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すべての思い込みがダメなのではなく、信念のない思い込みがダメなのです。

久しぶりにキャリアコンサルタント的な話になりそうです。

というのも、キャリアコンサルタントの資格取得時の学習で「思い込み」について、理論や概念などを学ぶ機会がありますし、なにより面接試験では、先入観や思い込みは減点対象となるからです。

例えば、友人から「仕事がツライ」と相談を受けたとき、あなたはどんな職場環境を思い浮かべますか?

おそらくは、自分の過去から現在にかけて体験してきた職場環境から連想すると思うのです。

友人としては「仕事量が多い」ことを「ツライ」と表現していたのに、あなたが上司と折り合いが悪い環境にいた場合、つい「人間関係がツライのでは?」と錯覚してしまうこともあるのではないでしょうか?

このような先入観や思い込みがあっては、相談に応えることは出来ません。

ですから、キャリアコンサルタントにとって、「思い込みはダメ‼」という認識が働いてしまって、「思い込みがダメなモノ」という思い込みに縛られてしまうこともあるのです。

…ややこしい表現でしたか?( ̄▽ ̄;)

ということで、今回は「思い込み」について書いていこうと思います。

最後までお付き合いいただけると幸いです。

女性・手に燭台・炎・信仰・宗教・祈り

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「イラショナル・ビリーフ」

まずは、キャリアコンサルタントが学ぶ思い込みについて、少し触れたいと思います。

これはキャリアコンサルタントでなくとも、知っておくことで役に立つことがあるかもしれません。

心理学やカウンセリングを学んだ方はご存知かもしれませんが、アルバート・エリスというアメリカの臨床心理学者についての話です。
(以下、エリスと略させていただきます)

エリスは1955年に論理療法、現在の理性感情行動療法を提唱します。

論理療法とは、簡単に説明すると「論理的な思考が心理に大きく影響するという考えを主軸に捉えた心理学的技法」のことで、現在ではビジネスの領域でも転用されている概念です。

エリスには「ABC理論(またはABCDE理論)」というメンタルヘルスに関連した理論があります。

その中に「合理的な信念=ラショナル・ビリーフ」と「非合理的な信念=イラショナル・ビリーフ」という言葉が登場します。

イラショナル・ビリーフは、「○○しなければ」や「○○すべき」という事実に即していない思考を意味しているので、「非合理的な信念=思い込み」として表現されることもあります。

チェーン・鎖・三本の鎖・束縛・モノクロ・拘束

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言葉に縛られる

ところで、三段論法というものをご存知でしょうか?

「A ならば B である。C ならば A である。ゆえに C ならば B である。」という推論の方法をいう。
(算数用語集・数学用語集より)

例えば、「鳥(A)は卵(B)を産む。ニワトリ(C)は鳥(A)である。ゆえにニワトリ(C)は卵(B)を産む。」というものです。

これを先ほどのイラショナル・ビリーフに置き換えてみます。

非合理的な信念(A)はイラショナル・ビリーフ(B)と呼ぶ。思い込み(C)は非合理的な信念(A)と同格である。ゆえに思い込み(C)はイラショナル・ビリーフ(B)と考えられる。

…実は、これは三段論法っぽく見えますが、間違っています。

一見、正解のように感じられるかもしれませんが、そこにも思い込みは潜んでいるのです。

ほんの少しの言葉の違いで、結論は大きく変化します。

言葉に縛られるとは、なかなかに脱し難い状況だということがお分かりいただけると思います。

アーキテクチャ・神殿・ローマ・柱

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言葉の回廊

先ほどの答えですが、単純に「非合理的な信念」と「思い込み」は別の言葉であり、言葉に含まれるニュアンスも異なります。

イラショナル・ビリーフという用語が間に入ることで、英語に疎い方はニュアンスに惑わされ、「非合理的な信念=思い込み」という言葉の縛りから抜け出せなくなります。

言葉は、学ぶほどに難しさを感じるものです。

「非合理的な信念=思い込み」だと捉えれば、思い込みはダメなものだと錯覚してしまいます。

また、少し話を変えますが、今回の記事のように思い込みについて書いていくと、「人には思い込みがある」という思い込みにハマる危険性もあります(ややこしいw)。

つまり、どちらが表で裏なのか?

なにが正しくて、なにが間違っているのか?

その境界が曖昧になってしまうのです。

ですから、もし混乱してしまったら、「思い込み」「先入観」「非合理的な信念」と、似て非なる言葉を連想して、自分の中の境界を取り戻しましょう。

女性・夕日・サンセット・ヨガ・光を浴びる・砂浜・ビーチ

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まとめ

ということで、いかがだったでしょうか?

人間は誰もが思い込みを持っています。

ですが、思い込みには正しく使えば強いプラスの力になるものもあります。

例えば、「火事場の馬鹿力」という言葉があります。

《火事のときに、自分にはあると思えない大きな力を出して重い物を持ち出したりすることから》切迫した状況に置かれると、普段には想像できないような力を無意識に出すことのたとえ。
(デジタル大辞泉より)

危機的状況で力を発揮するには、思い込みの力が求められることがあります。

自分には生きる理由がある、生きるためにやれることをやる。

純粋な思い込みは本能に近い感覚だと個人的には考えています。

ですから、すべての思い込みを排除する必要はありません。

「非合理的な信念」のみを取り除き、「合理的な信念」へと変容させることが肝要です。

合理的な信念とは「できれば○○であればよい」といった柔軟な思考です。

自分の可能性を模索する合理的な信念を常に意識したいものです。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

今回の投稿は以上です。

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