JW194 嗚呼、鶯王
【孝霊天皇編】エピソード49 嗚呼、鶯王
第七代天皇、孝霊天皇(こうれいてんのう)の御世。
鬼住山(きずみやま)の鬼退治にやって来た、孝霊天皇こと、大日本根子彦太瓊尊(おおやまとねこひこふとに・のみこと)(以下、笹福(ささふく))たち。
前回は、笹巻き団子大作戦をおこない、見事、敵を攪乱(かくらん)させたのであった。
それを見て、笹福が叫ぶ。
笹福「皆の衆! 攻めかかれぇぇ!!」
一同「おお!」×多数
鬼たちも、敵の罠だったと知り、態勢を立て直す。
首領の大牛蟹(おおうしがに)(以下、シガニー)が大声を張り上げる。
シガニー「落ち着け! 地の利は、我らに有る! こちらも、おびき寄せて、これを叩くぞ!」
鬼たち「おお!」×多数
一進一退の攻防が繰り広げられた。
そのとき、戦塵(せんじん)舞う中、ある男が、シガニーのもとに現れた。
鶯王(うぐいすおう)である。
鶯王「ここで会ったが百年目! 伯伎(ほうき:現在の鳥取県西部)の平安がため、首(みしるし)、頂戴仕(ちょうだい・つかまつ)る!」
シガニー「ほう・・・。伝承では、このようなやり取りは無いが、作者の計らいか?」
鶯王「問答無用! 覚悟っ!」
シガニー「わ(私)は、こんなところでは死ねんっ! 喰らえっ! 弟(乙牛蟹のこと)の敵(かたき)だ!」
鶯王「ウ・・・ウグッ。」
芹彦「あっ! 兄上っ!」
タケ「まさかっ! このようなっ!」
大目「どういうことなんじゃほい!?」
ぐっさん「う・・・鶯王様が・・・。」
みなお「き・・・斬られたっ!?」
牛鬼「なんで、鶯王様が!?」
ヘンリー「こげなこと、聞いちょらんぞ!」
歯黒「兄上ぇぇ!!」
笹福「鶯王ぉぉ!! 皆の衆! ここは一旦、引くぞ!」
シガニーたちの抵抗は激しく、笹福一行は、撤退を余儀なくされ、笹苞山(さすとやま)に戻ったのであった。
鶯王「はぁ・・・はぁ・・・。大王(おおきみ)。まことに申し訳ござりませぬ。」
笹福「話すなっ! 傷が広がるっ!」
そこに、鶯王の母、朝妻姫(あさづまひめ)が駆け込んできた。
朝妻「嗚呼! 鶯王! 鶯王!」
鶯王「は・・・母上・・・。め・・・面目ありませぬ。」
朝妻「鶯王! 大事ありませぬぞ。母が、汝(いまし)を治してみせます!」
鶯王「い・・・いえ、傷は思いのほか深く・・・。もう・・・長くは・・・。」
笹福「何を申すか!? 母者の言うことを聞けっ! 鶯王!」
鶯王「大王・・・父上・・・。志(こころざし)半ばで逝くこと、お許しください。」
笹福「許さぬっ! そのようなこと、父は、決して許さぬぞ! 生きて、我(われ)を支えよっ!」
鶯王「わ(私)は、ここまでにござりまする。あとは、弟たちが・・・。ガクッ。」
笹福「嗚呼! 鶯王! (´;ω;`)!」
朝妻「ウグちゃん! (´;ω;`)!」
芹彦「うぉぉ!! 兄上ぇぇ! (´;ω;`)!」
タケ「兄上ぇぇ・・・(´;ω;`)ウッ…。」
歯黒「こ・・・このような・・・(´;ω;`)ウッ…。」
牛鬼「なんでだ? なんで、こげなことに・・・(´;ω;`)ウッ…。」
ヘンリー「妻木(むき)の英雄がぁぁ!! (´;ω;`)!」
みなお「こんな最期やなんて・・・(´;ω;`)ウッ…。」
ぐっさん「有り得へん! 有り得へん! わては、認めへんでっ! (´;ω;`)!」
大目「悲しいんじゃほい・・・(´;ω;`)ウッ…。」
ユミ「うう・・・うううう・・・(´;ω;`)。」
一同「うわぁぁぁぁぁ! (´;ω;`)!」×多数
合戦の最中、鶯王は討死した。
伝承では、詳(つまび)らかに記されていないため、実際は、どのような形で亡くなったのか不明である。
だが、愛しい皇子(みこ)が死んだことは事実。
笹福と朝妻の想いは、如何(いか)ばかりであったか・・・。
そして、悲しみに暮れる中、一行は、夜を迎えたのであった。
歯黒「大王。もうお眠りください。明日も戦(いくさ)にござりまするぞ。」
笹福「分かっておる。分かっておるが・・・。」
朝妻「歯黒殿の申されることも分かりますが、わ(私)にとって、たった一人の息子だったんだがね。子に先立たれることが、これほどまでに悲しいこととは・・・(´;ω;`)ウッ…。」
笹福「そうじゃのう・・・。我(われ)は『ふぅ(福姫のこと)』に続いて、二人目・・・。我に徳が無いばかりに・・・(´;ω;`)ウッ…。」
歯黒「父上! 父上は、大王にござりまするぞ! 泣いてばかりいては、何も進みませぬ。そのようなこと、兄上も望んではおらぬはず!」
笹福「分かっておる。分かっておるが・・・。」
歯黒「父上! わっちも、兄上を失くして悲しいのでござる。されど、父上には寝ていただかなければ困るのでござる。」
笹福「困る?」
歯黒「そ・・・それは、寝れば分かりまする・・・。」
朝妻「話に進展が有るんかや?」
歯黒「そ・・・そういうことにござりまするな。」
笹福「そげか。ならば、寝るしかないのじゃな・・・(´;ω;`)ウッ…。」
こうして、笹福は、悲しみを押し殺して寝たのであった。
つづく
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