ポメラ日記103日目 2025年に書きたい、読みたい10のこと【読む編】
「2025年度のもの書きけいかく」を作りました。今回は、後編の「読む」編です。
前編では、「書きたいこと・暮らし」に関する目標を4つ立てました。
残りの6つは「読みたい本のタイトル」を挙げていきます。
⑤マルセル・プルーストの「失われた時を求めて スワン家の方へⅠ」を読む
昨年末に阪神百貨店梅田本店の8F催事場でやっている「阪神歳末古書ノ市」に足を運びました。
そこでプルーストの「失われた時を求めて スワン家の方へⅠ」と、トルーマン・カポーティの「真夏の航海」の2冊を買って帰りました。
この本は、お世話になっていた古本屋の店主さんがおすすめしてくださった本です。
プルーストの「失われた時を求めて」はあまりに長大な物語で、僕の頭ではついていくのも難しいだろうな、という先入観があり、これまで読むのをためらっていました。
全編を通して読むとなると、たぶん向こう数年は、プルースト一本になるんじゃないか、他の本と並行しながら読み進めることができるか、ちょっと不安だったというのもあります。
催事場の平台に置かれていた鈴木道彦さんの完訳版の文庫がどうしても目に入って、その文庫本を手に持ったとき、この一冊だけなら読み切ることができるんじゃないか、と思いました。
つまり、あとに何冊も続いていく後続の刊のことはまったく考えないで、ただ「失われた時を求めて スワン家の方へ」の第一編の一冊だけを、一年くらいかけて読むことに徹する、ということです。
これだけ長い話となると、どうしても他の本と並行しながら読み進めることになりますが、鞄のなかに忍ばせて、街中の移動中にちびちびと、あるいは寝る前にこっそりと味わうように読んでいけたらと思っています。
買ったのは古本で、前の持ち主の方が赤線を引いていました。普段なら線を引いてある箇所に違和感を覚えたりするものですが、何となく、かなり的確なところに線が引かれてあるように感じて、それもちょっと不思議でした。
⑥トルーマン・カポーティ「真夏の航海」を読む
カポーティの作品は見かけたらなるべく買うようにしています。講談社文庫から出ている「真夏の航海」は持っていませんでした。
どういうわけか、安西水丸さんが訳した「真夏の航海」は見かける機会がなく、その本の存在自体は知っていたのですが、たまたま平台に差してあったのを見つけたので購入に至りました。
いま思うと、安西さんが訳した翻訳本ってちょっと貴重なのでは。
安西水丸さんはイラストレーターの方で、村上春樹さんのエッセイの表紙や挿絵などを手がけていることでも有名です。
カバー表紙のラフな印象の装画に味があって、これは「ジャケ買い」したくなる本ですね。
ちなみに「真夏の航海」は幻の処女作と言われていて、有名な「ミリアム(1945)」よりも前に書かれたもののようです。
いまではカポーティの初期短編集「ここから世界が始まる」も翻訳されていて、習作も明らかになっていますが、ある程度の小説の長さがあるのは、「真夏の航海」が最初なのかなと。
この辺りのことをもう少し調べきってから、文学ブログ「もの書き暮らし」で記事を書きたいと思います。
⑦永井均「翔太と猫のインサイトの夏休み」を読む
この本も、古本屋さんの店主さんが教えてくださった本で、これを目当てに「阪神歳末古書ノ市」へ行ったのですが、どうやら売り切れてしまっていたようでした。
後日、知り合いと紀伊國屋書店へ行く機会があり、ちくま学芸文庫の棚から一冊引き抜いてきました。
知り合いは、その本を見るなり「モトさんだ!」と驚いていて、どうやら永井均さんの哲学本は知らなかったようなのですが、装画を手がけた本秀康さんのことは知っていて、まだ何も読んでいないのに、何となく先を越された感がしました。
それはともかく、哲学をするときの考え方は、もしかすると小説の書き方や視点の問題を考えるときのヒントにならないかな、と思って手に取ってみました。
たぶん既存の小説の書き方を疑うところからはじめなくてはならないよ、それも本に書いてあるような考えをそっくりそのまま真似するんじゃなくて、自分の頭で考え抜くちからが必要で、それを養った方がいい、というメッセージなのかなと勝手に思っています。
僕は頭が堅い、というか、頭でっかちなところがあるので、そういうところを永井さんの本を読んで、少しでもほぐすことができればと思います。
⑧立原道造詩集「僕はひとりで 夜がひろがる」を読む
年末に地元に帰る機会があったので、近所の商店街の古本屋に立ち寄りました。
一冊だけ、どうも他の本とは明らかに違う装丁の本があり、それが立原道造の詩集「僕はひとりで 夜がひろがる」です。
装画は魚喃キリコさんが手がけていて、出版はPARCO出版(あのPARCOのグループ企業のようです)でした。
昔の和本のような綴じ方(?)や、薄紙のヤケ具合に味があり、詩の内容にもちょっと惹かれるものがあったので迷わず購入しました。
立原道造は、二十四歳で惜しまれつつ亡くなった詩人であり、建築家でした。第一回の中原中也賞の受賞者でもあります。
実はもう先週に読み終わった本なのですが、何度も読み返したいと思ったのでリストに入れています。
寝静まったアパートの夜更けにひとりで机に向かって読むとき、寂しい、と、寂しくもない、その隙間から吹く風の音にそっと耳を傾けているような。
詩を読む、というよりも、どうもこの人は歌っている感じがするんですね。
⑨純文学で気になる単行本を見つけて読む
SNSのフォロワーさんが、松永K三蔵さんの「バリ山行」をおすすめされていました。
こう書かれているのを見ると、読みたくなってしまったので、書店に探しに行こうと思っています(近所の書店では人気があって既に売り切れているためか、置いていなかった)。
去年は井戸川射子さんの「ここはとても速い川」を読んで、見たことのない書き方や言葉遣いがあって、べつの新しい作品を読んでみたいと思っていました。
僕は日本の近現代の小説にあまり触れてこなかったところがあるので、気になる本があったら何冊か仕入れておきたいなと。
ただ読み終えた作品のレビューをネット上に挙げていいものか、悩むことがあります。
僕みたいなまだちゃんとした小説をひとつも書けていないただの素人が、プロの作品について何かを言ったり、判断したりするのは、ちょっとおこがましい感じもするので、レビューではなく、読了ツイートと簡単な感想に留めます。
⑩CanvaやWordPressの編集に関する本を読む
最後は、ちょっと仕事に関係する本を読みたいなと。
これまでライティングの記事制作を中心にやってきたのですが、サイト制作も少し手を出すようになって、ライター方面の知識だけでは対応しきれないところが出てきました。
昨年末から新しい方も入ってきて、ちょこっとWordPressの設定について教える場面があったのですが、たまたまデザインに関する作業箇所だったので、専門外のことは中々伝えづらいものがありました。
noteでもCanvaという編集アプリがあって、ご存じの方も多いと思いますが、この編集アプリをもう少し上手く使えるようにならないかな、と思いました。
たとえば、記事用のアイキャッチ画像を一枚作るにしても、Web上で文字が読みやすいカラーコードや、人目を惹きやすい配色の組み合わせがあったりしますよね。
フォントひとつとっても、しっかりとしたフォーマルな印象を残したいときは筑紫明朝、とか、柔らかい印象にしたいときはDNPの丸ゴシックとか、英文字でカフェっぽい手書き感を出したいときはHolidayなど、色々あるわけです。
伝えたい内容によってカラーやフォントを使い分けて、この場面ならかくかくしかじかの効果がある、よってこれって、自分のなかではっきりと理由が分かるようにしたいんですね。
ライティングの方は、人に教えられなくてもある程度ひとりでできるところまで来ているけれど、サイト制作の方はまだなので、今年はCanvaやWordPressの編集技術を伸ばしたいです。
以上が「2025年に書きたい、読みたい、10のこと」の後編「読む編」でした。
前編では「書きたいこと」「暮らし」の目標を立てているので、未読の方は、こっちもチェックしてみてね。
年始に発表した、新作の短編小説「ゴースト・ライティング」もよろしくです。
2025年も、よいもの書きの年になりますように。
2025/01/12 14:28
kazuma