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メタル君の「今日の精神医学豆知識!」(236)-(240)
皆様、こんにちは。鹿冶梟介(かやほうすけ)です😆
7月になりました!しかし、梅雨明けはまだまだという感じですね。
今週の金曜日には7月7日(七夕)ですが、果たして夜空に流れる天の川を拝むことはできるでしょうか…。
さて今回は第236回から240回までのメタル君の朝ツイートをまとめています。
Twitterでも頑張るメタル君の姿をでnote民の皆様も是非覗いてみてください☺️
Twitter民の皆様も、Twitterでは語りきれなかった【メタルのおまけ】がございますので、ご興味があれば是非お読みください!
【今日の精神医学豆知識集!(その48)】
236:カリフォルニアロケット燃料(CRF)って知っている?CRFは抗うつ剤の併用療法を意味する言葉でミルタザピンとデュロキセチン(またはベンラファキシン)を投与するよ。何だかすごい名前だけどCRFがSSRI単剤より有効であるエビデンスは得られず、寧ろ有害事象が増えるそうだよ…。
【メタルのおまけ】
ミルタザピンはノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ剤(NaSSA)と呼ばれる他の抗うつ剤にはない作用をもつ四環系抗うつ剤だよ。ミルタザピンに加え他の作用機序をもつSNRI型の抗うつ剤を投与することで抗うつ効果を増強するんだ。このように抗うつ剤に別の薬を組み合わせることを”増強療法(augmentation)”と言うけど、よくある組み合わせは抗うつ剤+抗精神病薬、抗うつ剤+リチウム(双極性障害の治療薬)なんかがあるよ。
↓カリフォルニアと言えば赤ワイン!🍷このワインは「肉専用ワイン」だそうです。小生も飲んだことがありましたが、濃厚で肉によく合います!
237.第二次世界大戦後、V2ロケット(ミサイル)の燃料ヒドラジンが沢山余ったよ。この在庫を利用して様々な化合物が作られたけど、その中にイプロニアジド(抗結核剤)があるよ。そしてこのイプロニアジドに多幸症の副作用があったことから抗うつ剤(MAOI)の開発に繋がったよ。
【メタルのおまけ】
抗結核薬として開発されたイプロニアジドの抗うつ効果は強力で、肺に穴が空いているにもかかわらずポルカダンスを踊り出した…、という逸話が残っているよ。
イプロニアジドの抗うつ剤の発見は鬱病治療薬競争の呼水になったのは間違いないけど、副作用として肝炎の発生が高かったら発売からたった3年で多くの国で発売は中止されたよ。しかしフランスだけは20世紀末まで使用され続けたよ。フランスが使用し続けた理由は…、良くわかりません😅
↓「V2ロケット」はこんな感じだそうです。
238.イミプラミンは世界初の三環系抗うつ剤で、コールタールから得られた”合成染料”をもとにスイスのガイギー社が開発したよ。当初この薬は統合失調症の治療薬として開発されたけど無効だったので、"ダメもと"でうつ病患者に投与したら効果があったんだ!本当に偶然の発見だね。
【メタルのおまけ】
さっき紹介したイプロニアジドと同様にイミプラミンの効果も偶然の発見(セレンディピティ)によるものだね。ちなみにイミプラミンは現在でも使用されており、副作用は強いけどSSRIやSNRIが効かない場合に試すことがあるよ。ちなみに鬱病以外では「おねしょ」にも効くよ。
↓実は医学的発見の多くは偶然の発見「セレンディピティ」によるものが多いのです!
239.抗精神病薬投与中の患者さんにはアドレナリンは禁忌だよ(アナフィラキシー時は投与ok)。前者のα遮断作用と後者のβ受容体刺激作用により血圧が低下するからだよ。でも歯医者さんで使用する局所麻酔(リドカイン+アドレナリン)は禁忌じゃないよ。不思議だよね🤔
【メタルのおまけ】
抗精神病薬とアドレナリンによる血圧低下現象を「アドレナリン反転(adrenaline reversal)」というよ。しかし、実際の臨床でアドレナリン反転は極めて稀と言われているよ。そもそも海外では併用禁忌にはなっていないし(併用注意のみ)、歯医者さんでは普通に使っているからね。ではなんで「併用禁忌」になったかというと、古い動物実験で抗精神病薬とアドレナリンを投与したら血圧がさがったからなんだよ…。これに対して関係学会が要望書を出した結果、「アナフィラキシーの救急治療に使用する場合はok」となったんだ…。ちなみに歯医者さんでつかっている「歯科用局所麻酔剤」の添付文書には併用禁忌の記載はないよ。
↓理系の大学生が着てそう?
240.長年第一世代の抗精神病薬を内服していた患者さんの処方を第二世代薬に切り替えた時”awaking現象"と呼ばれる急速な認知機能の改善が起こることがあるよ。第二世代への切り替えにより退院や就労に至った患者さんもいたけど、中には現状を理解して絶望する患者さんもいたよ。
【メタルのおまけ】
日本でリスペリドンが発売されてからしばらくawaking現象に関する症例報告をみかけたけど最近はあまりないね…。これは第一世代抗精神病薬から第二世代への切り替えが今や少なくなったせいかもしれないね(最初から第二世代を使用するケースがほとんど)。ちなみにawakingの由来は、映画「レナードの朝」の原題「Awakings」だよ。興味のある方はこの名作是非観てみてね!
↓ご存知名作「レナードの朝」。小生の大好きな映画のひとつです☺️
【メタル君の考察】
今回は「精神科の薬」に関連したテーマのツイートが中心だったね。
現代使用されている精神科の薬はせいぜい50-60年前に開発されたものばかりで、その歴史は浅いよ。
しかも中には「なぜ効くのか」わかっていない薬もあるんだ…(例: リーマスなど)。
「効けばいいじゃん」という考えもあるけど、やはり薬効のメカニズムは科学的に解明されるべきと思うから、この点については今後の研究に注目だね。
これからもマニアックな精神科ネタをジャンジャン紹介していくぞ😉
↓「スライムの豆皿」です!かわいいですね☺️
【Twitter】
Twitterもやっています!宜しけば、絡んでくださいな☺️
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![精神科医・鹿冶梟介(かやほうすけ)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/149272427/profile_311677b8ca78dd336da0ceea656fb281.jpg?width=600&crop=1:1,smart)