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「よろしくお願いいたします」の危険性

ビジネス上の会話であれば、電話に限らずメールでも、最後に「よろしくお願いいたします」と添える人は多いと思う。


よろしくお願いいたします≠最後に添える言葉

たしかに最後に「よろしくお願いいたします。」と言うことは多い。
しかしそれは、どんな状況でも同じことをしていればよいということには決してならない。

ネット通販の窓口にかかってきた設定で次の会話を見てほしい。

客:この商品の色違いはありますか?
対応者:申し訳ございませんが、売り切れました。
    よろしくお願いいたします。

9割の客は何の文句も言わずに電話を切るだろう。
しかし、それは対応に満足して切るわけではなく、文句を言っても仕方がないから切っているだけだ。虫の居所が悪かったり、どうしても色違いが欲しかった客にしてみたら、カチンと来ること間違いなしである。

「何を」よろしくお願いするのか

中には突然キレだす客もいるだろうが、対応者にしてみたら、何を怒っているのか分からない。笑顔もバッチリ、「申し訳ございません」と低姿勢な態度も表明したのに突然客が怒り出す。中にはやっかいな客に当たったと不運を恨む人もいるかもしれないが、そうではない。

キレる客の前に、何人もの客の声から笑顔が消えたり、ちょっと唖然とした態度の表明があったはずだ。それを見逃していたにすぎない。

希望する色があり、発注を受けた後の「よろしくお願いいたします」や、ビジネスメールの最後に付けられる汎用的な「よろしくお願いいたします」は「これからも良好な関係を続けていきましょうね」という意味を込めている。

それでは翻って例の場合はどうだろう。

客の期待は裏切っておいて「これからも良好な関係を続けていきましょう」と言われて「そうですね」と笑えるわけがない。

このような場合には、「何を」よろしくお願いしたいのかを明確に伝えなければならない。今回の場合であれば、以下の言い方も一つだろう。

客:この商品の色違いはありますか?

対応者:申し訳ございませんが、売り切れました。
  特別セールでかなりお安くしている商品でございますので、
  売り切れ次第終了いたします。
  もしこちらでもよろしければ、ぜひお早めにご検討くださいますよう、
  よろしくお願いいたします。

それでは、また。

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のどか
世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。