JW297 神様に守られて
【丹波平定編】エピソード4 神様に守られて
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
丹波道主王(たにわのみちぬし・のきみ)(以下、ミッチー)は、多遅摩(たじま:現在の兵庫県北部)を守るため、神社を創建しようとしていた。
ミッチー「出雲(いずも)の許しも得た。多遅摩の安寧(あんねい)がため、たくさんの神社を建てるぞ!」
するとそこに、黄沼前来日(きぬさき・の・くるひ)(以下、クール)がやって来た。
クール「そげぇなことしとる時かいや? 狂(くるい)の土蜘蛛(つちぐも)は討たんでもええんかいや?」
ミッチー「土蜘蛛とは、元々、山中で暮らしている者たちのことじゃ。己(おのれ)の住処(すみか)に帰った者を、どうこうするつもりはない。」
そんなとき、一人の女人が駆け寄ってきた。
河上摩須郎女(かわかみのます・のいらつめ)(以下、マス子)である。
マス子「ミッチー様! うちも、解説に参加させてください!」
ミッチー「お・・・おう。では、解説致そうではないか・・・。まずは、粟鹿神社(あわがじんじゃ)を創建したぞ。」
クール「その神社は、どこに鎮座(ちんざ)しとるんだ?」
マス子「兵庫県朝来市(あさごし)の山東町粟鹿(さんとうちょう・あわが)にございます。」
クール「そんで、神様は?」
ミッチー「まずは、それがしの御先祖様、彦火火出見尊(ひこほほでみ・のみこと)こと『ヤマピー』じゃ。更には、それがしの父、彦坐王(ひこいます・のきみ)も祀(まつ)られておるぞ。」
マス子「それだけやないんですよねぇ?」
ミッチー「うむ。天美佐利命(あめのみさり・のみこと)が祀られておる。」
クール「そにゃぁな神様、聞いたことないっちゃ。どげな神様なんだ?」
ミッチー「うむ。『記紀(きき)』には出て来ぬ神様でな・・・。大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)の御子神(みこがみ)とされておる。」
クール「なんで、そげぇな神様を祀ることにしたんだいや?」
マス子「社伝によると、あるとき、多遅摩の地で、豪雨が続いて、洪水まで発生し、飢餓と疫病が流行(はや)ったそうなんですぅ。」
クール「そにゃぁなことが有ったんかいや?」
マス子「そうなんですぅ。そこで、なんでやろと思って、占ったところ、天美佐利命(あめのみさり・のみこと)が、崇敬(すうけい)されてないから起きてるんや・・・ということが分かったそうなんですよ。」
ミッチー「そこで、神社を建てることにしたというわけじゃ。ちなみに、社伝によると、中つ国改め、国中(くんなか)より、三輪氏(みわ・し)が遣(つか)わされ、神職を務めたそうじゃ。」
クール「三輪氏? 初めて聞く豪族だっちゃ。」
ミッチー「三輪山(みわやま)に鎮座する大物主神(おおものぬしのかみ)を祀る一族じゃ。」
クール「三輪山を祀る? それは、エピソード262で初登場した、大田田根子(おおたたねこ)殿の一族っちゅうことかいや?」
ミッチー「その通りじゃ。田根子殿は、三輪氏の祖となる御方でな・・・。」
マス子「そろそろ来る頃やないですか?」
クール「えっ? 田根子殿が来られるんか?」
そんな話をしていると、一人の男がやって来た。
男「ただいま着到(ちゃくとう)致しました。田田彦(たたひこ)です。」
クール「えっ? 誰?」
田田彦「初めての登場ですから、驚かれるのも無理はありませんよね。私は、田根子の息子にございます。よろしく御願い致します。」
クール「よ・・・よろしくなぁ。」
ミッチー「では、田田彦よ。粟鹿神社の祭祀(さいし)を頼むぞ。」
田田彦「かしこまりました。」
マス子「では、次に参りましょう。」
クール「ま・・・まだ有るんかいや?」
ミッチー「当たり前じゃ。なんのために、出雲より許しをいただいたと思うておるのじゃ。」
マス子「さて、次に紹介するのは、養父神社(やぶじんじゃ)にございますよ。」
クール「どこに鎮座しとるんだ?」
ミッチー「兵庫県養父市養父市場(やぶし・やぶいちば)じゃ。」
クール「当然、祀られとる神様は、出雲の神様なんだらぁ(なんだろう)?」
マス子「その通りにございますよ。大国主大神が祀られてはりますぅ。」
ミッチー「それだけではないぞ。倉稲魂神(うかのみたまのかみ)も祀られておる。」
マス子「穀物の神様ですねぇ。」
ミッチー「まだまだ、おられるぞ。少彦名命(すくなひこな・のみこと)も祀られておる。」
マス子「こちらは、農業の神様ですねぇ。」
ミッチー「更には、それがしも祀られておるのじゃ!」
マス子「きゃぁぁぁ(〃▽〃)!! ミッチー様ぁぁぁあ(〃▽〃)!!」
クール「喜び過ぎだわいや!」
ミッチー「とにかく、そういうことなのじゃ。」
クール「そんでも、創建は、崇神天皇30年になっとるぞ。今年は、崇神天皇10年だらぁ?」
ミッチー「長い年月を掛け、鎮守(ちんじゅ)の社(やしろ)を創建していったのであろうな。」
クール「そんなら、ミッチー様は、ずっと丹波(たにわ)におられたということですか?」
ミッチー「そういうことになるな。名前に丹波が付いておるし、居ても良かろう?」
マス子「ずっといてくださいませ。ずっと、うちの傍にっ!」
ミッチー「マ・・・マス子殿? そ・・・それがしと共に?」
マス子「あっ・・・(〃▽〃)ポッ。」
クール「何だいや?! おかしな流れになっとる! 解説の途中だらぁ?!」
解説は、まだまだ続くのであった。
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