曇り空、ぼんやりとパンと僕
おはようございます。
今日も食日記読みに来てくださり、ありがとうございます。
台風が来たとか、梅雨が始まったとか、ともかく雨・曇り空覚悟の1ヶ月が始まったとのこと。
ほんと見事に6月が始まったと同時に来ました、という感じ。
そんな曇り空、気持ち良い朝の始まりをエッセイに書いてみました。
今日の食日記
曇り空のコーヒーとパンは格別に美味しい。
そう感じるのは今に始まった事じゃない。
朝起きて雨音がしたり、太陽の日差しを感じなかったり、どこか肌寒かったり。
よく眠れたー!となる時は、大抵晴れの日が多くって。
雨空・曇り空の日は低気圧のせいか、それとも今日は休もうよと疲れた心情があまりにも曇り空とリンクし過ぎてしまっているからか、どちらかは分からないが体が重たい。
ぼんやりと一日が始まり、時間の流れが遅いけれど心なしか自分自身が一番遅れをとっていると感じる。
無理はしたくないのに、晴れの日のように動けるとさえ思ってしまっている自分は、きっと気を張り過ぎている。頑張り過ぎている。
どう考えたって今日は曇り空なんだから。
そんな日がやってきたことに気づかなければならない。
天気に左右されるのなら、抗えないのなら、風になろうじゃないか。
大人と呼ばれる年齢になって、ようやくそれができるようになってきた。
曇り空の日こそ自分のペースで。
そして、その日最高の行いをしよう。
そう、曇り空、ぼんやりとパンと僕。
その風景をしっかりと肯定すると、心は晴れ男にだってなれるかも。
今日のお店
東京日本橋、大切な朝ごはんの場所、PARKLET BAKERYに朝から向かった。
公園に隣接するあの特別なカフェが忘れられない。
曇り空の朝。
今日も相変わらず眠たい。そんな素敵なタイミング、PARKLET BAKERYの仕業としか思えない。
ぼんやりとした空気、湿気混じりの何とも気持ち悪い朝。
朝サッパリするには少しストレスがかかってしまう。
今日はパンと僕が出会う日。
それが最も今日を自分らしくいる術なのだから。
相変わらず混んでいた。
私的一人で来るべき東京カフェの上位に食い込む。
混んでいることが理由じゃない。
一人であの薄暗いベーカリーカフェに溶け込むには会話はいらないのだ。
曇り空、土曜日の朝、公園に人は少なかったが、どこもかしこも工事が終わらないのが東京の街であろうか。
一人公園と向き合うように腰をかけた。
注文したパンと珈琲を待っているだけで、眠気が襲ってくる。
なんて気持ちが良いのだ。
助手席に乗ると途端に爆睡に陥るそれの気持ちよさと酷似していて安心感さえ抱いてしまう。
人々がごった返す店内は、会話の嵐でうるさすぎる。
だが、曇り空とのバランスがちょうど良い。
きっと朝一番の僕はどこまでも広がる重たい空と空気に自分を重ね過ぎていたのだろう。
きっと一人静かな店内ならば、マンホールに落っこちてしまったかのように、ひどい孤独感と今にも崩れそうなメンタルになっていたことだろう。
だから、周囲がうるさいくらいがちょうど良いのだ。
そんなことをぼんやりと考える20分くらいは、我に帰らず、ホット珈琲が届くとともに起き上がった。
啜ればずずずっと喉から胃袋までゆったりと流れていくのを感じる。
あったかい。
程なくしてピーナッツバタートーストがやってきた。
しっかりどっしりと塗りたくられたピーナツペーストは、一見コッテリ重たそうだ。
がしかし、あくまでも素材がしっかりのピーナッツバターこっくりと素朴な味わいは軽いサワーダウのパンに見事に溶け込む。
区別なく調和した食べ心地に、食べ慣れた安心感さえあるのだ。
素朴な素材を受け止めるシンプルで旨みの強いカントリーブレッドがきちんと共存している。
どちらも負けていなくて、違う物語が共存しているよう。
このハチミツの穏やかな甘さと、きりっとまとめる粒の粗い塩の結晶が見事にまとめ上げているのだろう。
ぼんやりと進む時間はやっぱり、ゆっくりだった。
そして咀嚼もゆっくりと、いつになくパンが美味しい。旨みが生きている。
止まっているようで確かに動くこの時間は、愛おしさそのもの。
自分にちょうど良い温度となって寸分のずれもなくそこに僕がいた。
きっと曇り空にパンの日の記憶が、こうやって積み重ねられてきたのだろう。
僕は一番パンが美味しいを知ってしまっているのだ。
美味しいひとときに、ごちそうさまでした。
では、また次回。
今日のお店:PARKLET BAKERY(東京都中央区日本橋小舟町14−7ソイル日本橋1階)
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