身を守る装備だけど危険な装備(シートベルト)
こちらの記事は書き上げるのにずいぶんと頭を抱えました。
整備士という仕事の特性上、警察官や救急隊の方々程ではないにしろ、そういう現場に幾度も遭遇しシートベルトの大切さを何度も教えられました。
そういう経験から書きたい事が溢れてしまい、うまく纏められず時間がかかっていました。
溢れに溢れまくったので、最終的に思い切ってスリム化しましたが、それなりの文字数に…
なのでもしかしたらこのシリーズ、書きたいことがもっと出るかも。
それでもこの記事で1人でも多くの方が運転姿勢を見直してくれる方が居てくれたらと思っています。
この記事によく似たエアバッグバージョンの記事もありますので是非どうぞ。
結論:シートベルトを正しく着用する
まずはシートベルトを正しく装着してください。
結局はこれにつきます。着用法の後はつらつらと、いろいろ書いていますが、とりあえずこの項目だけは最低読んで頂き、自分の装着方法を振り返っていただければと思います。
シートベルトの装着方法
こちらが、現在の自動車に広く利用されている3点式のシートベルトです。
肩から反対側の腰付近へかけてのベルトと左右の腰へ渡るベルトがある形状です。
普段車に乗られる方ならお馴染みですね。
シートベルトの肩の付近は乗用車であれば基本的にピラー部分に固定されています。
車種によってはシート背もたれ上部。(ダイハツ車等ピラーレスの車種)
高さの調整機能がある物についてはここで調整し、調整しきれない場合や、調整機能が無いものについては座り方、背もたれ、シートの高さ調整等を利用しベルトが鎖骨中心より外側部分を通るようにします。
ベルトが首部分に接触していると、事故の衝撃で頸部を圧迫し、深刻な怪我につながったりします。
腰ベルトはかならず骨盤にかけるようにしてください。
目安としてはズボンのベルト(おへそ)よりシートベルトが下です。
腹部にベルトがかかっていると事故の時内臓を圧迫し致命的な怪我を負う可能性があります。
またシートに座る時の体勢も重要で、背もたれを必要以上に倒して乗車していると、事故の衝撃で「サブマリン現象」が起こり正しくベルトを着用していても身体がズレ、腹部、頸部を圧迫したりします。
サブマリン現象については、後のチャイルドシートの項で動画をリンクしてありますので、参考にしてください。
プリテンショナーシートベルトについて
最近の乗用車のシートベルトにはほぼプリテンショナー機能が付いています。
プリテンショナーシートベルトとは、事故が発生した時に一定以上の衝撃を検知したり、エアバッグの展開に連動し、シートベルトを一気に巻き上げ、身体をシートに固定し過度な前傾を防止し、エアバッグの機能を高める機能です。
一瞬で機能させるので、かなりのスピードで巻き上げるため、シートベルトでやけどをしたり、内出血を起こしたりする場合があります。
また身体の状態等により肋骨を損傷したりもします。
ただしエアバッグの記事でも書いたのと同じで、それ以上の怪我から守ってくれる機能です。
プリテンショナーシートベルトについてはメーカーのHPにて詳しく説明していますので、ご一読ください。
シートベルトストッパーについて
また弊社のユーザーには注意喚起をし、使用する方はいなくなりましたが、シートベルトストッパーの使用には注意が必要です。
シートベルトストッパーはシートベルトの巻き上げを途中で止める為、装着時の圧迫感や、装着時にベルトを引き出す手間が省け装着しやすくするアクセサリーです。
販売するところによっては
「妊婦さん向け」
などとうたっている所もあります。
しかしベルトに余裕がある状態で止めてしまうと、本来の拘束効果がうすれたり、乗車時に適切な位置にベルトを装着していたとしても、運転中の体の動き、車両の振動等によりベルトがずれてしまったりという事もあります。
前述のプリテンショナー機能の効果を落とす可能性もあります。
そして効果を落とすだけならまだしも、プリテンショナー機能はかなりのパワーとスピードで働くため、取り付けてあるシートベルトストッパーが破損し身体に飛んでくるという事態もありえます。
首、顔、耳付近にストッパーの部品であるプラスチック片、金属が弾けて高速で飛んでくる。
想像するだけで恐ろしいです。
シートベルト着用時の一時的な不快感を和らげる為に、自分を犠牲にしますか?
チャイルドシートを使用する
今回この記事を書こうと思ったきっかけは、路線バスと軽自動車の正面衝突事故のニュースを見てからです。
この事故に関しての被害者はバスに乗られていた方々、後部座席の7歳と5歳の子供達です。
加害者はチャイルドシート装着の法律を制定した国です。
そして何よりチャイルドシートを使用しなかった母親に問題があります。
法律違反までしてです。
最低限法律に乗っ取った運用をしていれば、もしかしたら5歳の子は助かったかもしれないのに。
今回のこの事故画像を見ると軽自動車は大破していますが、キャビンはしっかりと残っており、空間が確保されています。
軽自動車なのに重量差があるバスと正面衝突をしてるここまでキャビンを守ったこの軽自動車とこれを設計製造した技術者の方が本当に凄いと思いました。
そして運転席の母親は足を負傷はしているものの命は別状無し。
ですのでやはり子供の乗車方法に問題がありそうです。
チャイルドシートの必要性
チャイルドシートの必要性については私が文章で説明するよりも、過去にJAFが作成している実験動画を見てもらえれば分かりやすいと思います。
そして先に私は、法律を制定した国も加害者だと言いました。
チャイルドシートの使用が義務付けられているのは、6歳未満の子供とされているからです。
体格が加味されていないのです
ですので後部座席で亡くなられた7歳の子供さんに関しては、チャイルドシート着用の義務はありませんが、シートベルトが正しく装着されていなかった、もしくは正しく装着出来ない体格だった可能性があります。
日本の自動車メーカーのシートベルトが正しく装着できるのは、車種等にもよって変わりますが、140cm以上とされています。
日本の子供の平均身長から見ると、7歳だと140cmには届いていないでしょうね。
終わりに
自動車に乗る上で、法律で決められているからとか、警察に違反を取られるから、とかそういう理由で従うのはやめて欲しいです。
事故はいくら自分が気をつけていてもいつ遭遇するか分かりません。
全ては安全の為、自分と自分の大切な人を守る為に行動してください。