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負けないフィールドを選ぶ
「諦める力」
ん?どういうことだ?
「諦めない力」ではなく
「諦める力」と書いてある。
世の中には
「諦めないことが大事」
「続けていれば、いつか報われる」
そんな言葉をよく聞くが、このタイトルには真逆のことが書かれている。
「勝てないのは努力が足りないからじゃない」
読み終わった後、このタイトルが腑に落ちるだろう。
*
今回紹介する本は、400メートルハードルで、シドニー、アテネ、北京と3度オリンピックに出場した為末大さんの「諦める力」です。
耐える人生か。選ぶ人生か。
前向きに「諦める」ことから、自分らしい人生が開けてくる。
諦めることは、逃げることにあらず。
与えられた現実を直視し、限られた人生を思い切り生きるために、
よりよい選択を重ねていくことこそが「諦める」ことの本質である。
オリンピックに3度出場したトップアスリート・為末大が、
競技生活を通して辿り着いた境地。
この本の”はじめに”の部分に書かれているのですが、
「諦める」語源は「明らめる」で、
仏教では、「真理や道理を明らかにしてよく見極める」という意味で使われています。
このことからわかるように、「諦める」ということは決してマイナスなことではなく、
「自分の才能や能力、置かれた状況などを明らかにしてよく理解し、今この瞬間にある自分の姿を悟る」ということです。
ぼくは「諦める」という言葉に関しては、プラスのイメージがなく、どちらかといえば、「諦めない」ことこそが美学だと思っていました。
しかし、「諦めない」ということは一概には良いとは言えず、努力したところで勝てないと気づく瞬間が多くあります。
なので、「諦めない」ということに縛られず、「諦める」ことをポジティブに捉え、”自分らしい人生を送ろう”というのが書かれている本です。
これから何回かに分けて、ぼくが興味深いと感じたところを紹介していこうと思います。
*
① 勝つためには、最初から負けるフィールドを選ばないことが重要
人間には変えられないことのほうが多い。
だからこそ、変えられないままでも戦えるフィールドを探すことが重要。
すごく簡単なことを言っているようで、かなり難しいことなのかなって思います。
なぜなら、人間は希望的観測も含め、こうなりたい!と強く憧れを抱き、自分に合っていないことをしてしまいがちだからです。
例えば、ぼくが八村塁さんに憧れて、バスケットボールプレーヤーになりたいと思ったとします。
バスケットボールはある程度の身長があった方が有利で、八村塁さんは身長203センチと大きいし、体格も良いため、バスケットボールプレーヤーに合っています。
そんな中、170センチないくらいのぼくがバスケットボールプレーヤーを目指したところで、活躍できない確率が高く、お世辞にもバスケットボールプレーヤーが合っているとは言えません。
もちろん、確率であるため、身長があまり高くなくても活躍している方はいると思います。
しかし、活躍できる確率が低いのは明らかですよね。
*
そこで為末大さんがこの本でおっしゃっていることは、
「負けるフィールドを選ばない」ということです。
極端なことをいえば、勝ちたいという努力をするよりも、さしたる努力をすることなく、勝手しまうフィールドを探すほうが、間違いなく勝率が上がる。
これこそが「諦める力」ということなのかなって思います。
勝てない確率の高い領域でがんばるのではなく、
そこは潔く「諦めて」
勝てる確率の高い領域にいくということです。
しかし、ここで間違ってはいけないのが、
「勝てる手段は諦めていいけれども、勝つという目的は忘れてはいけない」です。
つまり、負ける戦いはしない代わりに、一番になる戦いはやめないということです。
ここを勘違いしてしまうと、「諦めてもいい」が「そのままでいい」にすり替わってしまいます。
自分の得意なことをしっかりと見極めるために、自分を客観的に見て、負けないフィールドを探す。
すごく勉強になった言葉でした。
2021年9月30日 けんぼーい