介護の言葉⑲「介護家族」と「家族介護者」
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「介護の言葉」
この「介護の言葉」シリーズでは、介護の現場で使われたり、また、家族介護者や介護を考える上で必要で重要な「言葉」について、改めて考えていきたいと思います。
今回は、かなり個人的な感覚に限定されるかもしれませんが、「介護家族」と「家族介護者」という言葉について、考えたいと思います。
介護家族
個人的には、自分自身が、家族の介護を始めた頃に、「介護家族」という言葉を知ったのですが、その言葉に関しては、微妙に違和感を憶えてきました。
この言葉は、もちろん、「介護をしている家族」という意味合いがあるのですが、少し曖昧さがあるように思いました。
それは、介護が必要になった場合には、「要介護家族」と「介護家族」に分かれている、というようなニュアンスと、同時に、「介護家族」といった名称を用いた場合には、その介護をしている家族が、複数のイメージにも取られてしまうように感じていました。
ただ、本当に個人的な感覚なのですが、「介護家族」という言葉よりも、「家族介護者」という呼称の方が、より正確なのではないか、介護を続けると、より思うようになりました。
介護を始めてから
介護を始めた途端に、それは、役割でもあり、もしくは、現状では、家族の中で、一人がキーパーソンとして介護を担うことが多いようです。
同時に、すぐには無理としても、年月が経つほどに、プロの介護者と並ぶような存在としての介護者になっていく。自分が介護を始めて、続けていく生活の中で、介護の専門家ではないけれども、それがたまたま家族だという印象を与えられるような、そんな「介護者」の方に会う機会が多くなりました。
プロの介護者と並ぶ存在として、家族の介護者がいる、といった印象になっていくと、そうした方々に「介護家族」という言葉に関しては、使うことに少し抵抗感を覚えるようになりました。
それは、もちろん個人的な感覚で、正しいと言えることではないと思いますし、「介護家族」と「家族介護者」の両方の言葉が、出てくる記事もありますので、私が思っているように、それほどの違いを感じられている人も少ないのかもしれません。
(このインタビュー↑に関しては、こうした視点↓が欠けているのではないか、と思いました)。
家族介護者
そうした個人的で感覚に頼ったことなのだと思いますが、それでも、このnoteでは「介護家族」という言葉ではなく、「家族介護者」という単語をずっと使っていると思います。
私の気持ちの中では、「プロの介護者」と並ぶ存在として「家族介護者」という言葉を使っています。
もちろん、数多くの人たちを仕事として介護をしてきて、さらには、より効率的な方法や豊富な情報や知識に触れていて身につけている「プロの介護者」の技術には、多くの場合は、家族の一人を介護している「家族介護者」は、とても敵わないと思います。
ただ、家族という、気持ちとしては、冷静でいられないような関係であり、もしくは、これまでのさまざまないきさつなどもあったとしても、それも含めて、しかも、ほとんどの場合は、「24時間・365日体制」で介護をしているのですから、介護をしない時間がある「プロの介護者」とは、違う感覚が磨かれていくように思います。
とても個人的な感覚なのですが、「プロの介護者」は、「介護という行為」のプロフェッショナルで、「家族介護者」は「介護という時間」の専門家、というように思っています。
そんなふうに考えられれば、「家族介護者」への見方や、支援の方法も、少し変わっていくように思っています。
介護の専門家
ただ、ここまで、普通に「プロの介護者」という単語を使ってきたのですが、こういう言い方は、一般的にはあまり聞かないように思います。資格は様々だったりしますが、「介護の専門家」という呼称になるように思います。
今は、どんな分野でも「〇〇の専門家」という言い方が多くなり、それだけ、アマチュアとプロの区分がしっかりしてきたのだと思いますが、少し前までは、例えば、「医師」ではなく「医者」という呼称が多く、それを今も自称する方もいらっしゃるかと思います。
「〇〇者」という言葉には、プロやアマの区別の前に、役割を担う人の意味合いが強く出ているように感じられます。それは、場合によっては、プロの奢りを避けるために、自分で使い続ける方も存在するような印象もあります。
ただ、介護の場合は、介護の専門家として成立したのが、比較的、新しいため(介護福祉士1987年、ケアマネージャー2000年)、特にその資格の名前によって、「プロの介護者」であることを、外部にきちんとアピールする必要もあったように考えられます(違っていたら、すみません)。
そうすると、今、「介護者」というと、その前につく言葉としては「家族」以外は、それほどなくなったような印象があります。
例えば、「ご近所介護者」や、「親戚介護者」「友人介護者」といった、こうして現在並べると、違和感しかないような言葉が、もしも、少しでも自然になったときは、家族だけが介護を担う、といった状況が変わっている、ということかもしれません。
受験資格
ずっと、「家族介護者」と表現してきたのは、「家族介護者」にしかない「専門性」のようなものが存在すると思ってきたせいもあります。
その一例としては、「いつ終わるか分からない時間」の中で、介護を続けるための適応については、ほとんど感覚的なものでもあるのですが、プロでもなかなか持てないような「能力」だと考えています。(その分、様々な負担感が過重になってしまっているので、それを、いかに和らげるかを、同時に検討しなくてはいけませんが)。
そうしたことを語るときには、「介護家族」というよりは「家族介護者」といった方が、その「能力」について語りやすいような気もして、意識して「家族介護者」という呼称を使ってきたのですが、さらに、その先の「希望」することもあります。
現在、ケアマネージャーの受験資格は、介護福祉士の実務年数が5年以上、ということのはずです。私自身は、今はなくなってしまった資格ですが、20年ほど前に、ヘルパー2級(訪問介護員)の資格をとって、それから、15年以上、家族の介護をしてきたのですが、もちろんケアマネージャーの受験資格はありません。
実際に、プロとしてケアマネージャーをされている方から見たら、ふざけた話と思われるかもしれませんし、家族を介護した期間の実証の難しさなどはあると思いますが、家族を介護して一定期間(例えば、5年以上)の経験がある人には、一定の研修を義務付けた後に、ケアマネージャーの受験資格が与えられる、というシステムについて、検討してもらえることを、かなり前から思っています。
それは、介護終了後には、ただ疲れて老いた自分が残っているだけ、といった絶望するような状況に、少しでも希望が持てるのではないか、ということ。さらには、もしも、こうした制度ができた、という事実を知ったとき、家族を介護している時間にも意味があるし、認められている、という気持ちになり、家族介護者にとって、介護負担感が少しでも減るような気もするのですが、どうでしょうか。
今回は、「家族介護者」と「介護家族」という呼称から、少し話は広がってしまいましたが、ご意見などをお聞かせ願えたら、幸いです。
(他にも、介護について、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでいただければ、うれしいです)。
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