【私の仕事】 忘備録(22)営業スタイルの違い
◆この記事の内容:
新入社員の頃に感じた「東京と大阪の営業マンの違い」について書いています。
国内営業とのギャップ
防衛省は、日本国内の省庁だ。自分が働いていた会社では、国内営業部の管轄だ。しかしながら、今回のこの大きな案件は、海外企画営業が仕切ってやれ!と、会社の上層部の決定。
若かった自分は、この案件がうまくいっても、国内営業部の成果になるのではないかとセコイことを考えていた。でも、そうではなくて、この案件に限っては、成果はすべて当方の部署になると会議で言われて、気分が高揚した。
これは、チャンスだ。海外企画営業は、通常から各国の海外業者とやり取りをした。各国に事務所もあり、先輩方も各国に滞在中だ。まず、早急にできる限り案件の詳細情報をまとめて、どのように動くか作戦会議だ。
国内営業の連中も、ある程度、裏情報は入手しているはずだ。それを先に国内の営業担当から聴いたほうが効率的だ。無駄足を踏まないために。
しかしながら、本来国内営業の成果になる案件が、海外営業部が突然、仕切ることになり、その防衛省担当営業マンにとっては、気分はよくないだろうと想像できる。
防衛省担当営業マン
とにかく聴くときは言葉使いに気をつけようと心に誓った。しかも、その営業マンは、社内的には僕より上役だ。やりにくい。
さて、こちらは初めて防衛省の仕事をすることになった。何もかもしらない。防衛省の調達本部の担当や名刺、今までの経緯、それと重要な裏情報など、その営業マンにこまかく尋ねた。
もっている限りのファイルや資料はくれたが、肝心な裏情報は何も持っていない。いや、それどころか、その営業マンには裏情報を入手するという発想がなかった。どうも話が通じないと思った。
要するに、今までの営業の仕方が見えてきた。もう典型的な指示待ち人間だ。自分より上役なので失礼かと思ったが、今までどのように営業をかけていたのか根本的に質問した。
すると、官報で入札の公示の後に、営業的な動きをしているのだ。公示があったときでは遅すぎる。もう裏で落札業者は決定している。で、その公示は官報を見てから動いていることも分かった。
調達本部を訪問して提案型営業をまったくしていない。これでは、今まで防衛省の入札案件を落札できないはずだ。たまに受注するのは、数百万程度の機材だけだ。要は他社が面倒だから押し付けられた分なのだ。
僕はこれ以上尋ねる気がなくなってしまった。ファイルや資料もネットで入手できる内容ばかりだ。これでは紙の無駄だ。
国内営業マンから聴取した内容をまとめて、急いで現状と問題点を上司に報告した。「スピード感や、営業の取り組みスタイルがこっちはまったく違います。」と強く主張したところ、上司は「そうだよ。そんなことわかってる。
だから、海外営業部でこの案件を落札させろと指示が出たんじゃないか。お前はそんなことも想像できないのか。」と逆に叱られてしまった。
営業スタイルの違い
しかしながら、よく考えてみるとこっちの動き方が普通ではないのだ。僕が日頃やっている営業は、一般的な会社の営業的な行動ではない。今なら理解できる。当時の僕は、麻痺していた。
新入社員で入社したときに、すぐに海外営業部の配属だった。そこで様々な国際入札に関わり、その5年後に東京支社でODA案件の担当になった。
The survey of Town road condition survey in Wagatoku, Burkina Faso. ODA
政府開発援助(ODA)の入札は、裏で大きなお金が動く。相手国の公官庁に営業をかける、日本側は外務省、大蔵省、国会議員などにこちらは商社を通して接待攻勢をかける。
基本的に国際入札なので、外国のメーカー、商社も裏で日本側の入札担当官に接待攻勢をかけてくる。外国では当たり前だ。こちらは、入札自体をアンタイド(ひも付き)にするように接待をかける。
国内業者だけの入札になれば、なんとか同業社(A社B社C社)で「話し合い」ができる。国際入札になれば、まとめきれない。
とにかく早急に裏情報を入手しなければ、作戦会議もできない。また、もしうまく落札できても納入期限まで1ヶ月半だ。気持ちは焦ってきた。
【私の仕事】 忘備録(32)間に合うはずがない最終納入期限 へつづく。。。
*このnoteで書いてある記事はすべて実話です。「忘備録」として自分のために書いています。
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