JW185 連合軍出陣
【孝霊天皇編】エピソード40 連合軍出陣
第七代天皇、孝霊天皇(こうれいてんのう)の御世。
福姫(ふくひめ)こと「ふぅ」が亡くなってから、二年の歳月が流れた。
すなわち、紀元前230年、皇紀431年(孝霊天皇61)。
ついに月支国(げっしこく)が攻めて来ることになった。
出雲(いずも)へと急ぎ向かう、孝霊天皇こと、大日本根子彦太瓊尊(おおやまとねこひこふとに・のみこと)(以下、笹福(ささふく))たち。
かつての仲間たちも加わる中、怪しげな船団が現れたのであった。
ぐっさん「あちらから、船団が来ましたで! 月支国の船団やろか?!」
芹彦「さっそく戦(いくさ)になるか・・・。面白い! やらいでか!」
笹福「ん? いや、あれは・・・。あれは、黄魃鬼(こうばつき)たちではないか!」
黄魃鬼「大王(おおきみ)ぃぃ! ら(わたしたち)も合力(ごうりき)に来たど!」
黄魃鬼の手下たち「大王ぃぃ! お久しゅうございますぅぅ!!」×多数
笹福「汝(いまし)ら! 伝承には無いが、来てくれたのか!?」
ジョージ・マイケル「黄魃鬼ぃぃ! 久しぶりだのう!」×2
黄魃鬼と手下たち「ジョージィィ! マイケルゥゥ! 来てやったどぉぉ!」×多数
芹彦「だ・・・誰じゃ?」
タケ「私たちも初めて会う御仁(ごじん)じゃ。伯伎(ほうき)に向かう途中、隠伎(おき)には立ち寄っておらぬからな・・・。」
芹彦「おお! では、此度(こたび)は、それがしが忘れているわけではないのじゃな?」
鶯王「芹彦・・・。汝(なれ)は、何を覚えておるのじゃ?」
芹彦「戦のことなら、何でも聞いてくだされっ!」
牛鬼「そ・・・そげなことで、ええんだねか?」
笹福「では、皆の衆に披露(ひろう)致そう。隠伎を統(す)べる、黄魃鬼じゃ。伝承では討ち取られたことになっておるが、この物語では生き残り、隠伎の水軍をまとめておる。」
黄魃鬼「だ(私)が、黄魃鬼だわい。隠伎水軍を引き連れてやって来たど。」
歯黒「水軍とは、ありがたい。これで、敵の船団を脅(おびや)かすこともできよう。」
黄魃鬼「それに、うんな(みんな)を船で送れるんだわい。これで、あっという間に、出雲に辿り着けるど。」
みなお「なるほどなぁ。移動手段にもなるわけやな?」
黄魃鬼「そげだ。」
牛鬼「わい(あなた)が、黄魃鬼殿か・・・。名は聞いちょります。よろしく!」
黄魃鬼「こちらこそだわい。のし(あなた)こそ、名は、隠伎まで轟(とどろ)いちょるど。」
ここで、出雲の家来、明速祇(あけはやづみ)(以下、あっくん)が過敏に反応した。
あっくん「こ・・・これでは、ヤマトの軍というより、稲葉・隠伎・伯伎との連合軍ではありませぬか!?」
笹福「まあ、そう受け止められても仕方ないのう。」
あっくん「こ・・・このような・・・。我が君(わがきみ)が、如何(いかが)思(おぼ)し召(め)しになるか・・・。」
笹福「それについては、心苦しくもあるが、今、それを考えても致し方あるまい。では、皆の衆、参るぞ!」
ヤマト・伯伎・稲葉・隠伎連合軍「おお!」×多数
そこへ、朝妻姫(あさづまひめ)が駆け寄って来て、見送りの言葉を投げた。
朝妻「大王・・・。皆様方・・・。武運長久を祈願しちょります!」
笹福「うむ。行って参る!」
鶯王「母上! 御達者で!」
こうして、ヤマトと伯伎・稲葉・隠伎連合軍は、出雲に向かったのであった。
これを見た、出雲君(いずものきみ)、知理(ちり)の感想である。
知理「こ・・・こげなこと聞いちょらんぞ。黄魃鬼! ジョージ! マイケル! それに、ヘンリー! 汝(なびと)らは、わしが出兵を命じた折、兵は出せぬと申して来たではないかっ!?」
ヘンリー「わ(私)たちは、既に、おおき・・・ヤマトの君のもとに参陣しちょったんで、それ以上は出せんということで・・・。な?」
ジョージ「お・・・おお。そげだ。うん。もう出陣しておったけぇ・・・。な?」
マイケル「そ・・・そげです。そげです。そげだな?」
黄魃鬼「ん? まあ、隠伎が大変な時に、のしゃ(あなたは)何をした? 何もしとらんど(何もしてないぞ)。そういうことだわい。」
ヘンリー「なんで、はっきり言っちょうだ!」
芹彦「おお! それがしと気が合いそうじゃのう!」
タケ「芹彦! 汝(なれ)は黙っておれ!」
黄魃鬼「芹彦様! 戦が終わったら、一杯、やるかね?」
芹彦「おお! 良いのう!」
牛鬼「わ(私)も入れてごせ(ください)!」
芹彦「おお! 良いぞ! こういうことは、多い方が良い!」
黄魃鬼「そげだな!」
大目「ちょっ! 出雲君の前で、何を言ってるんじゃほい!」
鶯王「左様じゃ! ヤマト人(びと)は、礼儀知らずと思われてしまうではないか!」
マイケル「大丈夫だ! わしらは稲葉人! 鶯王様は、伯伎人だで!」
ジョージ「だいど(だけど)、あの小さかった『ウグちゃん』が、こげに立派な武将に・・・。」
鶯王「すまぬ。幼き頃は、あまり覚えておらぬゆえ・・・。と申すか、そういうことではなく・・・。」
歯黒「あの兄上が、たじろいでおられる・・・。」
芹彦「歯黒! 兄上にも、敵(かな)わぬ者がおるということよ!」
ぐっさん「皇子(みこ)! 何を言うてんのや! 一番、たじろいでんのは、大王やで!」
みなお「あっ! ホンマや!」
笹福「い・・・出雲君・・・。も・・・申し訳ござらぬ。」
知理「ぬぬぬぬぬ・・・。」
あっくん「ま・・・まあ、我が君。それよりも、まずは月支国との戦にござりまするぞ!」
知理「そ・・・そげだな。良し! では、浜辺にて、敵を迎え撃つ支度(したく)を致せっ!」
月支国との戦いが目前に迫ろうとしている。
つづく