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介護に備える③「ベネフィット・ファインディング」を身につける

 いつも読んでいただいている方には、「介護に備える②家族との関係をよくする」から、次の週に「介護に備える③」を書く予定とお伝えしたのですが、大幅に遅れて、3週間後になり、申し訳ありませんでした。

 その間、思いがけず、コンピューターの調子が悪くなりまして、お恥ずかしいのですが、元々、そうした機械全般に関して弱く、復旧が遅くなり、このように時間がかかってしまいました。すみません。その間、介護者の支援に関して、改めて考えることもあり、それはまた別の記事として書く予定ですが、今回は「介護に備える③ベネフィット・ファインディングを身につける」です。

 初めて読んでいただく方には、こうして見つけていただき、ありがとうございます。
 私は臨床心理士・公認心理師の越智誠(おちまこと)と申します。

(私の経歴については、ここをクリックしていただければ、少し長いですが、概略は伝わるかと思います)。


 このシリーズは3回目になりますが、まだ介護をしていないのだけど、介護に興味があり、できたら「介護に備えたい」方々へ向けて、何回かに分けて、お伝えしようと考えています。
 この内容は、今まで書いてきたことと重なってしまう部分もあるかもしれませんが、少しでもお役に立てるようにお伝えしたいと思っています。前回(リンクあり)に続いて、第3回目は「ベネフィット・ファインディングを身につける」です。

「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」 

 もしかしたら聞き慣れない言葉であると思いますが、私自身もこの著者によって「ベネフィット・ファイディング」という考え方や、方法を初めて知りました。それは、短くまとめれば「とても苦しく大きなストレスの中でも、プラス面を見つける」ということだと思います。そして、「ストレスは体に悪いとは限らない」と思うことで実際に心理的にはプラスになるようなので、これは介護の時にも役に立つような優れた方法だと思い、紹介させていただこうと思いました。

「ストレスはつねに存在します。ですからストレスが自分の役に立つように、そして周りの人たちの役に立つように、うまく利用することが大事です」。

 それは、介護に限ったことではなく、色々なストレス状況すべてで応用できることのようで、ただの精神論ではなく、実際に心理的な負担が減る、という調査を元に提唱されているところが心強く感じます。

 「ベネフィット・ファインディング」が最大の効果を発揮するのは、あなたが大きなストレスを経験して、深い影響を受けたときです。また、あなたの力ではどうにもできず、変えることも、逃げることもできない状況においても、とくに役立ちます。

 これは、まさに突然、介護をしなくてはいけない時と似ている状況なのですが、介護が日常になった場合でも、役に立つという結果が出ているようです。

 このように毎日の介護で励みになったことを見つける練習は、ストレスマネジメントに重点を置いた「思いやり」を育むための介入よりも、うつ状態を軽減する効果が高いことがわかりました。

 個人的には、この「ベネフィット・ファインディング」について、ただのポジティブ思考の強要ではないと思え、信頼性が増したのは、こうした記述があったからでした。

 「ベネフィット・ファインディング」の訓練を受けたセラピストたちでさえ、患者に対しては、苦しみのなかのよい面を見つめるよう無理強いしないように指導されています。患者が自分から苦しみのなかのよい面について話し出したら、セラピストは余計な意見を差し挟まずに、だまって耳を傾けるのです。

ベネフィット・ファインディングを身につける

 誰にでも辛いことや、大変な思いをすることはあると思いますので、こうした考え方を参考にするのは、マイナスにはならないのではないでしょうか。

 こうした「苦しい中にも、その只中で、プラス面を見つける」という方法が、ただの精神論だけでなく、実際に役に立つ、ということを心理学的な側面から提示してもらったことに価値があると思います。それに実際に試してみて、もし、合わないとしても、体や心に害がある可能性は少なそうです。

 同時に、この著書の中で、介護をしている時にも役に立つ、という表現はあるのですが、この点に関しては、微妙な違和感がありました。それは、この方法そのものへの異議ではなく、介護中に、相談できる専門家がいれば「ベネフィット・ファイディング」は可能だと思うのですが、今の日本社会の介護者を取り巻く環境では、必ずしもそうした相手がいるとは限りません。(このことに関しては、自分の力不足もあり、申し訳ない気持ちはあります)。

 介護に備える、という意味では、この「ベネフィット・ファインディング」は、まだ介護と関係がないときに身につけた方がいいのでは、と思います。その上で、介護で大変になった時に、自分の習慣として、自然に思い出せれば、辛さを減らすことに役に立ちそうだと思いました。

 介護に限らず、今辛い状況にある人にも、少しでも役に立つ方法でもありそうですし、また、これから大変なことに対しての「備え」としても身につけておいて損はないように感じました。


 今回は、ケリー・マグゴニガル氏という心理学者の提案する「ベネフィット・ファインディング」の紹介に終始したように思いますが、それでも、これは「介護に備える」という意味では、特にお金も必要なく身につけられることですので、試してみてはいかがでしょうか。


 今回は以上です。
 次回は、「介護に備える④」です。このシリーズの最終回の予定です。



(他にもいろいろと介護に関して書いています↓。読んでいただければ、ありがたく思います)。


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越智誠  臨床心理士/公認心理師  『家族介護者支援note』
 この記事を読んでくださり、ありがとうございました。もし、お役に立ったり、面白いと感じたりしたとき、よろしかったら、無理のない範囲でサポートをしていただければ、と思っています。この『家族介護者支援note』を書き続けるための力になります。  よろしくお願いいたします。

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