不登校と中学受験(25)
受験を特別なものにしているのは親
昨年の9月の小学生の算数の授業での出来事です。
私の教えているクラスは、数人だけの受験もしないクラスです。
でも、やっている内容は中学入試問題です。
宿題のわからなかったところをどう考えたらいいのか、子ども達と一緒に考えたところで、少し子ども達と次の準備をしてもらいながら雑談をしていました。
その時、ある子どもが、「お母さんが、最近、ちょっと一息ついていると、いつまでぼーっとしているの?早く勉強しなさい!って最近うるさいねん!」と思い切り文句を言うともなく言い出したのです。
それと同調するように、「同じく、同じく!」と他の子どもも言い出したのです。
その時、私が「お母さんに言い返した?」って聞いたら最初の子どもが言い返したと言うので、ここぞとばかりに、私が「黙れ喋んなババア、うるさいんじゃ!って言ったやろ?」って聞いたら、「そんな言い方はしてない!」と言いながら、それに近いことは言ったそうなのです。
中学受験することもない子ども達ですら、こうなのです。
この子ども達は、「受験する子ども達が偉そうだから、負けたくないねん!」と言って通ってるのです。
だから、お気楽なはずなのです。
でも、ご家族は違うのです。
受験がなくても、ここまで子ども達が言うくらいの圧力を無意識にかけているのです。
だから、お母様には、
役割分担しましょう!
お母様が悪者になると家の中がギスギスします。
子ども達の心の状態が悪くなるので、勉強しろ!は塾で言います。
ですから、勉強していなかったら、塾にご連絡ください。
塾の方で、勉強したくて来ているなら、ちゃんと勉強しようよ!と言います。
お母様は子ども達が勉強してようと、してなかろうと任せてあげてください。
疑問点があれば、全部、塾の授業担当者に聞いてください。
とお伝えしました。
お母様が勉強について、子ども達に言うことはやめていただいたのです。
それをお父様にも共有してもらうことを大前提にして。
1ヶ月くらいは子ども達から、勉強しろ!と言われていないか確認を続けました。
そうすると1ヶ月くらいでほぼ無くなったのです。
ご家族からもヒアリングを続けていると、子ども達が自分で勉強するようになったそうなのです。
それと、他の変化もありました。
学校でのことや塾でのことを、今までほとんど話さなかったのが、お母さんにいっぱい話すようになったとか、女の子はお母さんにお料理を教えてもらって一緒に作ったとか、生活の中での触れ合う時間が増えたというのです。
ところが、子ども達の勉強時間は圧倒的に増えているのです。
子ども達からもご家族からも、それをお聞きしたのです。
不思議ですね。
やりたくなれば子ども達ってやるのです。
子ども達の中で、勉強が特別なものになっていると辛いのだと思います。
それ以外の評価はなく、勉強ができなければ、全てを否定されてしまう。
子ども達はとても純粋ですから、ご家族の期待に応えたいと思うのです。
だから本当に一生懸命にやろうとするのです。
でも、勉強以外を認めてもらえないと、あまりにも辛いのです。
家の中で勉強が特別なものでなくなった時点で、子ども達は伸び伸びと家の中でし始めます。
そうすると、ご家族との会話が増え、家が確実に安全・安心の場と実感できるようになり、心が落ち着くのです。
親の期待に応える形で勉強するのではなく、自分がやりたくてやるのです。
その時に、子ども達はイキイキと勉強をするようになるのです。
ここで一気に伸びてくるのです。
今年の小6生達はここからものすごく伸びました。
これには私もびっくりしました。今まで算数をものすごく苦手にしていた男の子2人が、一番算数が得意っていうくらいにできるようになったのです。
2人とも算数の授業では、あまり嬉しそうな顔をしていなかったのですが、今では自信を持って受けてくれています。
受験しない子ども達ですら、そうなのです。
中学受験する、しかも難関中学を目指すような子ども達のプレッシャーは相当なものだと思います。
受験だけを考えさせ、成績だけで判断される日常が、どれほど子ども達にとって苦しいものかは、子ども達も気がついていないです。
そんな心の余裕のない状態で受験すると、不合格になっ時に「失敗だ」「もうおしまいだ」となるのです。
心は余裕もなくギリギリに追い詰められた状態なのですから当然です。
本当にものすごくできる子ども達は、結構遊んでいます。
受験を特別なものに考えていないのです。
その余裕を失った時に、子ども達の辛い現実が見えてくるように思います。
中学受験を、決して特別なものにしない。
あくまで経験でしかないのです。
たかが中学受験なのです。
受験を特別なものにして、子ども達に過度の期待を背負わせることは、子ども達の心を追い詰めていくことだと、私は思っています。
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