JW400 天女ふたたび
【崇神改革編】エピソード27 天女ふたたび
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
紀元前59年、皇紀602年(崇神天皇39)3月3日。
天照大神(あまてらすおおみかみ)(以下、アマ)は、丹波(たにわ:現在の京都府北部)の吉佐宮(よさ・のみや)に引っ越しした。
豊鍬入姫(とよすきいりひめ)(以下、きぃ)は、この地を治める、彦坐王(ひこいます・のきみ)(以下、イマス)と共に解説をおこなう。
イマスの息子、丹波道主王(たにわのみちぬし・のきみ)(以下、ミッチー)。
ミッチーの妻、河上摩須郎女(かわかみのますのいらつめ)(以下、マス子)。
御食事担当の豊受大神(とようけのおおかみ)(以下、とよよん)も解説に加わるのであった。
アマ「これにて、京都府福知山市大江町(ふくちやまし・おおえちょう)の『元伊勢三社(もといせさんしゃ)』の解説は終(しま)いじゃが、候補地は、まだまだ有るぞ。」
とよよん「次は、竹野神社(たかのじんじゃ)よん。」
ミッチー「竹野? 多遅摩竹野別当芸利彦(たじまの・たかのわけ・の・たぎりひこ)こと『たぎり』が、治める地にござりまするか?」
とよよん「そっちの竹野(たかの)じゃないのよん。鎮座地(ちんざち)は、京都府京丹後市(きょうたんごし)の丹後町宮(たんごちょう・みや)になるのよん。」
イマス「関わりは無い・・・ということにござりまするか?」
とよよん「そういうことよん! では、次、行くわよん!」
きぃ「えっ? 京丹後市は、それだけですか?」
とよよん「心配しないで! 京丹後市にも、あちしを祀(まつ)る外宮(げくう)が有るのよん。」
アマ「その通りじゃ。まず一つ目は、奈具神社(なぐじんじゃ)じゃ。京丹後市の弥栄町船木(やさかちょう・ふなき)に鎮座しておるぞ。」
ミッチー「弥栄町船木? その地は、エピソード300で紹介した、天女が亡くなった地ではありませぬか?」
アマ「天女の羽衣伝説(はごろもでんせつ)じゃな? よく知っておるのう。」
マス子「うちが、旦那様に解説したんです。和奈佐(わなさ)という翁(おきな)に利用されて、最後は、家から追い出されたんですよ。」
とよよん「そうよん。そのとき、天女は、歌を詠(よ)んだのよん! 天の原(あまのはら)~ふりさけみれば~霞(かすみ)立ち~家路(いえじ)まどいて~行方(ゆくえ)しらずも~。」
マス子「えっ? そないな歌が有ったんですか?」
とよよん「そして、舟木郷(ふなき・のさと)に着いた時、こう言ったのよん。『ここに来(きた)りて、我(わ)が心、奈具志久(なぐしく)なれり』と・・・。」
アマ「奈具志久とは、安らかに・・・という意味じゃ。」
きぃ「それで・・・奈具神社と言うのですね。」
ミッチー「されど、なにゆえ『とよよん』が、そこまで知っておられるのです?」
とよよん「だってぇ、亡くなった天女は、村人たちによって『あちし』として祀られたんだから、しょうがないでしょ?」
ミッチー「なっ! 天女が『とよよん』に!」
天女の羽衣伝説が関わってくるとは、想定外なのであった。
つづく
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