人にとってもっともコントロールするのが難しいもの

 何よりも人が苦手としているのは、自分をコントロールすることである。意思ややる気や行動理念、言動、対外的な態度、アイデア、仕事、生活、未来を目指していくこと……私達は様々な活動を今この瞬間も七エル。でもそれはほとんどが、そうさせられているものである。
 したいからしていることなど限られているのだ。それよりもずっと私達は、自分発信でないあらゆることを、なぜか当然のように自分事として責任をもって行っている。つまり自由意志などないに等しい。割合でみれば、はるかに他者都合で私達は動いている。あるいは誰のためでもないことを、なぜかやっていることだってある。

 それは自分自身をコントロールすることが、とても大変だからだ。この身体を、手足を、脳を。完全に自分のものとして使うことなどできはしない。そうできる人は多分、孤独である。そうではなく社会的な、どうしても社会というものを作ってそれに関わらざるを得ない一般的な人間は、自分自身というリソースを、自分のためだけに消費することはできないでいる

 また、反対に、しなければならないことをどうしてもできなく、したいことを優先してしまうと言うことも起こる。これも良く起こる。原因は全く一緒で、むしろこちらの方が深刻かもしれない。つまりこの「しなければならない」とは自分にとってそうであるにもかかわらず、それが中々手につかないということだ。進められず、完了できない。あるいは中途半端になってしまう。
 自分というものがコントロールできないことの悲劇は、他者を優先しようと自分を優先しようと、待っているのは破滅と後悔である。私達はできる限りそれを回避しながら日々を送っている。バランスを取りながら、壊れないようにしながら。とにかく自分さえコントロールできればそんな必要もないのに。いつまでも私達は、それをもっとも苦手とする。

 どうしたら自分をもっと上手くコントロールできるだろうか。方法は様々なものがある。でも大切なのは、受け入れることだ。自分は、自分のことが最も苦手なのだと。このわがまま放題の、あるいはすぐに自分を蔑ろにする自分というものの要領の悪さを受け入れて、助けてあげようと自分自身に思うことである。
 自分への慈愛が、少しでも、この思うままにならなさを改善していくと信じて

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