#13 花蓮の街並み。夜市。食べたもの。
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台東から自強号で約1時間40分。次の目的地である花蓮に到着。
初めて台湾に来た時、九份のゲストハウスで話した中国人が「今回の旅の1番の目的は花蓮!あなたは行かないの?もったいない!」と言っていたのが印象に残っていた。
出発前に調べてみると、台湾で最大の面積がありながら、その大部分が山地で、東側の海は美しさのほかにサーフィンスポットとしても人気なのだとか。
また、いまも先住民族が暮らしているため、独自の文化が発展しているという、美しい自然と伝統文化が共存するエリアらしい。
さらに、花蓮を中心とした東側は、日本統治時代に政策の一環として日本人移民により開拓された都市だという話もある。
ここら辺の歴史が、私はかなり勉強不足なので、過去の歴史を知る意味でも、今回の旅で台南の次に訪れたい場所だった。
最近改装されたのかかとても綺麗で、お土産物屋さんや飲食店が入った駅ビル的なつくりになっていた。
駅周辺には国内観光客と思われるような人も見受けられ、なんとなくでも、リゾート地なんだな~という印象を受けた。
宿に荷物を置き、さっそく街中に出かけると、あちこちに日本様式の家や建物の面影が見られた。
駅前から離れると、高い建物がほとんどなくなり、とにかく空が広く感じられた。
台北から台南に行ったときに、ゆったりした時間が流れているような気がしたけど、台東も含めた東側の街ののんびり感はさらに上を行く。
車も人も少なくて歩きやすい。
小腹が空いて向かったのは、十字路の角にある小さな食堂。
ここで、台南で食べ損ねていた南方のちまきと杏仁茶を注文。
杏仁豆腐が好きだからという理由だけで初挑戦した杏仁茶は、杏仁の風味をしっかり感じる甘い紅茶で、若干のとろみもあった。
正体が謎すぎたけど、かなり好みでチャレンジ大成功である。
ちまきは、蒸すのが一般的とされているけれど、台南を中心とした台湾南方では主に茹でて作られるらしい。
花蓮はもはや北側だけど、このお店では蒸しと茹での2種類から選べた。
ちまき大好き人間。
前のめりで食べると、茹でられたもち米がプルプルもっちもちで、ピーナッツ、鶏肉、椎茸がごろごろで、具にもお米にもしっかり味が染みていて美味しさに震えた。
1人だったけど、美味しさを誰かに伝えたくなった。
杏仁茶もちまきも美味しすぎて、一瞬で、花蓮大好き!花蓮いい街!とインプットでされたほどである。
西側より田舎とはいうものの中心エリアはかなり賑わっていて、若者も多く、原宿のような雰囲気を感じる場所もある。
(比較で言えば台東の方がだいぶ田舎っぽい。)
チープ感が可愛いティーンなお店から、かなりおしゃれな雑貨屋や洋服屋さんまで、住み分けるように並んでいて、ブラブラと歩いているだけでも結構楽しかった。
初めて食べるものシリーズの中でも、これはぜひ日本でも日常的に食べたい!と思ったのが、ハト麦ミルク。
濃厚なのにさっぱりとした牛乳に、おそらく甘く茹でられたとろみのついたハト麦が入ったスイーツ。
冬は温かいのもあるというのは豆花に似ているね。
店内も持ち帰りもひっきりなしに人が訪れていたけど、それも納得の美味しさだった。
街歩きしながら、道にある植物を見ると、たまに見たことない木や花に出会えるのが楽しい。
ハイビスカスのようだけど、花びらが開ききっていなくて、これがベストの状態なのか、お疲れなのか、咲く前なのかもわからない。
けど、色味の南国さのなかにある若干のグロテスク感がなんとも魅力的で、立ち止まってしばらく観察していた。
花蓮には、古い街並みや線路跡、建物を上手に活用した場所が多い。
そして、それらが本当に素敵にリノベーションされている。
台湾という国は、過去のものを現代に活用するのがとても上手だな~と思わせてくれる場所やモノがたくさんある。
そこが中国や日本とも違う、1つの”台湾らしさ”になっていると思う。
そして、花蓮は夜市もちょっと個性的。
かなり大きい夜市なのだけど、食べ物ごと?ジャンルごと?にエリアが分かれていて、道幅もとても広いので歩きやすい。
なんといっても、先住民の食べ物の屋台があるのがここの特徴。
山菜のような野菜を使ったメニューが多そうだった。
このエリアは、一般的な台湾の夜市とも異なる独特の雰囲気があって、お店を眺めているだけでも楽しい。
宿の人にめちゃくちゃおすすめされた食べ物があったので挑戦。
葱抓餅を揚げたようなザクザクの生地に、卵とかが入っている。
よくわからないけどめちゃくちゃ美味しい。
興奮して食べていたら、タレをスニーカーに思いっきり落とした。しんど。
夜が更けるにつれて人も増える。
大きな公園のなかで行われているような立地で、敷地内にステージなどがあり、ローカルのカラオケ大会が行われていたり、高校生くらいの子どもたちがダンスの練習をしていたりしていた。
夜市というと、雑多でかなり賑やかなイメージで、楽しいけれど人混みが苦手な私は正直ちょっと疲れる部分があったけど、ここは本当にのんびりゆったり楽しめた。
そうそう、台湾といえば薄い皮にスープがタプタプに入った小籠包がメジャーだけど、東側の小籠包はちょっと違う。
手のひらサイズよりも小さな肉まんって感じ。大抵1個から買える。
ひと口サイズの小籠包をイメージして8個とか頼むと食べきれない量になるのでご注意を。
実は本来小籠包というのは、この肉まんスタイルが正式なのだとか。
薄皮スープタプタプの小籠包は、正式には「小籠湯包」、つまりスープ入り小籠包みたいな料理なのだ。
でも、小籠湯包のが有名になりすぎて、いつの間にかあれが小籠包と呼ばれるようになったっぽい。
ちなみに、味もめちゃくちゃ美味しい。
生地がほんのり甘くて、ふわふわともっちりの良いとこ取り。
餡は、豚とネギの甘みが効いていて、つけダレがあるんけれど、タレ無しで十分美味しい。
小籠湯包は日本でも割と食べられるお店が増えたし、機会があれば、本当の(?)小籠包を食べてみてほしい。
交通量は多くないけど、全体的に道路も歩道も綺麗に整備されていた。
歩き旅では、道路の歩きやすさが特に気になるね。
宿の近くにあって、いつ見ても賑わっていた食堂へ。
お店の看板に書いてあった小巻米粉と、大好きな豆皮の煮物を注文。
小巻米粉は、南部料理っぽいんだけど、簡単に言えばイカ入りヌードル。
でも、太くて白くて短くて、一般的にイメージする細麺のようなものとは違う米苔目(ミータイム―)というお米から作られた麺が特徴的。
ここ、台湾では珍しく盛りがよくて、イカの他に鶏団子、さつま芋、海藻などなどなど超具沢山で、1人で食べるには結構な量だった。
周りを見ると、やはりほとんどの人がシェアして食べている。
食べきれるかな~と不安になりながらも一口食べると、めっっっっちゃ美味しい。うわ、美味しい!
しかも、豆皮もいままで食べた中で一番美味しいじゃないか!!!この店は…すごい!
麺のトッピングも全部美味しくて、興奮気味に食べていたのだけれど、途中で紙ナプキンが欲しくて、一瞬席を離れた。
そう、本当に一瞬だった。
席に戻ると、料理が消えていた。
え…?
わけがわからず突っ立っていると、私が座っていた場所に、新しいお客さんたちが腰を掛ける。
ああ、ミスった。
1人で席を離れる時は、ティッシュなりなんなり、物を置いていくんだった。
帰ったと思われたんだ。
まだ半分以上あったのに…そんな…
でもこれは私が悪い。文句も言えない。私の席はもう無いし。
そうして大人しく店を出るも、悲しいというより、もう面白くて、楽しくて、笑いながら歩いていた。
いやいや、こういうまさかなことが起こるから旅は楽しいんだよな。
いいよいいよ、どんどん頂戴!!
それにしても、めちゃくちゃ美味しかったのに、まるで口に合わず半分以上残したと思われたならお店の人に申し訳ないな。
あれは量が多くても頑張って完食したくらいの美味しさだったのに。
という要らぬ心配などをしてみたり。
ああ、楽しいや。
言葉が通じない、文化が違う、当たり前が違う、ってことは、否定し合ったりいがみ合ったりするのではなく、面白がるものだよな。
価値観の違いも、他人の思いがけない言動も、「なんでやねんwwwwwwwおもろwwwwwww」で受け止められたら、もっと人生は楽しくなりそうだ。
自分をガチガチに固めていたものが、少しずつ剝がれていくような感覚。
考え方や心の持ちようが、どんどん柔らかくなっていた。