「介護の大変さを少しでもやわらげる方法」⑮「気分転換をあきらめる」
いつも読んでくださっている方は、ありがとうございます。
おかげで、書き続けることができています。
初めて読んでいただいている方は、見つけていただき、ありがとうございます。
私は、臨床心理士/公認心理師の越智誠(おちまこと)と申します。家族介護者の心理的支援を仕事にしています。いつも読んでくださる方には、繰り返しになり、申し訳ないのですが、私も家族の介護をしていた時期があります。
その時間の中で、家族介護者の方の、こころのサポートが必要だと考え、臨床心理士になりました。その後、公認心理師の資格も取得しました。
介護者の負担
家族介護者の方にとっては、介護が始まってから、いつ終わりが来るか分からない毎日が続いているかと思います。
介護を受けている方(要介護者)が、できたら、いつまでも生きて欲しい、という気持ちと、同時に、介護が終わってくれないだろうか、という思いは、矛盾せず、どちらも起こってくることだとも思います。
ただ、そうした両方の思いによって、ご自分を責められたりすることで、より疲労感が増すかもしれません。今は、それに加えて、コロナウイルス感染症のことで、さらに、負担が増えている可能性も高いのでは、と思っています。
その気持ちの状態は、単純ではなく、説明しがたい大変さではないかと推察することしかできないのですが、それでも、ほんの少しでも負担感や、ストレスを減らせるかもしれない方法は、お伝えする努力はしていきたいと考えています。
時間的にも余裕がなく、どこかへ出かけることも出来ない場合がほとんどだと思いますが、この「介護の大変さを、少しでもやわらげる方法」シリーズでは、お金も時間も手間もなるべくかけずに、少しでも気持ちを楽にする方法を考えていきたいと思います。
もし気が向いたら、試してみてもらえたら、幸いです。
「気分転換をあきらめること」
「介護の大変さを、少しでもやわらげる方法」シリーズは、15回目になりますが、今回は「気分転換をあきらめること」です。
これは、言葉としては伝わりやすいと思うのですが、「介護の大変さを、少しでもやわらげる」というテーマから考えると、やや分かりにくい表現だと思います。
ただ、これは、ほぼ言葉通りで、「気分転換をあきらめること」が、人によっては、「大変さを、少しでもやわらげること」があり得るのではないか、と最近、考えるようになりました。
遠回りのようですが、少しずつ説明させていただきたいと思います。
「気分転換」の必要性
このシリーズでも、言ってみれば「気分転換」に近い方法も、いくつもおすすめしてきました。それが、もしかしたら、お役に立った方もいらっしゃるかもしれません。そして、そうしたご自分に合った方法に出会われた方は、うまく活用されていると思います。
ただ、介護の状況が変化することによって、それまでは「気分転換」に有効だった方法も、変わっていくこともありえます。
そして、私もその一人ですが、「気分転換」の方法を勧める方は、ずっといらっしゃると思います。大変な思いをされている方ほど「気分転換」をうまくするのは、今でも必要なことだとも思います。
「気分転換」が出来ない
介護に関わるようになって20年が過ぎ、いろいろな方とお会いし、お話もし、相談にも関わるようになって、どうすれば気分転換できますか?と聞かれることも少なくありませんでした。
その度に、そうした方と話をして、この「介護の大変さを、少しでもやわらげる」シリーズでも紹介したような方法も含め、ご紹介してきました。それが、ご自分と相性が良く、お役に立つこともありましたが、様々な方法をとっても、どうやら合わない方が、一定数いらっしゃるのではないか、と最近、思うようになりました。
今、考えると、気がつくのが遅くなり、申し訳ない気持ちにはなるのですが、誰にとっても、どこかに「気分転換」できる方法があるのではないか、と思うこと自体が、実は間違いかもしれない、と気がつきました。
「気分転換」そのものが苦手な方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
「気分転換」をあきらめる
正確に言えば、ずっと「気分転換」が苦手、というよりは、介護が大変な、今の状況で、「気分転換」をしないと、いけないのではないか、と考えること自体が負担になったり、いろいろな「気分転換」を試すこと自体が苦痛になっているような方が、想像よりもいらっしゃるかもしれない、と思うようになりました。
ですので、もちろん、本当に「人による」とは思うのですが、ここまでのことを読まれて、納得できる気持ちになられた方は、もう「気分転換」にこだわらなくても、大丈夫です。
今の自分は、「気分転換」をあきらめることが、負担感を減らすかもしれない、と考えを切り替えるのは、いかがでしょうか。
それでも、やっていただきたいこと
もしかしたら、今は介護に集中しないといけない時期と、思われているのかもしれません。もしくは、気分転換をしてしまうと、また介護をする時間に戻ることが、返って辛くなってしまうので、いつの間にか、気分転換をすることが苦手になっている可能性もあります。
そうした場合、「気持ち」に焦点を当てるよりも、もっと「環境を変えること」を、考えてもらえないでしょうか。
例えば、就寝時刻を30分早くして、少しでも睡眠時間を長くするようにする。
例えば、「通い介護」の場合、施設や病院にいる時間を、20分短くする。
例えば、自分が好きなメニューを食べる機会を、週に1度は設ける。
こうした環境を少しでも変え、負担感が減らせないかを、具体的に考えてみるのは、どうでしょうか。
「介護そのもの」を考える
もしくは、介護をしている時間の中で、介護の質を落とすことなく、それでも何か「しなくていいこと」を探すのも、場合によっては、必要かもしれません。
同じように介護をしていても、その中で、省ける手間があったら、省いてみる。そのことで、介護の負担や負担感そのものを、具体的に減らすことで、介護の大変さを、少しでも減らしている方も、想像よりも大勢いらっしゃるのではないか、とも思うようになりました。
それがベテラン介護者の、介護環境への適応と言い換えることもできるかもしれませんが、「気分転換」なしでも、介護負担を減らす方法の一つだとも言えます。
いつもとは、かなり毛色が違う内容で、しかも、誰にでも合う方法でもありません。それでも、これまでの「気分転換」の方法が、どうも合わない。見つけられない、といった方には、できたら、一度は試みてもらいたい「考え方」だと思います。
今回は、以上です。
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