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読書記録「ティファニーで朝食を」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、トルーマン・カポーティ 村上春樹訳「ティファニーで朝食を」新潮社 (2008) です!

トルーマン・カポーティ「ティファニーで朝食を」新潮社

・あらすじ
彼女の消息を知ったのは、バーテンに見せられた一枚の写真だった。アフリカの集落にて、彼女の顔そっくりの木彫を見つけたと。

作家希望の「僕」にとって、彼女、ホリー・ゴライトリーとの共通点は、同じアパートに住む住民だけであった。

彼女は駆け出しの女優だった。気まぐれで、可憐、そして自由奔放に生きてきたように見える。

男たちの手玉を取っては、自分の部屋に呼んで、ひとしきりパーティーを催す。ある者は彼女を「まやかし」だと言った。

ある晩、僕の部屋に突然上がり込んだのが、他ならぬホリー・ゴライトリーだった。そこから僕らの、奇妙な交友関係が続く……。

表題作の他、短編「花盛りの家」「ダイヤモンドのギター」などを収録したトルーマン・カポーティの作品集。

先日、サリンジャーの「キャッチャー・イン・ザ・ライ」を村上春樹訳で読んだため、文体に慣れている内に紐解いた次第。

そう言えば、去年は「ロング・グッドバイ」と「グレート・ギャツビー」を続けざまに読んでいた。これもまた、村上春樹訳である。

別に村上春樹の翻訳にこだわっているわけではない。ただ個人的に、海外文学のリズムと語感、それから感性が、村上氏の翻訳が妙にマッチしているから好きである。

それはさておき、「ティファニーで朝食を」だ。

私自身、カポーティの作品を本作しか読んでいないのだが、本著に収録されているのは後期の作品として、著者自身の心情・経験と重ね合わせているところがあるそうだ。

彼らの多くはイノセンスの中に生きようとする。しかしイノセンスが失われたとき(多かれ少なかれそれはいつか失わせることになる)、それがどこであれ、彼らの住んでいる場所は檻のようなものに変わり果ててししまう。そしてそこに残されているのは、婉曲な自傷行為でしかない。

同著 訳者あとがき 275-276頁より抜粋

主人公の「僕」は、ホリー・ゴライトリーの部屋の表札や名刺に「旅行中トラヴェリング」と書いてあるのが目に留まる。

彼女は「明日の自分がどこに住んでいるかわからないから」と言うが、その姿は、ここではないどこか・・・・・・・・・を探している節がある。

そしてそれは「ティファニーのようなところ」だと。

この「ティファニー」は、紛れもなく宝石店のティファニーを指す。

だけど、彼女にとって「ティファニー」とは、宝石目当てに訪れる店ではなく、心にいやったらしいアカが染まったとき、気持ちを楽にさせるような、「心の拠り所」と言える場所である。

その店内の静けさと、つんとすました、、、、ところがいいのよ。そこではそんなにひどいことは起こるまいってわかるの。……ティファニーの店内にいるみたいな気持ちにさせてくれる場所が、この現実世界のどこない見つかれば、家具も揃え、猫に名前をつけてやることだってできるのにな。

同著 65−66頁より部分抜粋

社会学で「サード・プレイス(第3の場所)」という言葉がある。職場や学校と自宅を往復する以外に、本人が居心地の良いと思える場所を指す。

確かに、彼女にとって「ティファニー」は心を落ち着かせる場所ではあった。

しかし、彼女が求めているのは、そのような一時的なものではない。

物語が進むにつれて様々な事情は出てくるものの、最終的に彼女は「ティファニー」を探しに旅に出る。それが冒頭のアフリカの木彫につながる。

「眠りたくもない。死にたくもない。空の牧場をどこまでもさすらっていたい」

同著 29頁より抜粋

ときに、私にとって「ティファニー」と呼べる場所はどこだろう。

先日、ティファニーと「ディズニー」を重ね合わせた記事を記したが、あながちあれも嘘ではない。

だいぶ前に、伊坂幸太郎さんの「終末のフール」を読んだときにも思ったことだが、もし明日世界が終わるとなったら、ディズニーランドに行きたい。

それで、終わりを迎えるまでシンデレラ城を見ていたい。

なぜかと問われても、よく分からない。ただ中学生の頃から、漠然とそう考えていた。

それがホリー・ゴライトリーの「ティファニー」と同じものかと問われたら、若干違う気もする。

ただ、少なくとも、私にとっては、同じように心のアカが取れるような場所であることは間違いない。

周囲のゴタゴタから離れて、清潔で、笑顔が耐えない場所。童心を忘れることなく、心が晴れやかになれる場所。

そんな場所が、この世界のどこかにあるのかしらん。探したくなる気持ちも、分からなくもない。それではまた次回!

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川口 竜也 / 川口市出身の自称読書家
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