見出し画像

新たなタイプの不登校(4)

お母さんの子育ての辛かったこともお聞きして

全くルールやマナーが身についていない子ども達が最近、増えているのではないかということをお伝えしています。

どうやら、こういう子ども達は「愛着障害」のある子ども達ではないかと考えているとお伝えしました。

この愛着がうまく形成されていないと、

・心理的な安心感を得られない
・人間を信頼できない
・コミュニケーション能力が育たない

ようなことが起こります。

こう考えると、ものすごく納得のいく部分があるように思います。


今から10年くらい前に、このような不登校の子どもと出会いました。

最初は、では、発達障害のある子どもかと思って見ていました。

途中からは、精神科領域の神経症かと思ったのですが、こちらの話は通じている、顔は向けないが聞いてはいるところもある。

でも、こちらの思いはあまり理解をしていないし、周りの人の思いも理解をしていないようなので、やっぱり発達障害があるのかなと思って見ていました。

そこで、この子どもともう少しかかわってみると、次のようなことがわかってきました。

・いつも落ち着きなくじっとしていられない
・こちらがどう思っているかも関心を示さない
・目も合わさない
・話も聞かない
・自分のやりたいことをやっている
・すぐ自分の世界に入ってしまう
・ときどきどうせ僕なんかいてもしかたないやろ、と言う
・突然、話しかけてきて何分でも話し続ける
・話しかけに行くと知らん顔をするし、反応しない

話してみると、このような状態だったのです。

これにはかなり参りました。

ベースに発達障害があったのかもしれませんが、発達検査もどうやっても受けに行ってくれませんでしたから、実際のところはわかりませんでした。

この子どもは、小学校の同級生や先生方とうまくいかないことが続き、学校にはなじめず、中学1年生になった最初の4月から学校に行かなくなってしまったとのことでした。


正直に、私も戸惑いましたし、どうしていいかわかりませんでした。

そこで、この子どものお母様に、成育歴を細かくお聞きすることにしました。

そこからわかってきたことがいくつかあったのです。

まず、お母様が、この子どもが半年くらいから、かなり育児について、辛い思いを抱えていらっしゃったことです。

お父様と言う人が、全く協力的でなく、お母様が体調が悪くてもご飯を作れ、あれをしろこれをしろと言う方だったようです。

この間、2歳くらいまでは産休・育休を使ってお母様は子育てに専念されていたのですが、2歳から職場に復帰されたとのことでした。

職場復帰はしたのですが、かえって仕事と子育てが忙しく、お母様自身、精神的にかなり辛い状況が、この子どもが2歳から3歳くらいまでの間、続いたとのことでした。

もちろん、良いときもあり、その時は少しホッとすることもできたようなのですが、3歳くらいまでは、辛いことの方が大きかったとのことです。

お父様がお仕事の部署を変わることになり、少し落ち着かれて少し協力的になったようなのですが、お母様が少し鬱っぽくなり、子どもとに関わりたくないと思った時期があったとのことでした。

私は、これを聞いて、はじめて、愛着障害があるかもと、思うようになったのでした。


それからは、少し子どもの様子に疑問があると思う時には、お母様とできるだけお話して、お子さんの成育歴もお聞きするようにしてきたのです。

そうすることで、出来るだけ早く、愛着障害や発達障害がある可能性も考え、子ども達との接し方の参考にさせてもらうようにしました。

そのことで、この子どももかなり落ち着きを取り戻し、すこしずつコミュニケーションもとれるようになっていったのです。

いいなと思ったら応援しよう!

Keisuke Tani
よろしければ、ぜひサポートをお願いしたいと思います。

この記事が参加している募集