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熊野古道伊勢路を歩くday7#2

Google MAPで紀伊長島の地図を見ると、山の等高線のように町中にも線が見える。もちろん本物の等高線ではなく、魚町を作る道が綺麗に並んでいるのだ。

この魚町とは、元々海と山に囲まれたわずかな土地に、熊野古道に沿って埋め立てを繰り返されてできた街なのだ。幾年もの間に埋め立てを繰り返すうちに、年輪の様に広がる三重の道が街の造形となっているのだ。
今回、僕は1番山に近い。そう、古い道を選んで進んだのだ。

古いといっても、今は趣のある家が並び、日曜日の朝の街を気持ちよく歩く事ができる。途中久しぶりに見た道標には、熊野まで94kmと記してある。まだまだ道半ばだが、この辺りから雰囲気がガラッと変わるように感じた。


レトロな街灯に照らされる狭い道は、その時代に応じて人の往来が繰り返されたのだろう。

道の右手。山方向には多くの神社も点在している。佛光寺の前には、魚町のたまり場と呼ばれる集いの場所もある、流石に今の時代や今の時間に集まり井戸端会議をしている人は見当たらなかった。

しばらく進むと右手方向に曲がるる辻に出くわす。
熊野古道は右手に進むが、まっすぐ行くと江ノ浦と呼ばれる湾へと進む。

本来の道筋とは違うが、釣り好きの僕は、寄り道がてら海辺の道を選んで進むことにした。

江ノ浦の入り口は狭く、ちょっとした運河のようにも感じるが、その入り口に珍しい物を見つけた。
それは橋だ。

橋自体はさほど珍しくもないが、この江ノ浦に掛かる橋は、日本でも数少ない、昇降式の可動橋なのだ。
船の往来に合わせて、橋の欄干が上下へに稼働する橋なのだ。


あいにく、僕が居合わせたときは稼働していなかったが、今でも実用されているとのことだ。
また、この端から海側には江ノ浦大橋と呼ばれるこれまた珍しいループ橋もある。
このエリアは、橋好きな人にはたまらないエリアなのだろう。


港の道を国道42号線へ向かい熊野古道に合流すると、太平洋岸自転車道の看板が目立つように立っている。帰宅後調べてみたら、千葉県銚子市から和歌山県加太海岸まで結ぶ1200kmに及ぶ壮大なサイクリングロードなのだ。


あまりものスケールの大きさにど肝を抜かれた。

海沿いの道をしばらく進むと、大きな造船場が見える。
景観の良いエリアに突如現れる鉄の塊に、近未来感の興奮を覚えた。
不思議と頭の中で、T・レックスの「20センチュリーボーイ」が自然と流れはじめた。ロックなリズムを脳内再生しノリノリで海辺から山道へと向かえそうだった。

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