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不登校と中学受験(24)

中学受験の影響ははかり知れない

中学受験で見事、合格を勝ち取ったとして、そのあと、全く勉強をしなくなり、親の言うことに耳を傾けることもなくなるということが起こることが多々あると、前回、お話させていただきました。


お母様に向かって「やかましい!黙れ、喋るな、クソババア!」と親を罵る中学生がいます。

これ、実は女の子に多いように思います。

男の子はよほど頭に来た時は言うかもしれませんが、それ以外の時は、少しくらい怒っていても、あまりそんなことは言わないことが多いと思います。

これはあくまで私の実感ですが・・・。

実際に男の子でもいたので、男の子場合は、かなり酷く、怖い感じになりますから、お母様はこうやって怒鳴り散らされたら、近寄りにくいことは間違いありません。


こう言って、外側にエネルギーをむけて言いたいことを言うようになる子どもがいる一方、反対に自分の内側にエネルギーが向く子どももいるのです。

中学受験をしなくても、どちらの子どももいるのですが、中学受験した子どもの方がよりはっきりと出てくる。それが私の実感です。


ご家族が異常に過熱してしまい、子どもに勉強だけをがんばらせた結果、見事合格をしたのですが、私立中学進学後も覇気もなく、何を聞いても、あいまいな返事しかしないようになってしまうことがあります。

中学校の宿題もだんだんやらなくなり、勉強からも離れていってしまいます。

学校での様子も、周りの生徒に話しかけられたら、応えますが、それ以外は、人と話すこともなく、何気なく座っているという感じです。


家に帰っても、いつもうつむいて元気がなく、ご家族が話しかけてもあまりリアクションが少ないので、ご家族が心配になって病院に連れて行くことすら出てきます。

それでも、何も変化なく、だんだん顔の表情もなくなり、声のトーンがいつも同じようになっていくのです。

業を煮やして、お父様が「そんなことしていたらどんどん学校でおいていかれるぞ!」と大声を出して叱ると、殺気を含んだ様な目つきで睨みつけ、でも、黙っているのです。


そして、自分の部屋に帰って、壁に穴を開けるとかの大暴れをすることがあるとしたら、この時かもしれません。


外に気持ちが向いていかない替わりに、自分の心の中に気持ちが向いているのです。

こうなった時には、すでに、不登校になり、学校には行かず、家の自分の部屋で過ごす時間がほとんどになってしまっています。


この辺りから、ご家族への罵声が飛び始める頃なのです。

そして、自分の部屋で暴れることが増えていく子どももいます。


これが中学受験で子ども達に圧力をかけてしまった結果であり、ご家族が味わう辛い時間になってしまうのです。

中学受験した子ども達が必ずこうなるのではありませんが、こうなっていく子どもが毎年、必ずいるのです。


こういう話を、本当にたくさん聞いてきましたし、こうなった子ども達とたくさん出会ってきました。

不登校の子ども達のためのフリースクールと、進学塾の両方の現場にいたからこそわかる、中学受験の最も負の部分なのです。

この状況から改善して、お子さんが元気になるには、かなりの時間がかかるのです。


顔の表情が無くしてしまい、能面みたいな顔になっている場合、出会うまでにかかったのと同じ時間、最低でもかかることになります。5年なら少なくとも出会ってから5年、下手をすると倍の10年かかることも普通です。


こういう子ども達と接してきて、心の痛み、心の傷の深さを痛いほど感じて、共に遊び、寄り添い、元気になっていってはくれるのですが、ご家族との距離は埋まらないままになってしまうことも多々ありました。


エネルギーが外側に向いているか、内側に向いているかの違いはあっても、心の傷、苦しさは全く同じです。


合格して、学校生活を満喫して、幸せいっぱいの子どももいる反面、こうやって、思春期の一番楽しいと大人が感じる時間を、地獄のような生活を送らなければならなく子どもが、間違いなく毎年かなりの数いるのです。


これは極端な例ではないのです。
以前にお話したTくんは8年間、苦しみ続けたのです。

これが現実なのです。
こういうことが起こっているのです。


中学受験の大手進学塾の先生方も、ご家族も、中学受験後に苦しむ子ども達の人生を辛いものにしてしまった責任をとれますか?

それでも、子どもの失敗は「親の失敗」として、無理にでも勉強をさせ続けますか?



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Keisuke Tani
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