JW184 友、遠方より来たる
【孝霊天皇編】エピソード39 友、遠方より来たる
第七代天皇、孝霊天皇(こうれいてんのう)の御世。
福姫(ふくひめ)こと「ふぅ」が亡くなってから、二年の歳月が流れた。
すなわち、紀元前230年、皇紀431年(孝霊天皇61)。
孝霊天皇こと、大日本根子彦太瓊尊(おおやまとねこひこふとに・のみこと)(以下、笹福(ささふく))による、伯伎国(ほうき・のくに)の印賀(いんが)の鬼退治は、未だに決着を見ずにいた。
ちなみに、伯伎国とは、現在の鳥取県西部のことである。
笹福「印賀の鬼退治・・・足掛け、四年になるではないか!」
鶯王「それだけ、強い敵ということにござりまする。」
笹福「分かっておる。分かってはおるが・・・。」
デーモン「フハハハハハ・・・。どうだ? 怖かろう?」
笹福「そのような脅しには屈せぬぞ。皆の衆! かかれぇぇぇ!!!」
笹福一行「おお!」×多数
この日も、激しい戦(いくさ)がおこなわれていたのであったが、そこへ、思わぬ人物がやって来た。
出雲(いずも)の家来、明速祇(あけはやづみ)(以下、あっくん)である。
あっくん「お久しゅうござりまする。『あっくん』にござる。」
笹福「おお『あっくん』か・・・。されど、今は、それどころではない。」
あっくん「いえ、印賀の鬼よりも大事にござりまする!」
笹福「大事じゃと?」
あっくん「エピソード172を覚えておられまするか? 月支国(げっしこく)が攻め込んでくるやもしれぬ・・・という話にござる。」
笹福「なに!? ついに、月支国が攻め込んでくる気配を見せたと申されるか?!」
あっくん「左様。印賀の鬼と戦っている時ではござらぬ。すみやかに、ヤマトの兵も合力(ごうりき)くださりたく存ずる。」
笹福「かしこまった・・・。そういうわけじゃ! デーモンよ! しばし、和睦(わぼく)と致そうぞ!」
デーモン「吾輩(わがはい)は一向にかまわぬ。ヤマトの諸君。励(はげ)み給え。」
印賀の鬼たち「閣下! カッコいい!」×多数
デーモン「フハ、フハ、フハハハハハ・・・。」
芹彦「あの笑い方・・・気に入らぬのう。」
歯黒「致し方ない。今は、月支国との戦(いくさ)に備えねば・・・。」
タケ「兄者の申す通りじゃ。変な奴との戦は、一旦、沙汰止み(さたやみ)とするほかあるまい。」
デーモン「聞こえておるぞ。タケェェ!」
牛鬼「あげな変な奴は、相手にせん方が、ええが。そげなことより、出雲に向かいましょう!」
笹福「そげだな。では、各々方(おのおのがた)! 出雲に向おうぞ!」
笹福一行「おお!」×多数
こうして、笹福一行は印賀を後にし、出雲に向かったのであった。
その途次、妻木邑(むき・のむら)に立ち寄ったことにしたいと思う。
ヘンリー「エピソード179以来だがん!」
朝妻「大王(おおきみ)! お久しゅうございます。」
笹福「うむ。まことに・・・。久しいのう。」
鶯王「母上。御息災(ごそくさい)のようで、なにより・・・。」
朝妻「鶯王(うぐいすおう)・・・先月、参られたではないですか・・・。」
笹福「時折、御機嫌伺いに行っておるのであったな・・・。」
鶯王「は・・・。大王の御恩情、ありがたく感じておりまする。」
笹福「なに、汝(いまし)を言伝(ことづて)の使者にしておるだけじゃ。我(われ)も参りたいが、そうも、いかぬゆえな。」
ヘンリー「伝承に無いことを申されているところ、大変申し訳ないだけんど・・・。」
笹福「如何(いかが)致した?」
ヘンリー「妻木からも兵を出しますぞ! 当然、わ(私)も出陣しますぞ!」
笹福「なっ! それこそ、伝承に無いことではないか!」
ヘンリー「何、言っちょうだ(何を言ってるんですか)! 出雲の一大事、秋津洲(あきつしま)の一大事なんだがん! 行くに決まっちょうだ!」
笹福「そ・・・そげか・・・。」
そのとき、遥か東方から土煙が見えてきた。
大目「ひ・・・東から、兵がやって来たんじゃほい!」
みなお「も・・・もう、月支国が攻めて来たっちゅうことか?」
歯黒「いや・・・。月支国の兵なら、西からやって来るはずじゃ。」
笹福「ん? あ・・・あれは、ジョージとマイケルではないか!」
東から来たのは、稲葉(いなば:現在の鳥取県東部)の住人、ジョージとマイケルたちの兵であった。
ジョージ「お久しぶりにございます! 大王!」
マイケル「エピソード143以来だで!」
芹彦「だ・・・誰じゃ?」
タケ「阿呆! 裏設定で、伯伎に向かう途中、稲葉に立ち寄り、ジョージとマイケルに会ったことになっておるのを忘れたか!?」
鶯王「タケ・・・。忘れるからこそ、芹彦なのじゃ。」
芹彦「さすがは、兄上! それがしのことを最も分かっておられる!」
牛鬼「なんか間違っちょるような・・・。」
笹福「ジョージ! マイケル! 久しぶりじゃのう。もしや、伝承には無いが、汝(なれ)たちも戦に?」
ジョージ「そうだで! 大王が月支国の戦に向かわれると聞いて、急いで来たんだっちゃ!」
マイケル「大王への御恩返しが、まだ、だったけぇ(だったから)、張り切って来たんだで!」
笹福「左様か・・・。ありがたい。」
ぐっさん「ん? 大王! あちらから、船団が来ましたで! 月支国の船団やろか?!」
海上に現れた船団。
笹福一行は、どうなってしまうのか。
次回につづく
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