地方はどうして世界を制すのか
〜世界が驚く地方の”技”〜
USJの再生ののち、マーケティング集団”刀”を立ち上げ、テーマパークをはじめ会社を次々に再生していく森岡毅さん。
そんな森岡氏がNewspicksの配信セッションで「日本経済の伸びしろは地方にある」と発信されているのを聞いていると、地方と向き合っている私は俄然ワクワクしてきます。
森岡毅氏 (YouTubeより)
最近、福岡そして九州と向き合う機会が増えて来ています。
地方と向き合うに当たり、私はずっと音楽をその仕事の中心にしていたこともあって”音”というテーマに近づくことになりました。
最初は博多から失われた”祭り”の音をテーマにしました。
”祭”を音だけでも再現してその想いを映像に出来たら素敵だなという感情がその発露となりました。
博多の祭の音を通して地域の音を知りたくなりました。
そして音を聞きにいく旅があってもいいのではないかなと思うようになり始めました。
そこで音を求めて旅をするBGM Tourismという活動をスタートさせることにしました。
博多を中心に九州の音をじっくりと録りにいくという活動です。
そんな音録りの地は“くまもと”でした。
理由は熊本のホテル、THE BLOSSOM KUMAMOTOのホテルの音を創るということが大きな理由です。
サウンドデザイナーの日山豪さんとタッグを組んだプロジェクトECHOES POINTが生み出すBGMに実際の熊本の現地の音を取り込もうという試みです。
そんな活動の中、今回はTHE BLOSSOM KUMAMOTOのスイートルームに置かれる熊本の伝統工芸作品である「肥後象嵌」の音を録りに行くということにしました。
金象嵌二重唐草紋影蝶透鐔
金象嵌家紋海鼠透鐔型ベルトバックル
金線象嵌 唐草紋バイオリン弓
肥後象嵌(ひごぞうがん)とは何か?
私は恥ずかしながら肥後象嵌を知りませんでした。
音を録りにいく前に自分なりに調べ学んだのだが刀剣や武具の装飾品であることを知りました。
金属でデザインされた形を象り(かたどり)それを嵌めて(はめて)いくということでその技が工芸の名を表しています。
実際にその技を見ながらその作業の音に魅せられていきました。
肥後象嵌。
現在はその技術を伝承する人は数えるほどしかいないとのこと。
その技術を受け継ぐ稲田憲太郎さんとお会いすることが出来ました。
稲田さんの叔父様が肥後象嵌士で、稲田さんは子供のころからその仕事を見ていたそうです。
金峰山の中のご自宅のアトリエで毎日、作品と向き合われているとのことでその空気の美味しさやアトリエの窓を開けたら虫の声や雨音、風の音など大自然のアンビエントに囲まれていました。
とても豊かな環境の中で伝統の技術と向き合われているのが何とも印象的でした。
実際の作業を拝見する中にもさまざまな工程があり一つ一つの工程の積み上げの中で生み出される美しい美術品は改めて唯一無二のモノであると感じました。
現在の大量消費社会の中、モノで溢れ、大量消費が否定されつつある中、全て手作業で行われるモノに込められた技術と歴史、そして背景と全てが揃って生まれるものが日本が誇る伝統工芸なのだと感じました。
その技術と工芸品は日本以上に中国やアジア・ヨーロッパなどの国からの評価が高くオーダーがあるそうです。
日本に住んでいても知らない、世界から注目される素晴らしい技術が地方にはたくさんあります。
地方をしっかり見つめることで、日本の誇るべき技術を再発見することができるでしょう。
多くの知ることのなかった誰かに、音を通して知ってもらえれば良いなぁと感じました。
またこの肥後象嵌の音はBGM Tourismで紹介していければと思います。
公開をお楽しみに。