JW387 阿曽姫を説得せよ
【崇神改革編】エピソード14 阿曽姫を説得せよ
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
紀元前74年、皇紀587年(崇神天皇24)のある日・・・。
ここは、吉備国(きび・のくに:現在の岡山県と広島県東部)。
唸(うな)りつづける温羅(うら)の首塚問題は、倭迹迹日百襲姫(やまとととひももそひめ)(以下、モモ)によって、一応の解決をみた。
そして、温羅の願いを叶えるため、妻の阿曽姫(あそひめ)が、呼び出されたのであった。
阿曽「うちの人を殺しておいて、今さら、なんなの?」
芹彦「米を炊いてくれ!」
阿曽「は?」
モモ「芹彦! こういうことは、順を追って説明しないとダメでしょ?!」
タケ「阿曽殿・・・。温羅の首塚が唸っていたことは知っておるな?」
阿曽「あんたたちが、うちの人を殺(あや)めるけぇ(から)、そんなことになったんじゃろ?!」
ミマキ「そう、気を荒ぶるでない。温羅は、得心(とくしん)して、唸ることをやめたのじゃ。」
阿曽「それと、うちを呼び付けたことと、何か関係が有るん?」
カネ「大いに有ります。これよりのち、吉備津宮(きびつみや)の釜殿(かまどの)にて、温羅殿を祀(まつ)ることとなったのです。」
サモリ「吉備中山(きびのなかやま)に建っている、吉備津宮は御存知ですよね?」
阿曽「ほんでも(けれども)、なんで、うちの人が、侵略者の住まいで祀られんと、いかんの?」
ジョン「温羅が、そうしてくれって言ってるんだよ。仕方ないだろ?」
たっちゃん「まあ、とにかく、そこの釜殿(かまどの)・・・二千年後の言の葉で言うと、台所とか、キッチンで、米を炊き、温羅に捧げて欲しいのじゃ。」
阿曽「信じられん。うちの人が、そんなこと言うとは思えん・・・。」
たか「信じてくだされ。これは、まことに、温羅殿からの願いなのです。温羅殿は、これより精霊となって、吉備を守っていきたいと、そう仰(おっしゃ)っておられるのです。」
犬「ちなみに、精霊としての名は『丑寅(うしとら)みさき』じゃ。丑寅とは、北東のことじゃ。」
ヨーコ「鬼門(きもん)と呼ばれていて、鬼や死霊が入ってくると言われてるの。温羅さんは、そこから、邪(よこしま)なモノが入って来ないように、吉備を守ると言ってくれてるのよ。」
阿曽「嘘じゃ・・・。ほんなこと・・・うちは、信じん(信じない)!」
ジュリアン「何べん言うたら、分かるんじゃ! 温羅はなぁ、慕(した)っておる、汝(いまし)の炊いた『ごはん』が食べたいと言いよるんじゃ!」
ショーン「ほうじゃ(そうだ)! 男心の分からんヤツじゃのう。」
モモ「作者オリジナル設定だけど、温羅殿は、柔らかめが好きなのよね? それで、いつも、八合くらい食べるのよね?」
阿曽「そ・・・それは、うちと、あの人しか知らん設定・・・。なんで、あんたが知っとるん?」
モモ「憑代(よりしろ)になった時に、ちょっとね・・・。」
阿曽「ほんなら・・・ほんまに、うちの人が・・・(´;ω;`)ウッ…。分かりました。うちが、あの人の『ごはん』を炊きます・・・(´;ω;`)ウッ…。」
こうして、阿曽姫が「ごはん」を炊くことになったのであった。
つづく