だれが、どのように私を結婚に導いてくれたのか?
既婚者のみなさん、あるいは現在、恋人やパートナーがいるみなさん、少し考えてほしい。その交際のきっかけを与えてくれたキューピッドはいますか。
私には、いる。
いるんだな。
ってなわけで今日は、私が妻と結婚するに至ったきっかけ、キューピッドについて、ここに吐き出してみることにするぞ。
【関連】今日の記事は、この過去記事を読むとより理解できるよ
[1]だれがキューピッドか
私と妻のキューピッド、それは、前職時代の女性上司である。その上司は、2022年9月30日に公開した、以下の記事に登場する。
彼女は関東出身で、私の6歳か7歳上の既婚者であった。だれよりも愛社精神が強く、私をなかば洗脳するかのように、会社沿革や理念を叩きこんでくれた。27歳当時の私は、乾いたスポンジだったので、おもしろいくらいに吸収した。
彼女は、ビジネスでの立ち居振る舞い、相手の先回りをして準備することの大切さ、期待を超えるサービスの提供方法など、仕事の思想をこれでもかというほど教えてくれた。素晴らしい上司である。
が、彼女は私を、自分の監視下に置きたがった。
いわゆるマイクロマネジメントってやつである。
彼女は私の行動を、すべて把握したがった。
今でいえばパワハラだったと思う。彼女からの電話、社内チャットが私に飛んでくると、不惑なワガハイもさすがに胃がキリキリするほどだった。
当然、後から入社してきた私の部下や、
後に私の妻となる営業事務スタッフからも、
「〇〇さん、よーく、あんな人と2人きりで数年やってきましたね、やっぱ、頭おかしいんじゃないですか? ネジ取れてるんじゃないすか?(コンコン)」
と、よく言われたものである。
私は「え~、そうかなぁ~?」と、
すっとぼけていた。
部下といえども、スタッフは全員私よりも年上。
社歴は私の方が長いし、仕事のことも私の方が詳しい。けれど、部下たちは世話好きな人たちだったので、私のことをまるで弟、子どものように可愛がってくれた。味方だった。
たとえば、
女性上司に私が激ヅメされている姿を見て、
「○○さん、あれは僕、許せないっすよ!」
と、後で言ってくれた。
[2]キュー♡ピッド「営業同行」
その女性上司が、後に私の妻となる営業事務スタッフにそう言って、私に確認してきた。いかにもベンチャー気質にあふれた物言いと考え方である。
私は当時、この女性上司のしもべ妖精であり、ひたすらに新規案件を受注しまくるドビーになっていたので、即答した。
「あ、はい、いいでゲスよ」
札幌市南区に、とある企業がある。その企業の社長と商談する予定だった。のちに妻となる営業事務スタッフが同行する。社内にいるときの私は、女性上司の不憫なしもべの妖精のドビー、部下にいじられては「えへへ~」と、とぼけるみんなの末っ子。
ところが、いつも企業と商談してきては、案件を受注してくる。営業事務スタッフは「この人が…なんでだろう?」と疑問に思っていたらしい。
が、商談の席に座って、
後の妻は納得したらしい。
(こ、こいつ…サイコ野郎だ!)
どうやら私は、人が変わるらしいのだ。
[3]キュー♡ピッド「オフィス移転」
女性上司が私に、確認という皮をかぶった命令をしてきた。私が入社して3年の間に、オフィスの規模は拡大し、4畳もないレンタルスペース(地獄のお部屋)から、合計2回のオフィス移転、最終的には札幌の中心地にドドンとオフィスを構えるに至った。
上記のセリフは、その2回目の引っ越しの直前に、私が言われたものである。
当時の私は、やっぱりしもべ妖精だったので、
こう言った。
ドビー「あ、やっとくでゲス」
この会話を後ろで聞いていた部下と、
後の妻はイラっとしたらしい。
女性上司にではない。私にだ。
(…なんっで、断らないのっ、この人は!)
だが、承諾したはいいものの、引っ越し作業や立ち合いには、どうしても2人は必要らしい。女性上司は、後の妻を指定した。
「〇〇さん、すっっごく申し訳ないんだけど、土曜に立ち会ってもらっていいです? 振休も、もちろん取ってくださいね」
(え、私の振休は?)
というわけで、ある日のオフィス移転の土曜日、私は後の妻と一緒に、オフィス移転の立ち合いをすることにした。8時間ヒマだった。ひたすら2人で仕事やプライベートのことを話した。
[4]だれがキューピッドになるか分からない
私の妻曰く「あの人がキューピッドなのは、一生の不覚」らしい。
妻とその女性上司の相性は死ぬほど悪かったのである。妻は前職を辞めるとき、その女性上司と話し合った。
最終的にはテーブルをぶっ叩いて「もう、あなたと話すことはありません」と言って、すぐに辞めてしまった。さすが海外帰り、意見の主張が強い。
すでに結婚することは、社内でも発表されていたので、私は初めて怒りに震える妻を見て、同じくブルブル震えた。怖くて。年上の部下も、
「〇〇さん…彼女はいつも、あぁなんですか…」
と震えていたので、
「…いや、ぶっちゃけ人間性とか知らないっす」
と答えた。
怒らせたらやばい人は、怒らせたらヤバイぞ。
…
この記事を読んで「え、それ、女性上司の人、くっつけようと狙ってたんじゃないの?」と思われる方に朗報。
断じて、ありえない。
なぜなら、私は女性上司のしもべ妖精だったからである。彼女は私をつかんで離そうとしなかった。私がいれば、彼女の出世は約束されていたし、事実、オフィス拡大の手柄は彼女のものとなり、どんどん昇格していった。
結局、結婚してすぐ、
妻は仕事を辞め、私も転職した。
女性上司からすれば、私の妻は、ある日突然、自分のしもべ妖精を華麗に奪っていったハリケーンのような女性なのである。
当時の部下も「〇〇さん、洗脳が解けてよかったですね」とLINEをくれた。
誰がキューピッドになるか分からない。
意図せずキューピッドになる人もいる。
…
ちなみにでいうと、
私はその女性上司に感謝している。
私が大学除籍でも、気にせず採用してくれたし、ビジネスの基礎を叩きこんでくれた。時に無理難題をぶん投げてくることもあったが、あれはあれで、私の財産になった。そして、結婚にまで導いてくれたのである。
なお、
いま現在、家庭での私が、妻のしもべ妖精になってしまっていることについては、ここだけの秘密である。
▶︎人生はたぶん鈍感力が大切なのかも