正月料理で整いました
京都で暮らすようになってから、
「食」のルーツをより考えるようになった。
特に行事の前のスーパーなどに並ぶ食材や
団子を再利用するおばんざい、
黒豆や枝豆、小豆など豊富な種類の豆類、
団子粉やきな粉、上新粉、片栗粉をはじめとする豊富な粉類
何より季節のうつろいと料理が一体となって
一年が流れていくのが良くわかった。
昨年の12月には京料理展示会で、
京料理の肝は包丁とだし、
そして料理に欠かせないみりんに
甘強の尾張みりんがあることも知った。
そしてお正月。
最初の年のお雑煮は四角い切り餅に澄まし汁の長野風。
二年目は白味噌に丸餅の京都風。
三年目の今年、丸餅に澄まし汁のミックス型を楽しんだ。
おせち料理は、
おめでたい縁起はもちろんだが
食材の色、触感、五行、山の幸、海の幸
一年で最も身も心も整えるのに理にかなった料理だとしみじみ。
四角いお重に見目よく詰めることは、
世界に広がったOBENTOU文化に通じるとも思う。
大根やレンコンごぼうなど根菜類は身体を温めてくれたし
「黒豆」の堂々たる存在感といったら
今や年中食べられるとはいえこの季節は冠ものだ。
今年の私の黒豆は
初めてみりんを使い、甘味の薄い自然な味わいに仕上がった。
そもそも甘さや塩味を濃いめにしたのは保存のためだし、
白砂糖を使うのも彩りのためだった。
冷蔵庫が登場し、
人口的な添加物で保存や彩り、うま味をつくれる時代
おせち料理は料理屋さんやお店で出来合いが買えるし
デパ地下に行けば世界の華やかなお惣菜が探せる。
さらにUber Eatsを使えばいつでも好きな食事を
家まで届けてもらえる。
おせち料理がハレの料理だったけれど
年中ごちそうを食べ、
食材も豊富で世界各国の料理を楽しめる現代、
あえておせちを食べない人たちもいる。
お正月の過ごし方も多種多様な現代、
それでも新しい歳を迎え
リフレッシュして心身を整える時期には違いない。
そういう時期のお正月料理こそ
食べることにただ感謝し
ご一緒できる目の前のひとたちに感謝して
自分自身を真ん中に戻してくれるすばらしき文化だと思う。