「介護時間」の光景㉔「コーン」と「雑草の庭」。9.2.
毎回、古い話で申し訳ないのですが、今回の前半は2004年9月2日のことです。
母の介護を始め、いろいろあって、仕事もやめ、義母(妻の母)の介護も始まり、介護に専念することになってから、(リンクあり)5年くらいがたっていた頃です。
母には2000年から入院してもらい、そこに週に3日も4日も通っていました。「通い介護」(リンクあり)というような状況だったと思います。帰ってから、義母の介護をする生活が、4年くらい続いていて、少し慣れてきて、母の病院に通う回数を少し減らして、これからの自分のことも考えようかと思っていた頃、母に外科的な大きい病気が見つかりました。(リンクあり)
この頃は、母も病院に慣れてきて、穏やかに過ごすことが多くなっていたので、これからどれくらいの年月、病院に通うのだろうと思い、気が遠くなる思いでしたが、それでも、長生きして欲しい気持ちもありましたから、どうして、また、こんなことがあるんだろう、とは思いました。
手術をするのは、もう少しあとですが、そろそろ、そのことの準備や、転院なども考えなくてはいけなくて、焦りや不安が募っていたころだと思います。
コーン
いつもと同じ送迎バスに乗った。前を軽トラックが走っている。
同じ方向へ行くみたいで、しばらくずっと前を走る。
荷台に、荷物がゴチャゴチャと置いてあって、どう見ても雑な感じがして、ちょっとした事で落ちてきそうで、なんだか汚れているような気持ちもしてきた。
だけど、屋根の両端に、工事現場などで見る赤いコーンを2つ、ツノのようにつけている。それも、左右で少しずれているから、ちょっとした鉄腕アトムのようだった。
(2004年9月2日)
この日(2004年9月2日)も病院に着いたら、この病棟でいつもお会いする患者のご家族とあいさつをしました。私は2時間くらいかけて、この病院に通っていましたが、その方は、地元の方ですが、本当に毎日のように、ここでお会いするので、まるで「ご近所」の気持ちでした。
時々、おかずをいただいたりするのですが、今日は梅干しをもらいました。
母は、穏やかに過ごしていました。
2007年に母は病院で亡くなり、義母は2018年の暮れに亡くなり、19年間の介護生活が突然終わりました。それから、さらに約2年がたって、午前5時半就寝という昼夜逆転の生活が、やっと午前3時前には眠れるようになってきました。
2020年9月2日。「雑草の庭」
あれだけ暑かったのに、少し涼しくなってきました。
コロナ禍ですっかり世界が変わってしまってから、初めての夏も、終わりの気配になってきています。
妻が家の外の道路に、行ったり来たりをしていました。
イチョウ並木の下のスペースに「雑草の庭」を作っていて、最小限の手は加えているのですが、ほぼ自然のままにしていて、そこに雑草の名札を立てる作業をしているようでした。
何をしているのかを、妻が教えてくれました。
『この前、勢いのいいギザギザの緑の葉っぱが出てきて、何だろうと思っていて、花が咲くタイプだと、楽しみにしていたら、ここ2〜3日でグンと背が伸びた。成長が早くて、葉っぱの色も黄緑系で、細長い葉っぱに変わって、つぼみもできてきた。
図鑑で調べたら、ハルジオンは春から夏で、そのあとがヒメジョオンだということなので、ヒメジョオンだと思った。葉っぱが似ているから、迷ったけど、たぶん。
それで、今日は「ヒメジョオン」の名札を作って、立てた。
それから今、「スベリヒユ」が増えてきていて、うれしくて、注目してる。
朝早くに花が咲くっていうので、早起きして、何度も見に行ったんだけど、季節がずれているのか、見られなかった。だけど、そんなに早くないときに、ちっちゃい黄色い花が咲いていたことがあって、すごくうれしかった。
一時期、このまま、この雑草の庭が、みんな枯れるんじゃないか、と思っていたのだけど、最近、復活してきて、良かったと思って。夏にダメになる花もたくさんあるから。
今、ここにあるのは、「シバ」「ヒメツルソバ」「トキワハゼ」「オオバコ」「スミレ」「コニシキソウ」「ヒメジョオン」かな。こぼしているのもあるかもしれないけど。
「スベリヒユ」に、今は注目しているけど、「トキワハゼ」の花も咲いてきているので、それは、うれしい』。
長く、介護生活が続いていた時は、妻は遠くに行けなくなり、拘束感のある毎日が続いていた中で、もともと植物好きではあったのだけど、身近にある雑草が好きになった、と言っている。そして、介護が終わった今は、家のそばの並木の下に「雑草の庭」を作るようになった。
今年は、コロナ禍で、いろいろなことが変わったけれど、この「雑草の庭」は、当たり前だけど、同じようにあるから、勝手なものだけど、ありがたみが増しているような気がする。
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