選択肢を与えればよいわけではない。
授業の中で、選択式の課題を設定したことは今までにもあった。
「課題を選択式にすれば、生徒の学習意欲が高まるだろう」という浅はかな意図しかないままに、授業づくりを行っていたこと。
この本を読んで、そのことに気づかされた。
ストレッチゾーンにいるということ
この本の序盤に、ヴィゴツキーの発達の最近接領域(ZPD,Zone of Proximal Development)という言葉が頻繁に出てくる。
ZPDを簡単に表現すると、ストレッチゾーンである。
例えば、自転車に乗れない子どもを想像してほしい。
ストレッチゾーンにい続けることは、かなりエネルギーを消耗する。
しかし、ストレッチゾーンはやがてコンフォートゾーンに代わり、さらなる成長を可能にする。
学習についてもこれが言える、ということである。
「なぜ、この言葉についての説明が多いのだろう?」と思いながらも読み進めていくと、後半にこのような言葉が出てきた。
なるほど、「よい選択肢」はZPD内にあるということである。
当然、「よい選択肢」は生徒によって異なる。
よい選択をするためには、自分の能力やスキルについて、十分な理解がなされていないといけない。
つまりメタ認知が重要になってくる。
選択する学びは、自分の知性を俯瞰する自己認識能力を育てることにもつながる。
「よい選択肢」を選ぶとはどういうことか。
「よい選択肢」を選ぶための方法とは、どのようなものか。
また、よい選択によってどんなメリットがあるか。
今までの授業で伝えたことがなかったので、反省。
目に見えないものが学びを支える
教育は環境や習慣、継続だということを、たびたび痛感する。
学習において、「自分がどのゾーンにいるか?」ということを考える習慣は、様々な要因の積み重ねでしか達成されない。
「選択する学び」の効果を高める方法は、多くが以下のような目に見えないファクターを重要視している。
教師も生徒にとっては環境の一つである。
教師の在り方、教室の在り方、生徒の在り方。
学習は、それらに大きく左右される。
逆に、習慣や環境を味方につければ、学習効果は何倍にも膨れ上がるのだとも思う。
次からは「選択する意味」を伝えます
今年度は、今もっている3年生の授業は終わってしまう。
30日もせずに。
もう卒業してしまう彼らに、伝えられないのがもどかしい。
次なる生徒たちに伝えるべく、自分への戒めの意味も込めて……この本を皆様にお薦めしたいと思う。
PLC便りにも取り上げられているので、ぜひ。
そして、前回の記事もよろしければ。
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