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読書記録「小さな家のローラ」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、ローラ・インガルス・ワイルダー 安野光雅 絵絵・監訳「小さな家のローラ」朝日出版社 (2017) です!

ローラ・インガルス・ワイルダー
「小さな家のローラ」朝日出版社

・あらすじ
むかしむかし百五十年くらい前(一八七〇年ごろ)、アメリカのウィスコンシン州の「ビッグウッズ」という大きな森の、小さな家に、小さな女の子が住んでいました。

彼女の名前はローラ。お父さんとお母さん、お姉ちゃんのメアリーと赤ちゃんのキャリーと暮らしていました。

季節はまもなく冬を迎える時期。冬になると、ビッグウッズは雪に覆われ、外に出るのも困難になります。

そのため、お父さんは冬に備えて狩りに出かけ、お母さんは食べ物を保存しやすいように加工します。

もちろん、ときにはローラやメアリーもお手伝いします。燻製用のヒッコリーのチップを集めたり、パン作りを手伝ったり。

雪が積もると、お外で遊べなくなります。

だけど、お父さんが音楽を奏でたり、お話を聞かせてくれるから、ちっとも退屈ではありません。

もうすぐクリスマス。さて、ローラのもとに、サンタさんはやってくるかしらん。


文京区は不忍ブックストリートの一箱古本市にて手に取った本。隣に居合わせた方が、「この本面白いのよね」と語っていたので、すかさずお買い上げ。

物語は秋の終わり頃から始まる。厳しい冬を超えると、温かい春が訪れる。夏が過ぎれば、実りの秋となり、また冬に備える。

近くの町までは11キロ。当馬車で移動するため、買い物に行くのは一大行事です。

そのため、パンやバターといった食料、日用品のほとんどは自家製です。お肉は家畜や狩猟のものしか食べません。

もっとも、それが当たり前の時代。脱穀に馬を使うのが「先進的」だと言われるくらい、昔のお話。

冬を超すために、親族同士で支え合う。食べ物を分け合う。クリスマスは家族みんなで過ごす。

それは、ビッグウッズの自然のなかの、小さな家のできごとでした。外は雪で、凍りつくような寒さでしたが、丸太の家は暖かく、心まで温まりました。お父さんとお母さん、メアリーとローラ、そして赤ちゃんのキャリーがみんないっしょにいれば、それだけで楽しく幸せでした。

同著 49頁より抜粋

だだ、物語の最後はもの寂しさがある。

カラス麦の収穫が終わり、まもなく冬を迎える頃。狩りに出かけたお父さんでしたが、1匹も捕まえられずに帰ってきました。

最初に見たオジカはあまりに美しく。冬眠前のクマはあまりにも平和で。塩なめ場に来たシカの親子はとても優しくて。

お父さんのお話を聞いて、ベッドに入っていると、バイオリンの音が聞こえます。「古い友は忘れられ なつかしい昔となるのか?」と。

暖かい家があり、お父さんやお母さんがいて、暖炉のあかりと音楽がいまここにあることを、うれしくおもいました。「いまはいま」なのだから、忘れるはずがありません。「なつかしい昔」になど、決してなるはずがありません。

同著 265頁より抜粋

「なつかしい昔」とは何であろう。

古き良きアメリカの原風景か。親族同士が支え合っていたことか。パンやバターを自分たちで作っていたことか。

もちろん、今でもそんな風に生活している人達はいる。

だけど、この作品を読んでいると、昔の良さと言うか、時代の流れによって失われてしまったものも、垣間見えてしまうというか。

そんな物語を、大人になったローラ・インガルス・ワイルダー 本人が描いていると思うと、感慨深い。


もっとも、全体的には優しい物語で、読んでいて心がホクホクする。

それに、安野光雅さんのイラストは、眺めているだけでも心地よい気分になります。

そんな冬にちょうどいい作品でした。それではまた次回!

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川口 竜也 / 川口市出身の自称読書家
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