(コンサート)ペッカ・クーシストに惚れました! 四季・4つの海景
2021年11月28日(日)、ロンドンのサウスバンクセンターで、2つのコンサートをハシゴしました。
どちらもフィンランドの指揮者ペッカ・クーシストによるもの。
ペッカ・クーシスト
フィンランド出身のバイオリニスト、指揮者、作曲家。コンテンポラリー音楽を演奏し、正統派クラシックも美しく個性的に弾きこなす。そしてしなやかな指揮をし、即興の天性の才能もあり。
2つ行ったコンサートのうち1つめは、完全コンテンポラリー・クラシック音楽でした。だから、2つめのコンサートも、きっとコンテンポラリーなアレンジだと期待していました。
ヴィヴァルディの四季を、即興でやるといいます。ソロイストとしてバイオリンを弾き、指揮もしながら即興・・・って。
コンテンポラリーかと思いきや、フィドルでした。フィドルって、バイオリンなのだけど、アイリッシュパブとかで飲みながら演奏して歌って踊ってーーーみたいな、フォークのバイオリン弾き。完全に期待を裏切られました。
cittern というフォークの弦楽器を弾くAle Carr (スウェーデンの音楽家)と一緒に、フィドルで即興演奏。四季の楽章の間に、ペッカとAleの即興のかけあいがはいる。
cittern
フォークの即興が、クラシックの四季のお馴染みのメロディに変わる。突然変わるのだけど、その突然さが小気味いい。四季の中でも、フォークの要素がはいり、cittern の演奏も入る。
四季って、自然の四季を表現した音楽です。ヴィヴァルディはそこに鳥や樹木のざわめき、風の音などを楽器で表現した。ヴィヴァルディは、自然だけではなくて人間もそこに入っているといいますが、四季の音楽は自然の情景に焦点があたっていて人間の要素はあまり感じられない。
ペッカのアレンジで、四季に人間の魂と息吹が加わった。人間と自然が共存しあうかたちになった。
そう。それこそが、彼が表現したかったこと。自然と人間が共存する。環境問題や地球温暖化への主義主張がこのアレンジに込められています。
期待を裏切られたのに、予想外の展開がすごすぎて感動の嵐。
で・・・、ですね。
ペッカ。よく喋る。普通、指揮者ってしゃべりません。それがペッカ、よくしゃべる。四季を演奏してて、春が終わってしゃべる。夏が終わってまたしゃべる。秋が終わってまたしゃべる。
フィンランド語の単語を言っては「はい、皆んなで言ってみよーーー!」みたいなノリです。はい、みんなで言いましたよ。笑
これ(↓)、2016年のBBC プロムス(イギリスの音楽の盛大な祭典)でのアンコールのようす。これ見ると、彼のエンターテイナーぶりがわかると思います。チャイコフスキーを演奏し上げた後のアンコールで、フィドル。しかも弾き語り。6000人の観客を巻き込んで歌う姿。5分足らずの動画なのでよかったらみてみてくださいね。
アンコール前の正統派クラシックのヴァイオリニストとしての演奏もどうぞ。↓ じっくり聴いてくださいませ。
プッカ・クーシストはフィドルのデヴィッド・ボウイだ!!
ガーディアン紙の記事かなにかで、そう書かれていました。多才なミュージシャン。でも、ものすごくアーティスティック。
ペッカのFBから。↓ 左がペッカ、右がAle。
わーい。お返事もきた❤️
コンサート1:Music of Today - Glass, Metal, Wood, Water
Sunday 2021.11.28, 6:00pm
Purcell Room at Queen Elizabeth Hall, Southbank centre, LONDON
Artists
Pekka Kuusisto – violin/conductor
Programme
ANDREA TARRODI Birds of Paradise
OUTI TARKIAINEN Siimes
ERKKI-SVEN TÜÜR Conversio
ANNA THORVALDSDOTTIR Hrim
一番気に入ったのはこの曲↓
こちらの記事にも書きましたので、よかったらどうぞー。
コンサート2:Four Seasons and Four Seascapes
Sunday 2021.11.28, 7:30pm
Royal Festival Hall, Southbank centre, LONDON
Performers
Philharmonia Orchestra
Pekka Kuusisto conductor, violin
Ale Carr cittern
Repertoire
Isobel Waller-Bridge: Temperatures (World premiere)
Britten: 4 Sea Interludes from Peter Grimes
Interval
Vivaldi: The Four Seasons (with improvisation between movements)
前半2曲は、コンテンポラリーです。イギリスのコンテンポラリークラシックを代表する作曲家の作品。
どちらも自然をテーマにしています。Isobel Waller-Bridge: Temperaturesは、ワールドプレミア。Isobel ご本人もステージに上がってくれました。1984年生まれ。現代を生きるイギリスの代表的女性作曲家です。「英語より音楽が自分の第一言語なの。なにか経験をしたとき、私はまず最初にピアノに話す。そして、その後に人にシェアする。」という。彼女の音楽は、そんな彼女の経験が流れ出す。表現なんてものじゃない、自然に流れてくる感じ。
彼女のインタビュー動画↓
ベンジャミン・ブリトンもイギリスのコンテンポラリークラシックの作曲家。(1913−1976)
コンサートで演奏されたのはこの曲↓
興奮がとまらない。