ウェイクの組織化理論③
これまで
ウェイクが提唱する「組織化」の定義について、
ウェイクの組織化理論②
で深めてきた。(未だ読んでいない人は是非参照してほしい)
「組織化」とは行為者に理解できる社会的過程を形成するために、いかに種々の相互連結行動を組み立てるかに関する文法のようなものである。
と定義し直すことができた。
今回テーマ:文法
今回のテーマは「文法」について。
組織化理論の中心的概念を、先の記事に挙げた4つの過程に分けて解説していこう。
①生態学的変化
人は通常、変化が生じた時に注意が呼び起こされる。その変化や違いは多義性を削減する機会を提供するものである。
生態学的変化とは、
意味形成の素材、いわばイナクトしうる環境を提供するもの
である。
②イナクトメント
経験の流れの中に違いが生じるとき、より深い注意を払うために経験の一部の流れを囲い込み、変化を隔離するような行為。何らかの事象の変化を認識して組織の新たな環境を創り出す行為のこと。
例えば、パーティーに見知らぬ女性が来た時に、周囲の人々がその女性の存在に気づいたとする。この「気づく」という行為は、「パーティーに女性が来た」という変化を認識し、それが「自分たちとは違う」と囲い込むことである。ゆえに、イナクトメントと言える。
イナクトメントは、
人々の行為が状況を形成するという観点から、まさに自らの環境を能動的に生み出していくプロセスであるとも言える。
イナクトメントは自然淘汰における変異にあたるものである。
③淘汰
淘汰過程は、
イナクトメントによって囲い込まれた多義的な事柄を対象として、その多義性を削減するために様々な構造、解釈をあてがうことである。
④保持
淘汰でかなり多義性が排除された情報がインプットされること
ウェイクの組織化理論まとめ
ウェイクは組織を静的なものと捉えるのではなく、動的な視点から捉えて、変化するものとして組織を認識している。
組織化とは、種々の事象について人々が持つ多義的な解釈を相互作用を通じて収斂していくプロセスである
という考え方に基づいている。
そして、そのプロセスは進化論の中の、「自然淘汰」に依拠している点が独特である。
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