連載「菌活ボーイがゆく」㉒巳年の誓い

こうじの魅力にはまった猫サラリーミャンの菌活実践記です。
「育て上げた醤油こうじを食べてしまうのが心苦しくて」の心境で菌との触れ合いの日々を送る。
さっちー師匠ににゃんだかんだ巻き込まれながら“菌友”づくりに励む。

文／菌活ボーイ
イラスト／ちぐ

仕事始めの朝一番。

新年の抱負を胸に、キジトラ総本山におもむいた。


さっちー師匠はテレビを見ていた。


「あけまして、おめでとうございます」

あいさつしても、振り向かない。


「ことしは菌活に一層精進します」

「ふ～ん。がんばって」


決意を述べても、気のない返事。

テレビ画面にくぎ付けだ。


日本で一番好かれる男・渋沢栄一が、空から舞い落ちていた。

なになに。巳（み）年特番？


巳年は、金運アップの年だという。

しかも今年は乙巳（きのとみ）。60年に1度の巳年らしい。


「し、師匠…」

「にゃに？」


声を荒げて邪魔者扱い。

テレビにかじりつきそうなほど前のめりだ。


「いや。ことしも菌活に励もうかな、と思って…」

「あ、そう。わたしは金活希望」

（続く）