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食事と精神医学(7):ラーメンを食べると睡眠の質が悪くなる?〜国内研究の紹介〜

皆様、こんにちは!

鹿冶梟介(かやほうすけ)です。

ラーメン、好きですよね🍜

小生も勿論大好物です😋

濃厚でコクのあるスープに絡まれた麺がツルツルと喉を通ると、もう一気に幸せホルモン・ドーパミンが放出!

ラーメンとは口の中に広がる極楽...と小生は勝手に定義いたします(異論は認める)😤

そんなラーメン大好きな小生は...、

「こんなに幸せになる食べ物だから、絶対メンタルヘルスに良いに決まっている!🤩」

と思い込み、文献検索をしたところ衝撃の事実が...😱

もうお分かりと思いますが、ラーメンは実はメンタルには良くないという論文を発見してしまいました。

この事実を闇に葬ることは可能ですが、やはりは皆様とシェアすべき重要な研究結果と思います。

...ということで、ラーメンファンには耳の痛い話になりますが、ラーメンでも食べながら是非ご一読くださいな(<=危機感なし)。

ちなみに今回の記事は短めです(約2800字です)。


↓このシリーズ、だいたい喫食したと思います😋



【研究紹介】

Associations between Rice, Noodle, and Bread Intake and Sleep Quality in Japanese Men and Women. Yoneyama S et al., PLOS ONE, 2014

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0105198

<目的>

グリセミック*指数が異なる3つの一般的なデンプン食品(米、パン、麺類)の摂取量および食事グリセミック指数と睡眠の質との関連を検討した。

*グリセミック指数: 食品ごとの血糖値の上昇度合いを間接的に表現する数値。

<方法>

参加者は富山県にある工場の従業員7,306名を対象とした。2003年には1,977人(88%)が食事に関するアンケートに回答し、2004年には2003人(94%)が睡眠に関するアンケートに回答した。合計で、1,858人(82%)の労働者が両アンケートに完全なデータを提供した。

年1回の健康診断では、病歴聴取、身体診察、身体測定が行われた。

食事評価については、自記式の食事歴質問票(DHQ)を用いて、直前1ヵ月の食事習慣を評価した。DHQは19種類の主食(米、麺、その他の小麦食品)の摂取量を評価する。

前月の睡眠の質はPittsburgh Sleep Quality Index質問票の日本語版(PSQI-J) を用いて評価した。「睡眠不足」は、PSQI-Jグローバルスコア>5.5と定義した

<結果>

麺類(ラーメン)摂取量の五分位群については、1.00(基準)、1.25(0.90-1.74)、1.05(0.75-1.47)、1.31(0.94-1.82)、1.82(1.31-2.51)であった(p for trend < 0.001)。パンの摂取量は睡眠の質とは関連しなかった。食事グリセミック指数が高いほど、睡眠不足のリスクが低いことと有意に関連していた(p for trend = 0.037)。

図1:でんぷん質食品摂取量、食事グリセミック指数の五分位群に対するPSQI-Jグローバルスコア。
平均PSQI-Jグローバルスコアは、共分散分析モデルを用いて年齢、性別、総エネルギー摂取量(kcal/日、連続)で調整した。PSQI-J:日本版Pittsburgh Quality Index;Q:五分位群。

<結論>

日本人男女においてごはんの摂取量の増加は良眠と正の相関があり、一方麺類(ラーメン)の摂取増加は悪い睡眠と関連する。


【鹿冶の考察】

10年ほど前の論文ですが、ラーメン好きの小生にとってはちょっと心配な内容ですね😅

ところで何故ラーメンの摂取量が増えると不眠傾向になるのでしょうか...?

筆者たちの考察では...、

1.GI(グリセミック指数)が大きい食事ほど睡眠の質はよくなる。

2.ごはんを食べると睡眠の質がよくなるが、これは白米が高GI食であり米に含まれるメラトニンの影響である。

3.麺類(ラーメン)を食べる人は、米の摂取量が減るため睡眠の質が相対的に悪い。

...だそうです。

ここで高GI食についてもう一度補足します。

GI(グリセミック指数)とは 食品ごとの血糖値の上昇度合いを間接的に表現する数値を意味し、この指数が70以上の食品を高GI食、55以下の食品を低GI食と呼びます(大塚製薬サイトより)。

そして高GI食は肥満、糖尿病などの誘因になるということが言われているのです...。

つまり一般的に高GI食は健康には宜しくないようです。

ちなみに白米のGI値は88、パンのGI値は95、インスタントラーメンのGI値は73だそうです。

筆者たちは考察にははっきり書いておりませんが、筆者らの説明に沿うとインスタントラーメンのGI値は低いから睡眠の質が悪くなる...、とも考えられます。

うーん、どうですかね、この考察...?みなさま納得しましたか?

高GI食が肥満につながるのであれば、睡眠時無呼吸症候群などが生じやすいのでごはんを多く摂取する人は睡眠の質が悪くなるような気がしますが...。

それにパン食の方が一般的に高GIなのに睡眠改善効果は見られませんよね...(矛盾ですね)。

本研究はやはり、日本、しかも富山県の工場従業人を集団を対象とした研究であることから、研究結果はバイアスがかかっていると思った方がいいでしょう。

筆者らもこの研究の限界を認めているようで、やはり介入研究(ごはん vs パン vs ラーメン)を行う必要がありそうですね🤔

しかし、経験的にはこの研究は正しいような気がします。

ラーメンを食べると時々胃もたれするので、夜に食べると睡眠の質は下がるような...😅

...ということで小生はラーメンを食べるのはなるべくお昼にしたいと思います🍜


↓しかし、やっぱりラーメンは最高ですね🍜

図2: 6月の学会で喫食した「赤れんが」の味噌ラーメン!

【まとめ】

・グリセミック指数が異なる3つの一般的なデンプン食品(米、パン、麺類)の摂取と睡眠の質に関する研究を紹介しました。
・研究の結果、高GI食は睡眠の質を改善するそうです。
・ごはんは睡眠の質を改善しますが、ラーメンの摂取は睡眠の質を悪化させるようです。
・しかし本研究は被験者に偏りがあるため、介入研究による検証が必要と感じます。
・ラーメンを夜食べるのはやめた方がいいかもしれませんね...。

【参考文献など】

1.Associations between Rice, Noodle, and Bread Intake and Sleep Quality in Japanese Men and Women. Yoneyama S et al., PLOS ONE, 2014

2.GIについて学ぼう. 青江誠一郎. 大塚製薬

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精神科医・鹿冶梟介(かやほうすけ)
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