえたりする。それに尺は全然合っていない。二重に言語が下層にあって、その上に放送言語だったりも。まあ、それも結構前の体験だから、今は是正されているかも知れないけれど。  「小さなバイキング ビッケ」をエストニアで見たときは、既

          吹き替えと字幕は日本の誇れる文化だ

          ディクテーションが要るのは英語じゃなくて、日本語!

           日本の教育界が、英語英語使える英語と血道を上げて幾星霜。入試にスピーキングだのヒヤリングだのを取り入れ、読み書きだけではなく、4技能の強化を図ると頑張っている。しかしなあ、上の学校に行くための試験でそこまで計る? それが使える英語を見ていることになるのかなぁ。まあね、東大の2次の問題など、これを18才やそこらで出来るんだったら、先は明るいだろうよ、とは思います。――いいえ、今回は英語が俎上に置きたいのではない。端っこには載せておくけれど。  問題は「日本語」である。それも日

          ディクテーションが要るのは英語じゃなくて、日本語!