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ナッシュビルとカントリーとバーボンと

ノラ・ジョーンズとナッシュビル

私が大学の研究室で学んでいる頃、2003年グラミー賞で8部門ノミネートで話題になったノラ・ジョーンズ

彼女の声が好きで当時CDを何度も聴いた記憶がある。

一気に引き込まれたのは彼女にジャズフレーバーがあったから。


幼い頃から父の影響でジャズに耳を慣らされていたおかげで一気にノラ・ジョーンズに夢中になっていく。

ノラ・ジョーンズと言えば音楽一家で、父親はシタール奏者として有名なラヴィ・シャンカール


そして妹は私が後に大好きになるアヌーシュカ・シャンカールだ。


ノラ・ジョーンズ好きならアヌーシュカ・シャンカールの声は一発で引き込まれるはずだ。血は争えない。

ノラ・ジョーンズ同様の声の魅力とともにインド古典を取り入れた音楽はまた新しい風を感じられ新鮮さを感じられることと思う。



そんなノラ・ジョーンズもレコーディングやライブを行う地、そして音楽の都。それがナッシュビルという土地だ。


まだこの時点でナッシュビルという地を認識することはなかった。


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強烈な音楽体験

私は学生時代、化学を専攻していたにも関わらず、私の原体験にあったシティホテルにおける音楽体験を忘れることが出来ず、アーティストマネジメントの世界に身を置くことになる。


↓『私が音楽の業界に身を置いた原体験』noteも併せてご覧ください。


縁があってレコーディングを最初に体験する地はテネシー州のナッシュビルであった。


この体験は私のライフスタイルに大きく関わっていく。

ナッシュビルというのはギブソンというギターメーカーとジャックダニエルというバーボンウイスキーの聖地である。

そしてなんと言ってもミュージックシティと呼ばれカントリーミュージックの聖地だ。

私もこのレコーディング期間を通し足を運んだ「グランド・オール・オープリー」はそのシンボルのような空間だ。


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グランド・オール・オープリー (エクスペディアより引用)


音楽産業はここに集積されると言われるほどレコーディングスタジオが立ち並ぶ街のSONYスタジオでレコーディングというものを経験する。

私は化学が専門の学生上がりで、音楽は好きで聴くことはあってもレコーディングなど右も左も分からない。


ただこのレコーディングという現場に縁あって立ち会うことが出来ている。これはとても幸運なことであった。


その後私が10年に亘りA&Rを担当するindigo blueというアーティストとのファーストレコーディングとなった。現地で演奏をするのは 

マーク・ノプラー、

スティーヴ・ウィンウッド、

ショーン・コルビン、スティング、

ジョン・フォガティー、

アラン・ジャクソン、

ヴィンス・ギル、

ラリー・カールトン、

ボブ・シーガ―、

エルトン・ジョン、

ウィリー・ネルソン、

アーロン・ネヴィル、

アンクル・クラッカー、

メガデス、

リッキー・スキャッグス、

アリソン・クラウス、

バッド・カンパニー、

ザ・ヘルキャスター

など名だたるアーティストのレコーディングを担当するスタジオミュージシャンバンド THE PLAYERSであった。


エディー・ベイヤーズJr.(ドラムス)、

ポール・フランクリン(スティール・ギター)、

ジョン・ホブス(キーボード、ヴォーカル)、

ブレント・メイソン(ギター、ヴォーカル)、

マイケル・ローズ(ベース)

の5人であった。


レコーディングは全てセッションで行い圧倒的なスピードで仕上げていく。


その後日本のレコーディングなどで何度も録音を重ねてプロツールスで仕上げていくあのスタイルではなく、午前中に始まるレコーディングは夕方にはキチッと終わるのだ。

これは今考えると驚愕のレコーディングのあり方だ。


このレコーディング期間中、前述のグランド・オール・オープリーでこのTHE PLAYERSがヴィンス・ギルの演奏でステージに立つということで会場に応援に行ったのも懐かしい思い出だ。



indigo blue / indigo blue

このナッシュビルレコーディングを通して私が制作という仕事に関わった処女作品でとても良い曲が詰まったアルバムになったと今でも思う。




個人的にはこのスーパースタジオミュージシャンと生み出されたFeelin' Lonelyという曲が、私の最も聴いた曲となる気がする。


ナッシュビルサウンドに包まれながらもindigo blueヴォーカルのRinaの声はそこに埋もれることなく存在し、私は現地で最高の体験をすることになる。

大好きなノラ・ジョーンズを思わせる安定した低音とふくよかな声質にその場で惚れ込んだ。


そこからずっと作品作りをアーティストと二人三脚で進めていくことになるのだが、アーティストマネジメントに全精力を注ぎ込んだ原点がここに、この作品にある。

そして私の音楽には彼らから教えられたことが流れている。

そんな気がする。



そんな音楽業界との出会いであったため今でもナッシュビルサウンドが流れてくると耳が持っていかれる。

テイラースウィフトのヒットで日本でもカントリーを聴く機会は増えたことは歓迎すべきことだし、アリースター誕生などカントリーにまつわる映画などカントリーに触れる機会があり、それに強く反応している自分に気付かされると、やはり私にはナッシュビルサウンドが沁み込んでいるのだなぁと改めてしみじみ思う。


ナッシュビルとカントリーとバーボンと

このように自分のターニングポイントと言える場におけるこの強烈な体験はカントリーミュージックとともにナッシュビルサウンド、バーボンウイスキーとともに強烈に蘇る。

自分の”好き”を辿る時間を持つと、この体験へ戻り強烈に音と香り、音楽に変換される。

相応しい時期に相応しい出会いがあり、その出会いがそのヒトを作っていくのだと思う。

だから今でも一人でこの作品を流しながら大好きなバーボンウイスキーをオンザロックで飲みながら原点を思い出す。


時に胸がいっぱいになりながら。


全ての出来事に感謝しながら少し苦い思い出も噛み締めながら。



私はナッシュビルとカントリーとバーボンで出来ている。




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