不登校と中学受験(13)
なぜ、その塾なのですか?
私立中学の学校選びの時に、「なぜその学校を選んだのですか?」と聞かれたら、何とお答えになりますか?
この質問の答えに「大学合格実績」以外に何がありましたか?
この問いへの答えが実績以外のものが多ければ多いほど、しっかりとした学校選びをされたと思います。
特に、お子さんが大学合格実績以外の条件を、たくさん喜んで選んだのなら素晴らしいです。
さて、塾選びも同じようにされましたか?
塾は合格させることが仕事だから、合格実績だけで選んでいませんか?
ここまでお話してきて、お読みいただいている方の中には、すでにお気づきの方もいらっしゃると思います。
子ども達が合格後に不登校になったり、成績が悪くやる気を無くしたり、勉強を一切しなくなったりするのは、ほとんどの場合、この塾での学習活動の結果だと言っていいと思います。
だからこそ、学校選び以上に「塾選び」を間違った時に、せっかく第一志望校に合格しても、その後、ものすごく辛いことが待っていることがあり得るのです。
脅しているわけでも、何でもありません。
塾・予備校で教えて38年、不登校生と共に学んで33年になります。
不登校生の中で、心の闇が深かったのは、中学受験のことが大きいのです。
もちろん、学校の中、外、関係なくいじめもあります。
人間関係の問題もあります。
学校に合わないということもあります。
感受性が強いが故に、周りと合わないということもあります。
いろいろな不登校の原因がありますし、一つだけということはありません。
その中でも、中学受験は、子ども達の心に大きな傷跡を残していることが、とても多いのです。
なぜなら、「自分が受けたかった」と当時は思っていても、ほとんどの場合「本当は僕は受けても受けなくてもよかった」のです。
じゃあ、なぜ中学受験したのか、という問いには「お父さん、お母さんが受けたら?」というのが一番多いのです。
子どもの言い訳でも、他人のせいにしているわけでも、ありません。
純粋に、子供心にお父さん、お母さんが言ってくれるから、頑張ってみよう!と思って、頑張るのです。
だから、お父様、お母様は「なぜ、中学受験をさせるのですか?」ということを、
「良い難しい大学に行き、大きな企業に入るか、医者などになれば、安定して豊かな生活が送れる」
という思いもわかりますが、それと同時に、
「お子さんにどういう環境で、どういう教育を受けさせてあげたいのか。そこで、どのように成長させてあげたいのか。」
ということも十分にお考えいただき、学校選びをして欲しいと思うのです。
それと同じくらい、慎重に「塾選び」を考えて欲しいと思います。
灘中や開成中に数多く合格させているところが良いと思われるのは、なぜですか?
その塾には「合格実績」以外には、どんな良さがあるのですか?
お子さんが勉強に行き詰まり、成績に悩んだ時に、どういうフォローをしてもらえますか?
講師の先生は、本当にお子さんに寄り添いながら、成績を伸ばすために、お子さんのことを本当に理解してくれていますか?
クラスが変わっても、お子さんの性格、苦手内容、得意分野などが、全て次のクラスの先生に引き継がれていますか?
お子さんにあった宿題の量、レベルが配慮されていますか?
お子さんの悩みやご家族の悩み、心配事をしっかりと聞いてくれますか?
全ての講座とカリキュラムは、ちゃんと考えて、全てが連動し一つにまとめ上げられるよう設定されていますか?
これらは、能力別クラス編成、集団指導であっても、全て塾側で可能なことばかりなのです。
これができないと言っているのは、塾側がやりたくない、面倒だからなのです。やりたくないだけなのです。
これらのことをやってくれる塾選びをされていれば、子ども達は必ず伸びていきますし、勉強を嫌がるようなことはないのです。
そんな塾選びができていますか?
一度、ゆっくりと考えていただきたいと思います。
谷 圭祐
進学塾TMC池田 講師(算数・数学・理科担当)
パーソナルアカデミー カウンセラー、講師
谷圭祐事務所