JW243 十代目即位
【崇神即位編】エピソード1 十代目即位
紀元前98年、皇紀563年(開化天皇60)4月9日。
開化天皇(かいかてんのう)が崩御(ほうぎょ)した。
嘆き悲しむ日嗣皇子(ひつぎのみこ)の御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)の元に、二人の大臣(おおおみ)がやって来る。
すなわち、物部大綜杵(もののべ・の・おおへそき)(以下、ヘソ)。
そして、ヘソの息子、伊香色雄(いかがしこお)(以下、ガーシー)である。
ヘソ「皇子(みこ)・・・。おとんが崩御なされて、悲しいと思うけど、気をしっかり持たんと、あかんで、しかし。」
ガーシー「ちなみに、皇帝が死ぬことを崩御と言うんやで。我が国の場合は、天皇が亡くなった時に使う言葉や。」
ミマキ「補足説明かたじけない。」
ヘソ「ほな、大王(おおきみ)に即位(そくい)せんとあかんで、しかし!」
ミマキ「分かっておる。されど、そのまえに、やっておかねばならぬことがある。」
ヘソ「それは、なんでっしゃろ?」
ミマキ「先代の陵(みささぎ)を造営するのじゃ。」
ガーシー「えっ? 今回は、大王に即位する前に、陵を造るんでっか?」
ミマキ「うむ。『記紀(きき)』を見る限り、そのようになっておるようじゃ。」
ヘソ「ほな、さっそく造りましょか!」
こうして、開化天皇の陵が造営された。
紀元前98年、皇紀563年(開化天皇60)10月3日のことである。
完成した陵を眺めるミマキの元に、尾張建諸隅(おわり・の・たけもろすみ)(以下、ケモロー)がやって来た。
ケモロー「皇子! ついに完成しましたなぁ。」
ミマキ「うむ。ついに完成したぞ。して、陵の名前は、何と言うのじゃ?」
ケモロー「春日率川坂本陵(かすがの・いざかわの・さかのえ・のみささぎ)だがや!」
ミマキ「して、造営された場所は?」
ケモロー「奈良県奈良市の油阪町(あぶらさかちょう)だがや。」
ミマキ「そうか・・・。」
ケモロー「ほんでもよぉ。なんで、即位の前に陵を造営したんだ?」
ミマキ「これがロマンと申すモノじゃ。」
そして、年が明け、紀元前97年、皇紀564年(崇神天皇元)となった。
その年の1月13日、ついに、ミマキは大王となった。
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)である。
そこに、ミマキの母、伊香色謎(いかがしこめ)(以下、イカメ)。
そして、イカメと先々代の子で、ピッピの兄、彦太忍信(ひこふつおしのまこと)(以下、まこと)がやって来た。
イカメ「御即位、おめでとうございますぅ。」
まこと「甥っ子のくせに弟よ! おめでとうやで!」
ミマキ「母上、伯父のくせに兄上!」
イカメ「汝(いまし)が大王になって嬉しいんやけど、やっぱり、先代のことを思い出してしまいますなぁ・・・(´;ω;`)ウッ…。」
まこと「母上! こんな、めでたい日に、涙は不吉やで!」
イカメ「そないなこと言われても・・・。」
ミマキ「まあまあ・・・。して、大王に即位致しましたゆえ、母上を皇太后(おおき・おおきさき)と尊ぶことに致しましたぞ。」
イカメ「それは、ありがたいことなんやけど・・・。」
ミマキ「い・・・如何(いかが)なされましたか?」
イカメ「わらわも、ええ歳なんどす。そろそろ・・・クランクアップなんや・・・。」
まこと「た・・・確かに・・・。先々代の頃からの登場やで! もう、おばあちゃんなんやで!」
ミマキ「そ・・・そのような・・・。これからも、私を支えていただきとうござる。」
イカメ「歳には勝てまへん。せやから、他の方に、皇太后の役目を任せたいと思うてます。」
ミマキ「他の方? そのようなこと『記紀』には、一言も書かれておりませぬが?」
イカメ「この物語の『おりじなる設定』どす。ほな、紹介しますぅ。先代の妃、包媛(かねひめ)こと『カネ』殿どすえ。」
カネ「はぁぁい! カネにございますよ! 私が、義理の母として、大王の悩み事を聞く立場となりましたぁ!」
ミマキ「カ・・・カネ殿? な・・・なにゆえ?」
イカメ「カネ殿には、子供がおりまへん。多くの妃の中で、カネ殿だけどす。それは、ホンマに可哀そうなことやと思いましてな・・・。」
まこと「衝撃の展開なんやで!」
イカメ「ほな、ミマキ・・・。カネ殿のことを義母上と呼ぶんどすえ?」
ミマキ「か・・・かしこまりもうした・・・。」
カネ「大王? よろしく御願い致しますね。」
ミマキ「こ・・・こちらこそ・・・。」
イカメ「これで、わらわも一安心やわぁ。ほな、みなさん、わらわも、これにてクランアップ致しますぅ。」
まこと「母上! 御達者で・・・なんやで!」
するとそこに、カネの両親がやって来た。
すなわち、彦五十狭芹彦(ひこいさせりひこ)(以下、芹彦(せりひこ))。
そして、妻の百田弓矢姫(ももたのゆみやひめ)(以下、ユミ)である。
芹彦「ついに、それがしは、大王の祖父となったぞ! 外戚(がいせき)じゃ!!」
ユミ「何、言ってんのよ。この物語のオリジナル設定なのよ? 本気にしちゃダメでしょ!」
芹彦「なっ!? オリジナル設定じゃとぉぉ!! しまった! 謀られた!」
ミマキ「大伯父上・・・。相変わらずですな。」
まこと「うるさくて、かなわんのやで!」
芹彦「悪かったのう!」
イカメ「ほな、あとのこと頼みますえ。」
ミマキ「お・・・お任せくださりませ。」
こうして、ミマキの母、イカメは先代の跡を追って、クランクアップしたのであった。
つづく
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