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博多の芸妓によるホテルエンタテインメント

地方にはその土地でしか味わえない文化があります。


京都の祇園に芸妓さん舞妓さんがいることは誰でも知っていますが、実は土地土地で芸妓さんの文化は残っていて九州でも長崎にあり長崎からの流れで博多にも芸妓さんの文化が出来たそうです。

博多の芸妓さんは客を客とも思わぬ豪気さで人気を集め「馬賊(ばぞく)芸者」と呼ばれ、やがて博多の芸妓さんたち全般を指す愛称になりました。

「博多芸妓はおおらかで気っぷが良い」という評判となり、初代首相の伊藤博文が訪れたこともあるとのこと。


全盛期は2,000人からいたとされる博多芸妓も現在は14名までその数を減らしています。


博多芸妓という文化の担い手が急速に減りこの文化の灯が絶えてしまうかもという危機感を博多芸妓の皆さんは殊更に強く持っています。

私は今回、博多芸妓をホテルのショーとしていかに成立させるかという課題に向き合ったことがきっかけとなり博多芸妓の踊りや唄に触れ、博多芸妓の華やかさを再認識しました。


博多芸妓の”芸”は博多の財産であり日本が観光立国としてまた世界から注目をされる際も国内外問わず博多を訪れた際、博多を味わうナイトアクティビティとして観光の復活とともに地方の強みとなるのではないかと感じます。


それは踊りを通してその地の文化が表現されているから。

ハワイでフラダンスを見にいくようにファイアーダンスを見にいくように。



私は以前から博多の芸妓さんとはお仕事などでご一緒することもあり、知っていましたが、この仕事をしていなければ一般的には博多に住んでいる人もその存在をほとんど知らないと思います。

博多の人は”どんたく””十日えびす大祭”などの博多の祭りの場で目にすることはあってもお座敷遊びなどで芸妓さんと接する機会は普通の生活では中々あるものではないと思います。


前述の通り、芸妓さん自体の人数も減少していた折、このコロナ禍で地方の祭も奪われ一般の人がその芸に触れる機会も失い、また感染症対策によって人が集う機会が奪われたことは博多の文化にとって大きな危機となります。

私たちは文化の担い手が存在して初めてエンタテインメントを提供できますし、ステージを作っていくことが出来ます。


地方の文化の担い手と文化を盛り上げていきたい。そして地方の魅力で世界へ発信して行きたい。

それは偽らざる願いでした。



そんなことを考えている頃でした。

博多券番(博多芸妓さんを束ねる総称)をホテルのステージでショーアップし、より多くの人に披露したい。

そんな経緯で博多芸妓さんの芸をホテルエンタテインメントとして考える契機を得ました。


そんな経緯であらためて博多芸妓さんたちのお座敷遊びの体験に足を運びました。


唄、踊りに触れその地域地域に根付いた唄の中身であったり博多織の着物であったり、その地域の伝統や文化と密接に結びついていることを再認識しました。

理解を深めていけばいくほどその魅力が分かっていくそんな感情が湧いてきました。

そういった伝統や文化を理解して語ることが出来るのも大人の嗜みとなることでしょう。





現在は少なくなってしまった博多芸妓さんですが、その隆盛を極めていた時代の花柳界はどのようであったのだろう。

実は幕末期の志士たちが集い酒宴に興じ、そこで芸を披露していた芸妓との恋仲もあったのではないでしょうか。


よく映画や小説でも描かれますが時代を決するような話し合いは料亭で行われ、そこには芸者衆が芸を披露しているようなシーンは往々にして描かれます。

まさに時代が決するその瞬間の時代の立会人でした。

そんなことに思いを馳せると時代を超えて残っていく文化の凄みを感じます。


そんな時代背景もストーリーとして味わいに加えながらステージを組み、照明や映像を駆使しながらホテルのショーとして構成し、ステージ演出に参加させてもらいました。



ステージで一際美しく映えた博多織とそしてその所作の美しさに日本の、そして博多の文化の魅力を再認識してくれた方は多かったはずです。

芸妓さんは日夜その芸を磨き続けています。

その芸への強い思いはこのショーのリハーサルを通し、博多券番の代表、副代表へ話を伺う機会を通し強く感じることが出来ました。


ずっと磨かれ続けている芸があり、その芸はお座敷という一種閉ざされた非日常の中で披露されるのですが、一つのショーとして大きなステージでよりエンタテインメント性を帯びた形で楽しんでもらうという提案はその文化の裾野を少し広げるお手伝いとなるのでないかと感じます。

その場がホテルの空間であるということも伝統文化が持つ”非日常性”を保つそして格式に恥じぬという意味でも合致するものではないかと思います。


ホテルで行うエンタテインメントは何かという私の問いの答えが少し垣間見えた気がする挑戦であったと思います。



博多の伝統文化とホテルエンタテインメント。

この感染症が収束しまた世界から観光で博多に多くの外国人が訪れるようになった際には「こんな博多の魅力があるったい」と胸を張り伝えて行きたいと思います。


以前に私が書いたこちらの記事も併せてご覧ください ↓



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