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小宮コンサルタンツのコンサルタントによる経営のお役に立つコラムです
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記事一覧

東条英機の人生から学ぶこと

先週、『東條英機 「独裁者」を演じた男』(一ノ瀬俊也著、文春新書)を読みました。本書は、太平洋戦争開戦時の首相であり、敗戦後の東京裁判でA級戦犯として裁かれ、絞首刑となった東条英機の生涯を振り返る一冊です。   「日本を破滅の淵に追い込んだ首相」として、東条英機はともするとタブー視されがちな存在です。しかし、その人生を詳しく見ていくと、現代の私たちも陥りかねない失敗をした人物として、多くの教訓を得ることができるのではないでしょうか。   東条英機と聞くと、「日米の国力差を無視

ワクワクを生むつもりが、なぜドキドキ? 成功と失敗を学びに変える視点

「ワクワクなんてしませんよ、ドキドキしかないです」 ある会社の課題は「ワクワクする職場をつくる」ことです。まじめな社員からなる中堅の建設業の会社です。ルーチンになっていることはコツコツとこなします。安全、確実が求められる現場において、大事な行動特性です。 しかし、ものごとには作用・反作用があります。裏を返せば、変化に弱く、自分で考えて打開する習慣がないともいえます。難しい状況にあってもやり方を変えようとせずに、とにかく黙々とやる。時々、仕事の目的が見えなくてなって、精神的

「時間を守る」は信用獲得の基本

先日、徳島へ出張した際の出来事です。朝7時発のフライトに搭乗したのですが、実際の出発は15分遅れとなり、到着も同様に遅れました。   遅延の原因として考えられるのは、搭乗時間になっても一部の乗客が揃わなかったことです。機内放送で何度も3名ほどの名前が呼び出されていたため、何らかの理由で遅刻し、搭乗時間に間に合わなかったのでしょう。   たった15分の遅れとはいえ、航空会社にとっては過密な運行スケジュールの中で大きな影響を与えます。また、乗客の中には、商談や会議に間に合わなかっ

大人向け職業体験の例を考える

1月27日の日経新聞で、「悩める大人に職業ツアー 「仕事観」新た、情熱取り戻す」というタイトルの記事が掲載されました。従来は子ども向けの概念だった職業体験を、大人向けに提供するサービスが出てきたことを取り上げた内容です。 同記事の一部を抜粋してみます。 私もキャリアコンサルタントとしてキャリアコンサルティングにかかわる機会があります。そうした場面では、別の仕事や別の会社という選択肢について話題になることもあるわけですが、その場でそれらを直接体験できるわけではないため、考え

「自分の課題」を行動目標にし、できたことにフォーカスする(2)

前回は、仲間数人とともに取り組んでいる週次の振り返り会をテーマにしました。 ・行動目標は、自分でコントロールできる自分の課題に集中する ・できたことにフォーカスする ・その結果、建設的な振り返りを行い、次の行動促進につなげる ・これらを1人ではなかなかやらないので、他者と一緒にやる といったことについて考えました。 先日から、チョコザップを始めています。 月額3,278円(税込・今日現在)で1人でも気兼ねなく24時間365日通えるジムで、コンビニジムと言われています。

司馬遼太郎記念館訪問から1年

本日の一年前は司馬遼太郎先生の旧宅にある司馬遼太郎記念館にお伺いした日でした。本日は司馬遼太郎先生の命日でもあります。 司馬遼太郎記念館は先生の人柄、知性を感じられる空間でした。またお伺いしたいです。

「自分の課題」を行動目標にし、できたことにフォーカスする

仲間数人とともに週1回早朝に集まり、一週間の振り返り会を行っています。仕事や仕事外、個人的なことも含めて一週間の活動目標と結果について各人が振り返り、相互にフォードバックを与えあうものです。 私は、一週間の行動目標に対して、できたことを○、できなかったことを×のようにして、できた度合いで○・△・×のように振り返っていました。やり方も人それぞれで、充実度合いを%で表現して振り返る方もいます。 メンバーの中に、起業家のAさんがいます。Aさんは、そうした定量的な尺度の書き方はせ

中小企業の健康経営の取り組み

2月5日の日経新聞で、「〈小さくても勝てる〉健康サポートで人材定着 検診費用負担 復帰後の業務を柔軟に 中小、優先課題絞り実施」というタイトルの記事が掲載されました。社員の健康支援に取り組む企業が増えていることを取り上げた内容です。 同記事を抜粋してみます。 経済産業省のサイトには、健康経営について次のように説明されています。(一部抜粋) 日本再興戦略や未来投資戦略は、当時の内閣で閣議決定された成長戦略です。 就業環境の整備や労務管理、法定の定期健診などの枠を超えて、

孔子の人生を踏まえて『論語』を読む

先週、中国古代史を題材とする小説家・宮城谷昌光さんの『孔丘』(文春文庫)を読み終えました。上下巻にわたる作品でしたが、大変読みやすく、興味深い内容でした。本書は、『史記』などの史料をもとに、孔丘、つまり孔子の人生を創作した歴史小説です。   読んでいて特に印象的だったのは、『論語』の教えが確かに示唆に富んでいる一方で、孔子自身の人生を理解しながら読むことで、その言葉の重みや背景への理解がより深まるのではないか、という点です。   『史記』などから伝わる孔子の人生は、決して順風

生産性は上がった。でも、組織の力は?

「生産性は上がったんですが、副作用がありまして…」 ある管理職の方々との振返りの対話の中で出てきた言葉です。 建設・土木業の同社の課題は、生産性を高めること。より具体的には残業の削減です。これには、具体的な成果が出てきています。これまで現場が終わってから書類作成に帰社していたのですが、リモートで作業できるようにしました。現場への直行・直帰が可能になり、残業が減りました。 効率が上がって喜んでいたのですが、最近になって新たな問題が出てきたといいます。それは、「助けあうことが

「意識して取り組む」は思考停止ワード

企業の皆さまから、目指す姿を実現するための実行計画を作成いただく機会があります。その中でよく見かけるのが、「意識して取り組む」という言葉を末尾に含んだ文章です。   例えば、次のような表現です。 「お客様のニーズの背景にあることを把握するように”意識して取り組む”」 「お客様のニーズに沿った商品・サービスを提供できるように”意識して取り組む”」 「部下の声をくみ取れるように”意識して取り組む”」 正直、このように書かれていても、具体的に何を実行すればよいのかが分かりません。こ

「一物一価」から「一物多価」への動き

2月1日の日経新聞で、「スタバが立地別価格 東京23区や空港など3割で値上げ」というタイトルの記事が掲載されました。 スターバックスコーヒージャパンが2月15日から立地に応じて提供メニューの価格を変えると発表しました。空港内の店や東京23区の全店など全国の約3割に相当する600店前後が対象となり、コーヒーなどの価格を4〜6%上げるそうです。同発表内容を取り上げた記事です。 同記事の一部を抜粋してみます。 同記事からは、今後いろいろな商品・サービスで価格設定の多様化がさら

落ちこむことができる力

2月1日の日経新聞で、「こころの健康学 気分が落ち込んだ時」というタイトルの記事が掲載されました。気分の落ち込みはだれでも経験することですが、落ち込みに対してどのように向き合うとよいかについて、認知行動療法の専門家による示唆が紹介されている内容です。 同記事の抜粋です。 「落ちこむことができる力」というのは、聞き慣れない言葉、概念だと思います。ひとつの能力要素だというわけです。 たしかに、何があっても落ち込まないという状態の自分があるとするならば、それは、 ・落ち込む

「PdCa」になっていないか

2月1日の日経新聞で、「「失敗の本質」野中氏の遺産」というタイトルの記事が掲載されました。 先日お亡くなりになった一橋大学の野中郁次郎名誉教授の遺した資産は、とてつもなく大きいものです。限られた紙面でその全容を認識するには無理もあります。そのうえで同記事は、野中氏による示唆の中から、ビジネスパーソンが特に受け取るべきポイントが概観できるよう、うまく要約されている内容ではないかと感じます。 同記事の一部を抜粋してみます。 実際に、組織活動が「PdCa」になってしまっている