地方×ホテル×エンタテインメント ホテルオークラ福岡「花鳥風月」
地域に根ざしたホテルエンタテインメントを創り出す。
私がこの業界へ足を踏み入れてからずっと感じてきたことです。
“地方が持つ文化の豊かさ”を文化の発信地としての役割も担うホテルから発することが出来ればよりホテルにおける体験は豊かになると考えています。
旅の楽しみもより広がりホテルの魅力も高まる。
そう感じたのが始まりでした。
旅へ行くと地の物を食すのが楽しみとなるように地のエンタメを楽しめるそんな空間がホテルにあっても良い。
そう信じてきました。
そして今回ホテルオークラ福岡さんにて地方×ホテル×エンタテインメントを実現することが出来ました。
タイトルは博多の伝統を担う筑紫珠楽さんのアイディアで「花鳥風月」。
このタイトルは聞いた瞬間から気に入りました。
日本の、博多の自然そして季節感が持つ美しさを表現するステージにしたい、と。
私は演出をお手伝いする立場。
博多、日本の美しさを表現したい。
一方で曲の世界観は日本的を感じさせつつも無国籍。
映像の世界観は博多のエンタメを世界へという思いも込め、敢えて日本でも博多でもない”ここではないどこか”。
この視点を大切にしながら映像やステージに利用する演出のアイディアを練っていきました。
空間全体のイメージも、“華やかさ”“賑やかさ”などとは対極の位置にある、”儚さ”や”移ろい”を表現した映像とあかりにより”花鳥風月”を演出しました。
ホテルバンケットという本来、何もない空間(だからどんな空間にも変化出来る)に地域を代表するエンタテインメントが生まれる。
480年続く博多を発祥の地とする博多独楽の伝承者、3代目筑紫珠楽さんが博多独楽のステージの伴奏として博多独楽のステージを支えてきた博多金獅子太鼓を独立させ、磨いてきた演奏。
これを博多の地域の音と定義し、そこにずっと博多を中心に音楽活動を続けてきたJAZZピアニストで作曲家の岩崎大輔さんが参加。
二人で始めた活動に北野武監督の映画「座頭市」にも出演するなどタップダンサーとして幅広く活動する浦上雄次さんが参加。
この3人を中心に博多で何度も公演を重ねました。
この3人を中心としてヴァイオリニストの西川のばらさんを加えジャズ×和太鼓×クラシックのエンタテインメント、花鳥風月が行われました。
曲は越天楽から越天楽がそのベースとなっている博多の代表曲「黒田節」
そしてブルージーな雰囲気が岩崎大輔という音楽家の真骨頂ではないかと感じさせるオリジナル曲「山笠」。
そして今回の表題曲としてオリジナルテーマ曲の「花鳥風月」を実演。
日本の四季の美しさが浮かび上がってくるような美しい曲。
そこにクラシックのヴィバルディ「春」やジャズのチックコリア「Spain」そしてボレロのリズムを取り入れた岩崎大輔解釈の「アメイジンググレイス」も和太鼓、タップのリズムと躍動感が重なりここでしか聴けない音楽となって観客を魅了しました。
筑紫珠楽さんの演出チームも表現者の一人という考え方のもと、出演者に制作陣が一丸となったホテルエンタテインメント第1回は満席のお客様のもと、再演の声も数多くいただく中で終了しました。
博多の伝統の音が中心となって博多生まれのホテルエンタテインメントが実現したことを心より嬉しく思います。