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JW409 母の涙

【崇神改革編】エピソード36 母の涙


第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。

紀元前50年、皇紀611年(崇神天皇48)4月19日。

立太子(りったいし)がおこなわれた。

すなわち、活目入彦五十狭茅尊(いくめいりひこいさち・のみこと)こと「イク」が、日嗣皇子(ひつぎ・のみこ)となったのである。

系図(イク)

イク「ぼ・・・僕が、日嗣皇子となりました。が・・・頑張ります!」

所信表明を聞いた、崇神天皇こと、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)が、大きく頷(うなず)く。

ミマキ「うむ。しっかりと励(はげ)むのじゃぞ。」

異母兄の豊城入彦(とよきいりひこ)(以下、トッティ)も「イク」を励ます。

系図(トッティ)

トッティ「なんかよく分かんねぇけど、神様が、汝(なれ)を選んだんだっぺ。期待を裏切るんじゃねぇぞ。」

イク「わ・・・分かってます。僕、一所懸命に頑張ります。」

ミマキ「うむ。して、『トッティ』は、東国(とうごく)の鎮定(ちんてい)に向かって欲しい。」

トッティ「えっ? 夢で、東の方に向かってたからって、ちょっと早すぎるっぺ。」

ミマキ「早いことはない。善は急げと言うではないか。」

するとそこに、「トッティ」の母、遠津年魚眼眼妙媛(とおつあゆめまぐわしひめ)(以下、アユ)が乱入してきた。

系図(アユ)

アユ「ちょっと待ちなさいよ! おかしいでしょ!?」

ミマキ「ア・・・アユ。如何(いかが)致したのじゃ?!」

アユ「どうして、いっつも、私の子ばっかりなのよ!」

トッティ「は・・・母上?!」

アユ「可愛い豊鍬入姫(とよすきいりひめ)こと『きぃ』ちゃんと、離れ離れの暮らしを強(し)いられてんのよ! この上、息子まで・・・。どうなってんのよ!」

ミマキ「そ・・・そのようなことを言われてもな・・・。」

アユ「大后(おおきさき)の子供も、みんな大きくなってんだから、一人くらい行ってもいいんじゃない?! どうなのよ?! 『みぃ』ちゃん?!」

唐突に振られた、大后の御間城姫(みまきひめ)(以下、みぃ)は、困惑するしかない。

系図(みぃ)

みぃ「そ・・・そのような『記紀(きき)』に無いことを言われても・・・。」

アユ「私の子たちは、みんな、遠くに行っちゃうの! 『みぃ』ちゃんに、私の気持ちが分かる?」

みぃ「も・・・申し訳ありませぬ。なんと申せば良いか・・・。」

アユ「そうよね。分かんないわよね。私の気持ちなんか・・・(´;ω;`)ウッ…。」

トッティ「母上! 気にすることないっぺ。束の間のことだっぺよ。」

アユ「ホントに? 死んだら、許さないわよ!」

トッティ「東国鎮定の暁(あかつき)には、母上を、お迎えするっぺよ。」

アユ「あんた・・・。東国に住(す)まうつもりなの?」

ミマキ「東国を治めよと、申し伝えたからのう・・・。」

アユ「でも、そうなると『きぃ』ちゃんと・・・。嗚呼、私は、どうしたらいいの!」

アユ様には、申し訳ないが、そういうことになったのであった。 

つづく

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